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画像生成AIの激変は序の口に過ぎない

2022年12月02日 16時00分更新

従業員1〜2人のゲーム会社が爆発的に増える?

 そうした中、ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツが11月17日に「ゲームにおけるジェネレーティブAI革命」というレポートを出しました。

https://a16z.com/2022/11/17/the-generative-ai-revolution-in-games/

 レポートによれば、2010年前後から膨大な量のAI関連論文が提出されていて、もっとも影響する範囲が大きいのはリアルタイムで複雑なデータを処理する必要があるゲーム分野だとしています。

 たとえばオープンワールド型の「レッド・デッド・リデンプション 2」の開発には巨大な世界を作り込むために、5億ドル規模の膨大な開発費がかかっていましたが、マイクロソフトの「フライトシミュレーター」は、衛星写真をもとに地形をAIで自動生成しているため、開発費を面積に対しておさえることができているとされています。

 レポートでは画像生成AIはあくまでも前ぶれにすぎず、3Dアートワーク、テクスチャ、オーディオ、アニメーションなどすべてに影響が出る可能性があるとしています。

 それによって何が起きるかといえば、従業員が1〜2人規模のマイクロゲームスタジオが大量にあらわれ、市場にリリースされるゲームがさらに増えていくと予測しています。ただし去年だけでもSteamには1万本のゲームがリリースされているため、その中で目立つのはさらに難しくなりそうだとも指摘しています。

アンドリーセン・ホロウィッツが公開した生成AIが与えるインパクトが大きい分野を分析したチャート。縦軸が複雑性で、横軸がリアルタイム性。どちらも兼ね備えるゲームに最も影響が大きいと分析している

 画像生成AIは、2022年に一般に普及する段階に入ったITテクノロジーとしては、最大のインパクトを持ったものではないだろうかと考えています。今はまだ2Dの領域にとどまっていますが、実際にゲーム用のアセットに応用したりする事例も登場しつつあり、メタバースの領域にも広がっていくことは間違いないでしょう。まだまだ変化は序の口に過ぎず、この激震は来年も続いていくのだろうと考えています。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。「バーチャルマーケット(Vket)」で知られる株式会社HIKKY所属。デジタルハリウッド大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRゲーム開発会社のよむネコ(現Thirdverse)を設立。VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。著書に8月に出た『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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