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追いつめられたザッカーバーグ 年末商戦に生き残りかかる

2022年11月17日 16時00分更新

年末商戦でQuest 2がどれだけ売れるかが勝負

 今回はひとまず出血を止めるということで人員削減に踏み込みましたが、今後どうなるかはまだ読めません。考えられるのはメタバース部門への投資を減らすことですが、そうするとメタバース技術の発展が鈍ってしまうことになりそうです。

 短期的に言えば、メタにとって重要なのは年末商戦です。

 去年はQuest 2がものすごく売れましたが、同じようなピークを作れるのか。売上の勢いが弱まってフェイドアウトすることになってしまうと、それもまた業績として批判される材料になってしまいます。以前はバイオハザードのような目玉タイトルが用意されていましたが、「年末商戦はこれ」というゲームが特に思いつかないのが苦しいところです。以前紹介した「BONELAB」は大ヒットしており、私の推計では販売本数は100万本に達しているのではと思っているのですが。

 またタイミングも悪いですよね。Quest 2の後継機種「Quest 3」は来秋発売と事実上予告されていますし、新製品の「Quest Pro」は値段が高すぎて売上には大きく貢献しそうにありません。Quest Proが在庫切れになるほど売れているという情報はまだ出ていません。

 ただ、リストラの発表後、株価は少し持ち直し、現在は113ドル程度で取引されています。それでも、回復までには長い道のりが待っていそうです。

 いずれにしても年末商戦の結果次第ではメタバース部門の生き残りにとっても大きな影響が出てくると思います。もしメタバース部門をシュリンクさせるということになったらこの連載も終わってしまいますので、頑張っていただきたいですね。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。「バーチャルマーケット(Vket)」で知られる株式会社HIKKY所属。デジタルハリウッド大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRゲーム開発会社のよむネコ(現Thirdverse)を設立。VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。著書に8月に出た『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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