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10WごとのゲームパフォーマンスをRTX 4090/3090 Ti/3080と比較

ワッパはRTX 3080 FEの最大2倍!GeForce RTX 4080 FE速報レビュー【前編】

2022年11月15日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

検証環境は?

 では、ベンチマーク検証の前に今回の検証環境を紹介しよう。比較対象としてRTX 4090 FE、RTX 3090 Ti、RTX 3080 FEの3種類のGPUを用意した。NVIDIAによれば、RTX 4080はRTX 3080 Ti(≒RTX 3090)より2〜3倍ほど速いという触れ込みだが、これが本当なら少なくともRTX 3090 Tiにダブルスコアーに近い状況で勝っている必要がある。今回用意したRTX 3090 TiはAIO水冷仕様の超ハイエンドモデルなので、かなり厳しいテストになりそうだ。

 RTX 4090 FEのレビューとの環境の違いは、CPUが第13世代インテルCoreプロセッサー、マザーボードがZ790、メモリーがDDR5-5600へ強化。さらにOSも、CPUに合わせてWindows 11 22H2を導入した。ReSizable BARやSecure Boot、コア分離(VBS)やHDRといった要素はすべて有効化している。

検証環境
CPU インテル「Core i9-13900K」
(24コア/32スレッド、最大5.8GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASUS「ROG MAXIMUS Z790 HERO」
(インテルZ790、BIOS 0502)
メモリー G.Skill「F5-6000J3636F16GX2-TZ5NR」
(16GB×2、DDR5-5600動作)
ビデオカード NVIDIA「GeForce RTX 4090 Founders Edition」、
NVIDIA「GeForce RTX 4080 Founders Edition」、
ASUS「ROG Strix LC GeForce RTX 3090 Ti OC Edition」
(GeForce RTX 3090 Ti、24GB GDDR6X)、
NVIDIA「GeForce RTX 3080 Founders Edition」
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」
(1TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システムドライブ)、
Silicon Power「SP002TBP34A80M28」
(2TB M.2 SSD、PCIe 3.0、ゲーム用ドライブ)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(22H2)

素の性能はRTX 3090 Tiの約20%増

 ではまず、定番の「3DMark」から比較していこう。最近テストが増えてグラフが見づらくなってきたため、Fire Strike&Time Spy系と、レイトレーシング系でグラフを分割している。

3DMark:Fire Strike&Time Spy系テストのスコアー

3DMark:レイトレーシング系テストのスコアー

 CUDAコア数の多いRTX 4090 FEのスコアーが飛び抜けて高い一方で、RTX 4080 FEはどちらかと言えばGeForce RTX 30世代のほうに近い。RTX 3090 Tiに対するRTX 4080の性能は9%〜19%上といったところ。Fire Strikeが最も上げ幅が小さかったが、その他のテストでは17〜19%程度と安定して高い。

 一方、RTX 3080に対しては、約17%(Fire Strike)〜56%(Speed Way)とより大きくなる。RTX 3080ユーザーの移住先としては、RTX 4080はかなり良好な選択肢(価格的にどうかは別だが)といえる。ここにDLSS FGやAV1エンコード等の要素が上積みされる点も忘れてはならない。

消費電力はRTX 3080並だった

 ゲームの検証に入る前に、消費電力もチェックしておきたい。RTX 4090は驚異的な性能向上を果たしたが、消費電力も大幅に増えてしまった。しかし、RTX 4080ではRTX 3080と同じTGP 320W設定(FEの場合)である。

 まずはラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を用い、システム全体の消費電力を計測した。アイドル時はシステム起動10分後の安定値、高負荷時は3DMark Time SpyのGraphics Test 2実行中のピーク値となる。

システム全体の消費電力

 RTX 4090 FE(TGP 450W)が690W、さらにRTX 3090 Ti(TGP 480W)が722Wととてつもない消費電力を叩き出している。なお、総合的な消費電力が大きいのはCPUが高消費電力なためもある。一方で、RTX 4080 FEと3080 FEは550W強で済んでいる。

 どちらもTGP 320Wのカードなのだから消費電力が並んでいて当然なのだが、こうして見ると設計通りの動作になっている事が確認できたわけだ。RTX 3080 FEと同じ消費電力なのに、RTX 4080 FEは最大50%ものパフォーマンス向上を果たしている(DLSS抜きで、の話)。ワットパフォーマンスにおいて大きな進歩である点は評価すべきだろう。

 そこで今回の検証では、前回のRTX 4090 FEレビュー以上にワットパフォーマンスに注目していきたい。幸い筆者が検証に使用しているフレームレート計測ツール「CapFrameX」には、計測中のGPU Powerも記録することができる(NVIDIAの「FrameView」も同様)。だがそのGPU Powerなる情報は、本当に実際の消費電力、すなわちTBP(Total Board Power)を反映しているかをいまいちど確認しておく必要がある。

 そこでNVIDIAの電力計測ツール「PCAT」で計測できるTBPの実測値と、「HWiNFO Pro」で拾えるGPU Powerを突き合わせてみることにした。無論HWiNFOとCapFrameXはまったく別のツールだが、GPUのセンサー情報取得には同じAPIを経由していると考えられるため、両者が見ているデータも基本的に大差ないと考えられる。そのうえで、PCATとHWiNFOでどの程度乖離しているのか把握しておこう、というわけだ。

 今回の検証は「Cyberpunk 2077」をプレイ状態で15分程度放置し、その間の消費電力をPCATとHWiNFO Proで追跡する。Cyberpunk 2077は解像度4K、画質は“レイトレーシング:ウルトラ”をベースにDLSSを明示的にオフにしている。

 PCATは8ピン補助電源3系統までしか計測できないため、8ピンを4系統使うRTX 4090 FEの正確な値を計測するには向かないのだが、RTX 4090 FEは8ピン3系統でも動作し、性能的にも4系統接続時と変わらない(4系統接続時にPower Limitのヘッドルームが上がるだけ)ため、この検証のみ3系統接続で検証している。

ゲーム中のTBP:PCATを用いた実測値。1秒ごとの移動平均でプロットしている

ゲーム中のGPU Power:HWiNFOを用いソフトウェア的に計測した値。ポーリングは1秒単位

PCATとHWiNFOでゲームの同じシーンを表示させ続けた時の、実際の計測値とHWiNFO経由のGPU Powerの最大・平均値をまとめたもの

 これを見ると、ほとんどのGPUでPCATを使った実測データのほうが、平均値においてGPU Powerより20W程度高い。ただ、RTX 4080 FEの差は6W程度でPCATの実測値とさほど差がない。理由は不明だが、HWiNFOやCapFrameXで取得できるGPU Powerの観測データは、厳密性はないものの参考にはなると考えてよいだろう。PCATのデータと連動させれば済む話だが、それは時間的余裕のない今回では使えなかった、とご理解頂きたい。

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