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【写真家レビュー】iPhone 14 Pro Maxは大型センサーを積んだカメラにかなり肉薄

望遠カメラで左は通常、右はポートレートモード。これは比較的前ボケが自然な例だ

「ミラーレス機に超広角レンズを装着して撮影」と
言われても疑問を感じないと思うほど画質が向上

 またズームが効かないポートレートモードでは、iPhone 13 Pro/Pro Maxは「1倍」と「3倍」しか選択できなかった。それが14 Pro/Pro Maxでは間の「2倍」も選ぶことができる。ボケを生かしたい場面では2倍(48mm相当)くらいの画角が構図を作りやすいので、これも実にありがたい。

 iOS 16ではポートレートモードでは被写体の背景だけでなく、手前にもボケが生じるようになった。いわゆる「前ボケ」というものだが、背景に比べると高度な画像処理が求められる気がする。状況によってはCGで頑張ってボカしました感が出てしまうが、できないよりは100倍いい。以前のポートレートモードは背後ががっつりボケるのに、被写体より手前はカリカリにシャープ。せっかくボケを生成する機能なのに、奥行きを生かすような表現が難しかったのだ。

超広角カメラで撮影。ミラーレス機に超広角レンズを装着して撮影しました、といわれても疑問を感じないと思う

 「0.5倍」の超広角カメラも画質が向上している。iPhone 13 Pro/Pro Maxでは画面周辺部の描写の甘さと、暗い場面でのノイズが気になっていた。それがiPhone 14 Pro/Pro Maxではレンズが一新されたことで、隅々までキレキレ。センサーも大型化されたとのことで、ノイズも軽減されているように感じる。一方「3倍」は大きなアップデートはないようだが、もともと良好な描写でiPhone 14 Pro/Pro Maxでも十分なパフォーマンスを発揮している。

こちらは望遠カメラ。適度な圧縮効果があり、遠景をかっこよく切り取るのに向いている

 とまあ、SIMカードも入れず、カメラ以外の機能も使わずにこれだけ書いても書ききれないほどだが、私物で持ったらさぞかし便利なのだろう。

 インカメラのある部分が切れ込みから「液晶に浮かぶ黒い島」になったのだが、これが最初はハードウェアの構造かと思っていたが、なんとこれはダイナミックアイランドという斬新なユーザーインターフェイス。カメラ使用時はブラックアウトする部分なので出番はないのだが、「ミュージック」などで試すと未来感がある。

 さらにApple ProRAWやシネマティックの話もしたいのだが、それは後編へ続く。

 

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筆者紹介――鹿野貴司
 1974年東京都生まれ、多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーランスの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるかたわら、精力的にドキュメンタリーなどの作品を発表している。

 写真集に「山梨県早川町 日本一小さな町の写真館」(平凡社)など。公益社団法人日本写真家協会会員。

 

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