アップルにとってiPhoneは非常に重要な製品であることは間違いない。しかし、今回の発表会を見ていると、バランスが少し変化してきたように思う。それは「iPhoneを持っているから他の製品も買う」のか、「他の製品を使っているからiPhoneを使い続けるのか」という違いだ。
その点を軸に、少し考え直してみることにしよう。
Apple Watchの「安全・安心」がiPhoneまで広がる
今回の発表は、iPhone、Apple Watch、AirPods Proの3本だてだった。このなかで最も売り上げが大きいのはiPhoneである。だからといって他の2つが添え物かというと違う。いや、正直に言えば、以前は「添え物」だったかもしれない。売り上げ比率も小さく、世の中に与える影響もまだ小さかった。
だがそれが変わってきて、アップルのメッセージの中でも違う価値を持ち始めた、というのが筆者の印象である。
特に大きいのがApple Watchの位置付けだ。今回の発表会でアップルは、特に「ユーザーが身につけていることで、万が一の事態に備えられる」という要素を強く押し出していた。Apple Watchによって心臓疾患の兆候を検出したり、転倒を検知したりするのはその好例だ。この秋の新製品では「衝突事故検出」機能も搭載した。これは自動車事故を想定したもの。現在は自動車自身に緊急時用の通信機能とGPSが搭載される時代だから、Apple Watchにそうした機能が搭載されるのも自然な流れかと思う。
さらに言えば、衝突事故検出はすべてのiPhone 14にも搭載された。「日常的に持っている機器に当たり前についているもの」にして、信頼性を担保しようとしている様子がうかがえる。
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