週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

iPhone14では日々の安心を「非日常」に広げる衛星通信機能が気になった

2022年09月09日 15時00分更新

衛星通信機能はネットができるようになってからが本番

 iPhone 14の発表会の最中、自分は飛行機の中にいました。フランクフルトからバンコクへ向かっており、バンコク到着後は現地で5GのSIMを買ったり5Gのスマホを買ったりと忙しく、iPhone 14のことはすっかり忘れていました。

 最近のアップルはリーク情報が多すぎるため、発表会を見ても驚くことが少なくなっています。それでも今回は衛星通信に対応するということでちょっとした興味はありました。しかし、おそらく事前に多くの人が期待していたのは携帯電話ネットワークがつながらないところでもそのままiPhoneを普通に使えること、だったでしょう。筆者は趣味でイリジウムなど衛星電話を使ったことが何度もありますが、衛星の電波を補足するには大きいアンテナが必要、さらに衛星と端末の間に障害物があっては使えません。つまり屋内では使えないのです。

 実際に発表されたiPhone 14の衛星通信サービスは緊急時のSOS発信と「探す」の検索機能に留まっています。また利用できるのはアメリカとカナダだけであり、無料で使えるのも2年間のみ。そしてiPhoneを天空の衛星に向ける必要があるなど、普通のスマートフォンのように使うことはできません。

iPhone 14の衛星通信は都市や街ではなく、電波のない僻地など向けだろう

 そのため、この衛星機能は多くの人にとって普段は使われることはないでしょう。しかし考えてみれば、山間部などで携帯キャリアの電波が飛ばないところは多く、高い木々が生い茂っているところでは難しいものの、空が見渡せる空間にさえ出れば衛星を補足できます。つまりiPhoneを持つことによる安心感を、日々の生活の中だけではなく、休暇中の旅行時にも広げてくれる機能ということになります。生活必需品となったスマートフォンにとって、地味ながらも実は重要なアップデート機能と言えるでしょう。

実はiPhone 14発表の前日に
ファーウェイが衛星通信機能搭載スマートフォンを発表していた

 いずれ衛星電話が他の国でも使えるようになるのであればiPhone 14は魅力的な製品に見えます。しかし、衛星への対応はiPhone 14の前日にファーウェイが「HUAWEI Mate 50」への搭載を先に発表しました。つまり技術的には他のメーカーでも衛星通信キャリアと協業すれば搭載することは難しくないようです。また、クアルコムやエリクソンは衛星を使った5Gネットワークを計画中です。そうなるとiPhone 14の衛星通信が他の国で利用できるよりも前に、他社のスマートフォンでのこの機能は当たり前のものになるかもしれません。

アップルより1日早くファーウェイが衛星通信対応を発表

 ここまで衛星通信のことを書きましたが、筆者にとってiPhone 14はそれ以外の面では特に目新しさは感じられませんでした。進化したカメラも「Xiaomi 12S Ultra」のライカカメラを楽しんでいる自分には魅力が感じられません。筆者はもともとアップルの製品を使っていないため、新型iPhoneに対しての要求はかなり高くなります。ですが、ライターとして使わずに最終判断を下すのはよくないこと。iPhone 14を手に入れ、実際に衛星通信を試してみたいと思っています。

山根博士のオフィシャルサイト

「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!

 長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!

 「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!

→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む

ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この特集の記事