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会社の代表番号に掛かってきた電話をスマホで取る「Zoom Phone」が本格的に

2022年07月10日 09時00分更新

固定電話にも対応、その市場規模はIP電話のほぼ4倍

 これまでのZoom Phoneでは、050番号などのIP電話サービスに限定したサービスとなっていたが、最新のアップデートにより、固定電話番号(0ABJ 番号)にも対応。中継装置であるセッション・ボーダー・コントローラーを設置しなくても利用できるようになった。

 IP電話の市場規模は899万件。それに対して、0ABJ番号の市場は3568万件となっており、市場規模が従来の4倍に拡大する。日本の固定回線電話市場全体を対象にビジネスができるようになったことで、「日本におけるクラウド電話システム市場への本格参入」という表現を用いているというわけだ。

 Zoom Phoneは、2021年6月からの約1年間で、国内で6万以上のライセンスを販売しているが、今後3年間で、その10倍となる60万ライセンス、60億円の売上げ規模を目指すという。

 ちなみに、北米では、2019年1月からサービス提供を開始しており、全世界で300万以上の利用があるという。

ここにも強みが負の影響を示す側面がある

 ZVC JAPANの下垣典弘会長は、「クラウド電話システムは、日本が世界に遅れている分野のひとつである」と指摘する。調査によると、米国におけるPBXのクラウド化率は41%に達しているのに対して、日本のクラウド化率は15%に留まっている。

 ここでは、日本の企業が持つ強みが、負の側面となって表れていることを指摘する。

 ZVC JAPANの下垣会長は、「日本の企業は、あくなき品質への取り組みや、高い現場力を持ち、さらに、開発や運用においても、業界全体でそれを支える仕組みが構築されていることが優れた点である」としながらも、「だが、この結果、システムを手作りしたり、パッケージ適用が遅れたりすることで、スピードの遅れ、クラウド化の遅れにつながっている。これが海外企業との差になり、競争力にもギャップが生まれることにつながっている」と指摘する。

 そして、「エンタープライズ領域におけるPBXのクラウド化比率が、北米に比べて低いのは、80年代から90年代に、システムへのパッケージ適用が遅れたことや、2000年以降にプラットフォームのクラウド化に遅れたのと似た状態である」と語り、「Zoom Phoneのアップデートによって実現したクラウド電話システムへの本格参入によって、日本の企業の固定電話のクラウド化を提案でき、PBXによる電話のオンプレミス環境を、新たなプラットフォームへと移行することができる」とする。

 加えて、「交換機のように価値を生み出さない資産がバランスシートから消え、資産を費用化できることが日本の企業に認知されれば、PBXのクラウド化に向けたトレンドは、さらに大きく動き、ZVC JAPANにとっても成長機会が生まれるだろう」とも指摘する。

 PBXのクラウド化の遅れは、日本の企業にとって、柔軟性がない仕組みを維持することにつながり、競争力の遅れやコスト負担の増加にも直結することになると警鐘を鳴らす。

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