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コロナ禍の変化はブラザーにプラスの変化をもたらしたのか?

2022年06月20日 09時30分更新

ワークマンのネーム入れなど、他社との連携も伸長

 ブラザーグループでは、2021年10月に、グループビジョン「At your side 2030」を策定した。これは、ブラザーが長年に渡って大切にしているAt your sideの精神に基づき、2030年のあるべき姿を定義したものだ。

 「社会環境はこの3年間で大きく変化している。リスクマネジメントを超えて、クライシスマネジメントの状態になっている。柔軟に、迅速に、あらゆる変化に対応していかなくてはならないが、変化の激しい時代だからこそ、長期的な視野で、企業がどうあるべきかを常に考えながら、足元の激変する環境に向き合い、乗り越えていくことが大切である」とする。

 ブラザーグループでは、「あり続けたい姿」を、「世界中の“あなた”の生産性と創造性をすぐそばで支え、社会の発展と地球の未来に貢献する」と定義。それを実現するための「価値の提供方法」では、「お客様のバリューチェーンに向き合い、ボトルネックとなるものを見つけて解消するだけでなく、モノづくりにとどまらないデジタル技術の活用などの“コト”も含めて、お客様への価値提供の幅も広げていく」とし、「パートナーのソリューションと、ブラザーのプリンティング技術を連携することで提供価値の幅を広げ、最適なソリューションを作り上げていきたい」と述べた。

 モノからコトへの転換は、いくつかの成果としてあげることができる。

 そのひとつが、オンデマンドプリントサービス事業を展開しているイメージ・マジックとの取り組みだ。

 オリジナルTシャツの生産工程では、手作業が多く発生していたが、これをできるだけ自動化し、効率化を実現。オリジナルTシャツを1枚からプリントでき、印刷工程にかかる時間は6分の1まで短縮したという。ここでは、イメージ・マジックのオンデマンドプリントシステムのなかに、ブラザーのガーメントプリンターを50台導入。作業効率化に貢献しているという。また、受注、印刷から出荷までの工程において、まずは無地のTシャツに、1枚ずつに貼付する管理ラベルを、ブラザーのラベルプリンターで発行。印刷工程を通過して、管理ラベルが劣化しない状態を実現しているという。今後はさらに自動化、効率化を推進していく考えだ。

 また、ソフトウェアサービスによる事例もあげる。

 ワークマンでは、ネーム刺繍サービスの提供において、新たなシステムを開発。顧客がワークマンのオンライン販売サイト上で、希望するテキストを入力。それを刺繍データに自動変換して画面上に表示し、購入者が確認。ワークマンでは、ブラザーのサーバー上にある刺繍データをダウンロードし、ミシンに刺繍データを転送。刺繍作業を行えるという。「ブラザーにしかできないサービスであり、ワークマンのスタッフの手作業が減少し、刺繍の注文が増加した」という。

 こうした事例を示しながら、三島社長は、「ブラザーでは、お客様と一緒になってボトルネックを解消したり、新たなビジネスを創出することに取り組んでいる。ブラザーの豊富な製品ラインアップと、柔軟なシステム対応力により、お客様の要望に沿ったカスタマイズができる。お客様がプリンティング業務で困っている際には、ブラザーに相談してもらえれば、トータルで解決できるような『プリンティングソリューションコンサルタント』を目指す」とした。

 ハードメーカーという印象が強いブラザーだが、ビジネスモデルは変化している。

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