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【実機レポ】見えてきたAppleシリコン戦略とM2 MacBook Airのファーストインプレ(本田雅一)

2022年06月08日 17時30分更新

しばらくはM2ベースのバリエーションチップへの展開が予想される

 まずM2は、5ナノメートルプロセスで構築されるSoCとなった。数字でいえば5ナノメートルだが、おそらくTSMCのN5PというA14 Bionicを生産するプロセスと同じものが使われる。しかし、それだけにM2は成熟度の高い製品になっている。

 M2のCPUはM1で使われていた高性能コア「Firestorm」と高効率コア「Icestorm」から、それぞれ「Avalanche」と「Blizzard」に更新されたことで、A13とA14にある違いと同じような高性能化が図られている。またGPUに関しても同様にA14世代となって高性能になっており、さらにコア数が最大8から10に増加した。

 今後、この部分の詳細は取材を重ねたいと思うが、プロセスの変化に伴う変化は当然、他の部分にも及んでおり、Neural Engine、ISP(イメージシグナルプロセッサ)などはA14世代に切り替わっている。高性能、高効率それぞれのコアが改善されているが、特に高効率コアの高性能化が大きい。実際の動作時には、高効率コアの向上がアプリケーション動作の応答性に影響するだろう。また、M1発表当時には完成していなかったMedia Engineが追加されていることも忘れてはならないだろう。

 これによりM2のCPUやGPUは動画編集時のコーデック処理から解放される。専用プロセッサでの処理は効率も高まるため、特にファンレス設計のMacBook Airでは実性能の面で利点はある。また将来のiPhone向けSoCが3ナノメートルプロセスに移行する際、M1からM2に至る流れを踏襲することが予想される。そうした意味で、iPhone向けSoCのトレンドをウォッチすることでMac向けSoCの将来像が想像できるようになったとはいえそうだ。

 なお接続されるメモリの帯域も1.5倍に拡張されている。メモリチャネルは増加していないが、接続帯域が増加しているためだ。またDRAMチップの容量選択肢が増えたため、最大メモリ容量が24GBになった。総じてM1とM2は同じシステムに搭載した場合の電力あたりの性能を高めるため、アップルが設計した最新の回路要素を集約したMac用SoCと言える。ダイ面積は35%増えているが、その中にはMedia Engineなどもある。

 今後はM1 Pro/Max/Ultraに相当するM2ファミリーが登場することが予想されるが、同時に、次のM3は大きなジャンプアップになるだろう。

 実は今年のiPhoneは、ProモデルだけがN3と言われる3ナノメートルプロセスで生産するA15 Bionicになると噂されているが、ProモデルではないiPhoneには採用されない可能性がある。つまりA15 BionicでCPU、GPUなどに大きなアップデートが入る可能性もあるが、その立ち上がりは緩やかで、M3が登場するまでには2年以上の時間を要するかもしれない。

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