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【実機レポ】見えてきたAppleシリコン戦略とM2 MacBook Airのファーストインプレ(本田雅一)

2022年06月08日 17時30分更新

M2を搭載したMacBook Air

MacBook Airは最新設計を踏襲した着実な進歩

 M2を搭載したMacBook Airも発表され、7月には出荷が始まる。長らく続いた楔形のウェッジデザインが廃止され、14インチMacBook Proを薄い1/2インチの筐体にしたかのようなフォルムになった。

 付属するACアダプターは新設計で、31ワット出力ながら極めて小さいだけでなく、USB-C PDの出力を2ポート持つため、同時に二つの機器に電源を供給できる。なお、MacBook Air自身は最大67Wまでの入力に対応している。オーダー時に67W版のACアダプターを選択することも可能だ。充電時間を短くしたい場合は、こちらを選ぶべきだろう。その場合、バッテリ残量ゼロから30分で50%まで充電できる。

付属の充電ケーブルはボディカラーと同じに

 カメラ部をノッチとし、その左右にメニューが表示されるデザインを採用。内蔵される1080p対応Facetime HDカメラは、同一のMacBook Pro 14インチモデルと同一のものだ。ただしM2採用でISPが最新世代になっているため、画質は向上しているという。

 サイズは13.6インチで従来機より0.3インチ増加しているものの、これはこのノッチ部分に拡大しているためで、それ以外の領域は従来機とほぼ同じように見える。最大輝度が400nitsから500nitsに増加はしているが、それ以外の品質(Display-P3対応)などは変化していない。

 Thunderbolt 3は2ポート(USB-C PDでの充電も可能だ)と変わらない一方、MagSafe 3コネクタが追加されたことで、Thunderboltを全て周辺デバイスに割り当てられるようになった。ただし、残念ながらSDカードスロットは装備されていない。

 外観の面ではキーボード左右が狭く幅が詰められていることもあるが、スピーカーの穴が開けられていない。スピーカーは背面に移設されており、ツイーターとウーファーの2ウェイステレオ構成のスピーカーは、ヒンジ奥の通気口に並ぶ形で設定されている。

 このような配置で「音質はどうか?」と思うだろうが、背面に音を排出し、スクリーン面に反射させて出しているとは思えないほど良好な音質。空間オーディオにも対応しており、きちんと立体的に聞こえる。ただし、マイクに関しては3アレイのビームフォーミングではあるものの、MacBook Proのような「スタジオ品質」ではなく、従来のMacBook Airと同等だ。

 このように新しいMacBook Airは昨年発売されたMacBook Proの14インチ、16インチモデルの設計フィロソフィーをそのまま踏襲し、最新のM2チップに置き換えられた製品で着実に進化している。

同時に発表されたMacBook Proの13インチモデルの主な仕様

 一方、同時に発表されたMacBook Proの13インチモデルに関しては、M2チップの恩恵を受けることが可能ではあるが、設計そのものは従来製品と変わらない。M1搭載時と同じく、高負荷が継続的にかかる場面やゲームを長時間遊ぶ際には、ある時点で熱をコントロールするためにMacBook Airのパフォーマンスは落ちるだろう。しかし、冷却ファンがあるMacBook Proはその限りではない。

 価格的な面も考慮するなら、13インチ版のMacBook ProよりもMacBook Airの方が良い選択肢になるはずだ。

 

筆者紹介――本田雅一
 ジャーナリスト、コラムニスト。ネット社会、スマホなどテック製品のトレンドを分析、コラムを執筆するネット/デジタルトレンド分析家。ネットやテックデバイスの普及を背景にした、現代のさまざまな社会問題やトレンドについて、テクノロジ、ビジネス、コンシューマなど多様な視点から森羅万象さまざまなジャンルを分析する。

 

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