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ファーストインプレッション

さすがのサウンド! ゼンハイザーの新フラッグシップIE 600が登場

2022年03月03日 10時00分更新

コンパクトで質感の高い本体、音は聴くほど良さに気づく

 実機を試すことができた。まず印象的なのはハウジングの素材。表面は粗く独特の質感がある。観る角度で表情が変わるのも面白い。一方でサイズ的には非常に小さく、耳穴の前のくぼみにすっぽりと収まる。耳の外側に出っ張る部分がほぼないので、装着したまま横向きで寝っ転がっても違和感がない。最近は完全ワイヤレスイヤホンを使う機会が多かったので、有線シングルドライバーの製品特有のコンパクトさはなかなか新鮮だった。寝ホン的な利用もイケそうだ。

独特の質感がある筐体と、イヤーチップ。フィルター部分の形状が独特。

 音についてはさすがである。くせがなく分離感も優れ、ワイドレンジで、低域もしっかりしている。ただ、傾向としては高域に特徴のあるゼンハイザーのヘッドホンとはかなり異なる印象。他社製品含め、ハイエンド機特有の玄人好みのチューニングに感じる面も。言い換えると目立った主張がないニュートラルな音という印象だ。

 IE 900とのキャラクターの違いは上のグラフの解説で少し触れた。「きらびやか」という言葉もあったが、実際に聞くとブライトでむしろナチュラルな印象。キラキラした高域やズシンとした低域といった分かりやすい特徴は持たず、音がごく自然に、ある意味、当たり前にあるものとして聴こえてくる。結果として、最初に聞いただけでは、特徴を感じにくいと思う人がいるかもしれないが、だんだん耳が慣れてくると、音楽のニュアンスがこれまでよりも少し伝わりやすくなったと感じたり、長時間聴いていた際の疲れにくさを感じたりする。また、ふと別の機種に変えた際、音質がかなり変化していることに気づくこともある。

 こうしたことを繰り返すうちに、ああこれはやはりハイエンドイヤホンの一角を担う、高いポテンシャルを持つ製品なのだなぁという実感がわいてくるのである。派手になりすぎないこともまた魅力の機種なのだと思う。

イヤーチップは6種類。筐体がコンパクトなぶん、よりしっかり固定できるジャストサイズの選択は重要。

 ポータブルの音楽再生はストリーミングとワイヤレスが主流になる中、有線のハイエンドイヤホンに興味を持つのはかなりのこだわりを持った人だと思う。聴けば聞くほど、その性能の高さや音楽のニュアンスに気付けるというのは、自分の耳も一緒に育っていくような感覚が味わえて面白いかもしれない。4.4mmのバランス出力用端子を持った上質なプレーヤーと組み合わせたい。音質は聴けば聞くほどの発見がある。機会があれば、より詳しく記事にしていきたいと思う。

でっぱりがすくなくコンパクトなL字型イヤホンジャック。ゼンハイザーのロゴがあしらわれている。こういった細部のこだわりもフラッグシップシリーズらしさを感じる部分だ。

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