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滋賀県日野町、香川県高松市、愛知県岡崎市、先進自治体に聞く

交通・観光・政策……ビッグデータ活用から見える自治体DX最前線

 国土交通省では、携帯電話の位置情報データを活用した実証実験事業を進めている。2021年12月に実証実験の採択事業者が決定し、2022年3月には成果報告会で成果の報告・公表が予定されている。今回、実証実験に参加している自治体から、滋賀県日野町、香川県高松市、愛知県岡崎市の3自治体に話を伺った。自治体が抱える課題は多い。その解決手法としてビッグデータ分析にはどのような期待を寄せているのだろうか。それぞれが語る実証実験を軸とした取り組みからは、日本の自治体が抱える課題とデータ活用での可能性が見えた。(以下、文中敬称略)

滋賀県日野町 副町長 津田 誠司氏。損保会社勤務を経て、1994年4月から滋賀県庁勤務。2020年10月から現職。県では「ビワイチサイクルツーリズム」等新規事業を推進。日野町では町長補佐全般に加え、最新のデジタル技術を活用した「わたむき自動車プロジェクト」(公共交通再編)など民間事業者と連携する「官民共創」による町長特命プロジェクトをすすめている。令和4年度からは、サテライトオフィスを活用した「官民共創」の「現代の近江日野商人プロジェクト」を推進予定。

香川県高松市 都市整備局 都市計画課 課長補佐 宮武 伸宇氏。平成13年高松市役所入庁、H13~17土地区画整理事業(太田第2土地区画整理事務所)、H18~21浸水対策事業(下水道建設課)、H22~27総合交通計画策定等(交通政策課)に従事し、現在の都市計画課に配属。交通政策課時代に交通戦略計画に位置づけた私鉄の新駅整備を含む交通結節拠点整備事業を展開するとともに、集約型都市構造の形成に向けた土地利用施策の検討も担当。前例や現行制度、組織の縦割りにとらわれず、庁内横断的な検討を行うため設置した”デジタル特命チーム”のリーダーとして、各分野のDX化に向けた事業提案も担当

愛知県岡崎市 総合政策部企画課 係長 鈴木 昌幸氏。愛知県岡崎市出身。計画関連部署を長く経験し、財政計画、公共施設等総合管理計画、総合計画、地方版総合戦略などを策定。EBPM推進で培った知見を活かし、全庁的な課題のもと、スマートシティ実現やデータ利活用に注力。また、岡崎スマートコミュニティ推進協議会の事務局を務め、公民連携して積極的な事業構築を進めている。

――ビッグデータの実証実験といえど、参加している自治体はそれぞれ立地や規模、抱えている課題もさまざまです。まずは自治体の概要と、本実証実験に参加した背景についてお聞かせください。

日野町 津田 日野町は滋賀県の東南に位置する山間にある人口約2万1000人の町です。町には工業団地があり、夜間人口よりも昼間人口の方が多いという特徴があります。しかし、流入してくる人口を町の活性化に活かせなかったという課題がありました。そこで、公共交通の活性化によって町の活性化を目指す取り組みとして「わたむき自動車プロジェクト」を2021年度より開始しました。その一環として今回の国交省の実証実験に参加しています。

わたむき自動車プロジェクト

高松市 宮武 高松市は人口約41万5000人を擁する香川県の県庁所在地です。四国の海の玄関口として昔から栄えてきましたが、今は本州と四国を結ぶ3本の橋がかかったことにより、港町という性格から変化が起きており、地域政策にも対応が求められています。今回は具体的課題の解決という視点ではなく、移動のデータをこれからどのようにうまく使っていくかという広く一般的な観点から、実証事業に参加しました。

四国の海の玄関口「高松」

岡崎市 鈴木 岡崎市は、トヨタ自動車がある豊田市や、デンソーやアイシンがある刈谷市と一体の経済圏を形成しており、西三河というエリアに属しています。西三河の人口は全体で160万人ほどで、岡崎市の人口は約38万5000人です。折しも令和5年1月から大河ドラマ『どうする家康』の放映がNHKで始まります。市の中心には徳川家康生誕の岡崎城があり、大河ドラマ館を設置することが決定しているため、観光客の増加が見込まれます。ですが、一方で岡崎城は国道1号線沿いにあるため、交通渋滞が悪化する可能性もあります。今回、ビッグデータを活用して、渋滞悪化という負の側面の最小化と、集客効果の最大化に取り組んでいきたいと考えています。

岡崎市 実証実験概要

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