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石巻震災復興に向けた観光事業促進のカギになると期待される「牡鹿半島における観光ビッグデータ活用」

2022年05月11日 08時00分更新

 宮城県石巻市は、東日本大震災で最も大きな被害を受けた地域のひとつだ。その傷跡は深く、震災復興に向けてさまざまな取り組みが現在でも進められている。

 2021年度、国交省の「ビッグデータ活用による旅客流動分析実証実験事業」に参加した一般社団法人おしかの学校は、牡鹿半島を含む石巻市東地域と女川町の復興に向け、地元支援を行う団体だ。「学校」の形を取り、コミュニティー形成イベントや防災教育、廃校の有効活用、新規産業の商品開発などに力を入れている。実証実験では、観光による地方創成を目指し、観光客のコントロール実現を目的としている。

 3月17日には、石巻観光事業者を対象とした事業報告会が開催され、分析結果の発表と今後の復興に向けた意見交換が行われた。報告会前日には牡鹿半島沖で再び大規模地震が発生、石巻市でも震度6弱が観測された。地震対応に当たった参加予定者の到着が遅れるなどのトラブルもある中で、今後の復興に向けて真剣な意見が取り合わされた。

人流データで詳細な回遊状況を把握

 事業の目的は、ビッグデータを利用して人流を把握することで、石巻への訪問客を誘致につなげることだ。人流の把握には、Wi-Fi型群流センサーとドコモのモバイル空間統計を利用した。

図 1 実証実験の取り組み内容。モバイル空間統計と群流解析を併用することで、人流を把握する

 市内各所にWi-Fi型群流センサーを設置し、来訪者のスマートフォンを計測することによって人流把握を目指した。石巻駅や観光物産館、震災遺構施設や観光施設での設置に加え、バス等への車載も実施した。リアルタイムでの確認ができ、メッシュ単位も50m単位と細かく、個人を特定しない形で牡鹿半島内での回遊状況を把握できる。

図 2 Wi-Fi型群流センサーの概要。観光施設やバス等に設置して人流データを取得した

 またドコモのモバイル空間統計は、購入した一定期間の過去データを参照し、分析できる。全国の人流がわかるため、地域別の訪問者の把握が可能だ。

図 3 モバイル空間統計データの処理工程。居住者と住民を分離し、観光客のみを対象とした

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