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スタートアップ向けセミナー~スタートアップ企業に必要な知財人材と体制~ by IP BASE

スタートアップにおける知財担当採用の重要ポイントとは

2022年02月25日 09時00分更新

知財部門を成長させるために考えるべきことは?

ピクシーダストテクノロジーズ株式会社IP&Legalファンクションチーム 木本 大介氏

市川 スタートアップでは知財部門が法務を兼任するのが当たり前だと思っています。法務部の一部門だと考えて、法律に関わることをリストアップし、誰が主導でやるかを見える化しています。空いているところは外部の専門家を活用して穴を埋めて、最終的にはすべて社内でできるようになるのが理想ですね。

中村 まずは成功事例を作ることが大事だと思っています。アイデアを吸い上げて特許を出願していくことで、目に見える成功事例を積み重ねていくことが重要だと思っています。

安高 スタートアップもいずれ成長して大企業になることを目指しているわけですよね。スタートアップの知財活動は、独占や係争というよりは、広報的な効果が強いけれど、大きくなっていくにつれて、実質的な独占などの機能に変えていかなくてはいけない。日本は事例がまだ少ないですが、ここは検討していくべきテーマだと思います。

橋本 今までの話とはベクトルが違うかもしれませんが、スタートアップは良くも悪くも全員野球。知財部門だからといって守備範囲を決めずに、専門外にもがつがつ踏み込んでいくことで社内の関係性や情報共有がうまくいくし、知財の理解も浸透していくように思います。

 最初は法務と知財が一体になっているので、法律に関わることは全部を見ることが多いと思います。規模が大きくなり法務部門と知財部門を分けるとなると、どのように分担するかが問題になります。当社の場合、特許や商標は知財部門の担当ですが、著作権と景品表示法まわりは知財と法務のどちらがやるのかまだあいまいです。また、知財意識の浸透は規模が小さいうちにやったほうが絶対いいです。当社は小さいうちにできなかったので、特許や意匠につながる発明や創作を表彰する「INVENTION AWARDS」を半年に1回開催しています。トップが知財を重視していることを示すことが浸透につながるように思います。

木本 最後に、これから知財に注力するスタートアップ経営者にメッセージを。

 当社は後手後手に回ってしまったので、何事も早くやることが重要だと実感しています。採用はすごく大変なので、早め早めに行動して、一人目の知財担当者を入れることが肝要です。

橋本 弊社も知財部門を拡充していく最初の一歩を踏み出したばかりではありますが、経営者の方は、CXOを補充して組織を大きくしていく活動のなかで、CIPO(知財専任者)も頭に置いて、知財を業務に活かす経営をしていただくといいと思います。

中村 知財は、管理系の業務と開発系の業務の狭間に落ち込んでしまいやすい業務です。弊社のCEOは自ら採用活動も積極的に関わっているくらいでした、こうした積極性を持ってトップが取り組んでいくことが大事だと思っています。また、採用については、どのような人が欲しいのか要件を明確化したほうがマッチングに成功しやすいと感じました。たとえ、条件が厳しくなったとしても候補者像を明確化することが大事だと考えます。

市川 私は知財は最初の1件が大事なので、社内の知財担当者をまだ採用しないにしても、専門家とのコンタクトは常に続けてほしいです。早い時期から知財を考えるマインドだけは持っていただければ。

鎌田 スタートアップはやることが多いので、なかなか手が回らないかともいますが、最初は兼任でもいいので置いてほしいです。自分たちの手が回らなければ、ぜひ外部の専門家に頼ってください。最初の頃はフルタイムで雇うほどの業務量がないでしょうから、プロボノなど副業の方に頼っていただくのもいいかもしれません。

安高 今回の議論で、スタートアップにおける知財担当の業務内容がイメージできたのではないかと思います。知財業界の方は、ぜひスタートアップに飛び込んでほしいです。

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