上位モデル級の電源まわりと高性能なVRMヒートシンクで安定動作
価格は低めでもCPU電源回路は妥協せず!コスパも放熱も優れたAlder Lakeマザーボード、MSI「MAG B660 TOMAHAWK WIFI DDR4」
1月上旬にNon [K] Alder LakeおよびH670/B660/H610といった普及帯向けチップセットがリリースされた。とくに後者はパフォーマンス良好なAlder Lakeをベースに、コストを抑えてPCを自作したいユーザーの注目を集めている。今回紹介するのはMSIの「MAG B660 TOMAHAWK WIFI DDR4」だ。メインストリーム・ゲーミングマザーボードの代表格「TOMAHAWK」のIntel B660チップセット搭載モデルとあって、注目度も高い。
電源回路にこだわった「メインストリームのためのAlder Lakeマザーボード」
昨年発売されたAlder Lakeは高いパフォーマンスを見せた一方、そう簡単に移行できなかった理由のひとつがPCパーツ全般の価格が高騰していることだろう。COVID-19禍による生産体制への影響、世界的なPC需要の高まりもあるが、ビデオカードはマイニングニーズもあってとくに入手が難しくなっていた。また、DDR5メモリの供給量もそこまで潤沢とは言えず、登場間もない新規格とあって容量あたりの価格も高かった。
MAG B660 TOMAHAWK WIFI DDR4は、チップセットレベルでIntel Z690よりも低価格なB660を採用し、メモリにもまだまだ主流と言えるDDR4を採用している。チップセットの機能としてIntel Z690ほど多機能ではないB660は、マザーボード設計レベルでもコストを抑えることができる。DDR4メモリもすでに回路設計的には枯れた技術であり、ここで意欲的な設計をする必要はない。
こうして抑えたコストのうち一部はゲーミングマザーボードのメインとも言える電源回路や機能に割り当てられている。ゲーミングモデルであるからには、ゲームという3D高負荷が長時間かかる使い方でも安定性、耐久性を担保した設計でなければならない。
電源回路は12+1+1フェーズで、PWMコントローラにはRenesas「RAA229132」を採用。組み合わせるMOSFETは60A対応のIntersil「ISL99360」Smart Power Stageだ。ダイレクト駆動ではないところはコスト重視のモデルという性格を表わしているが、高効率でフェーズダブラー不使用のDuet Rail Power Systemを採用している。また、PWMコントローラとMOSFETの組み合わせはアッパーミドルモデルでも見られるグレードだ。MAG B660 TOMAHAWK WIFI DDR4がコストを意識しつつも電源回路に重きを置いているのがよく分かる。
また、CPU電源回路が8ピンEPS12V×2基となっているところも注目だ。Intel B660はCPUの倍率変更で定格を超えた設定ができない。ただしPower Limitは設定可能だ。CPU電源端子が8ピン×2基で、電力供給に余裕がある点は性能面で期待ができる。Power Limit設定はBIOSで行なえるが、MAG B660 TOMAHAWK WIFI DDR4の初回起動時には装着したCPUクーラーを選ぶ画面が表示されるので、ここで設定することもできる。「Boxed Cooler」はリテールCPUクーラーやロープロファイルのCPUクーラー、「Tower Air Cooler」はいわゆるシングル/ツインタワーの空冷CPUクーラー、「Water Cooler」は水冷CPUクーラーといった区分だ。それぞれのPower LimitはBoxed Coolerが241W/280A、Tower Air Coolerが288W/512A、Water Coolerが4096W/512Aだ。なお、当然だがCPU電源端子は両方接続したほうがよい。EPS12V×1基接続しただけでも動作はするが、Power Limitを4096Wとしても若干抑えて動作しているフシが見られた。
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