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GeForce RTX 3060速報レビュー!VRAM 12GB&Resizable BAR対応のメインストリームGPUを検証

2021年02月25日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

検証環境は?

 前置きはここまでにして、今回の検証環境を紹介しよう。ZOTAC製RTX 3060カードと比較するためにRTX 3060 Ti/RTX 2060 SUPER/RTX 2060のFE版、さらに旧世代60番台との比較用にGTX 1660とGTX 1060 FEを用意した。基本的にどのGPUもResizable BARを有効にした状態(RTX 3060以外は意味を持たない)で検証しているが、RTX 3060のみResizable BARを無効にした状態でも検証している。

 また、ドライバーはRTX 3060以外はすべて検証時点における最新WQHL(GeForce 461.40)を使用している。

検証環境
CPU AMD「Ryzen 9 5950X」(16コア/32スレッド、3.4~4.9GHz)
CPUクーラー Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」(簡易水冷、280mmラジエーター)
マザーボード GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」(AMD X570、BIOS F33c)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」
(DDR4-3200、16GB×2)×2
ビデオカード NVIDIA「GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition」、
ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」、
NVIDIA「GeForce RTX 2060 SUPER Founders Edition」、
NVIDIA「GeForce RTX 2060 Founders Edition」、
ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 6GB GDDR5」、
NVIDIA「GeForce RTX 1060 Founders Edition」
ストレージ GIGABYTE「AORUS GP-ASM2NE6200TTTD」(NVMe M.2 SSD、2TB)、
Western Digital「WDS100T2X0C」(NVMe M.2 SSD、1TB)
電源ユニット Super Flower「LEADEX Platinum 2000W」(80PLUS PLATINUM、2000W)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(October 2020 Update)

RTX 2060を10〜20%上回る

 では定番「3DMark」のスコアー比べから検証を始めよう。RTX 3060のみResizable BAR有効時と無効時の2通りでデータをとっているが、両者に差が出るのか注目していきたい。

「3DMark」のスコアー

 前述の通り、RTX 3060はRTX 2060に対しCUDAコア数が1.86倍になったが、3DMarkのパフォーマンスを見る限りは、RTX 2060のせいぜい10%〜20%増程度にとどまっている。一番伸びたのはDXRを利用するPort Royalだが、これはAmpereではRTコアの世代が更新したことも効いている。

 これまで発売されたRTX 30シリーズのような、Turing世代に対する圧倒的な力量差が感じにくいスコアーになっているのは、メモリーバス幅が狭く、ROPやテクスチャーユニットが削られているためだと推測できる。実際、CUDAコア数が少ないがROPやテクスチャーユニット数が多く、メモリーバス幅の太いRTX 2060 SUPERに対しては、わずかに下周るかほぼ同等のスコアーを出すにとどまっているからだ。

 続いてはシステム全体の消費電力をチェックしよう。システム起動10分後の安定値を“アイドル時”、「3DMark」Time Spyデモ実行中のピーク値を“高負荷時”としている。消費電力の計測にはラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を利用した。

システム全体の消費電力

 RTX 3060とRTX 2060 SUPER FEの消費電力はほぼ同レベルだが、ややRTX 3060の方が多い程度で、GTX 1060 FEから見ると約100W増になっている。この程度であれば500W電源で十分まかなえるので、電源ユニット更新を考えたくない人には好適なGPUといえる。

Resizable BARの効果はほぼ感じられず……

 では実ゲームベースの検証に入ろう。今回は時間確保が難しい状況下であるため、RX 6800シリーズ検証においてResizable BARが効くと確認できている「Rainbow Six Siege」「Assassin's Creed Valhalla」「Red Dead Redemption 2」の3本に注目する。さらにDXR対応ゲームの代表として「Watch Dogs: Legion」の都合4本のゲームを用意した。それ以外のゲームについては続報をお待ちいただきたい。

 まずは「Rainbow Six Siege」だ。APIはVulkan、画質は“最高”をベースにレンダースケール100%を追加。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。

「Rainbow Six Siege」Vulkan、1920×1080ドット時のフレームレート

「Rainbow Six Siege」Vulkan、2560×1440ドット時のフレームレート

「Rainbow Six Siege」Vulkan、3840×2160ドット時のフレームレート

 まず平均fpsに注目すると、GPUの型番通りの序列になっていることが分かる。RTX 3060 Ti FEの平均fpsが飛び抜けて高く、続いてRTX 3060、次に3DMarkではRTX 3060に並んでいたRTX 2060 SUPER FE、そしてRTX 2060 FE〜GTX 1060 FEまで順序よく並んでいる。フルHDの結果のみに注目すると、RTX 3060はGTX 1060 FEの約2.3倍弱、GTX 1660の約1.7倍弱のパワーであることが分かる。旧世代60番台、特にGTX世代から乗り換えれば、かなりのパワーアップが期待できるはずだ。

 Rainbow Six SiegeはRX 6800 XT+AMD環境でResizable BARのメリットが確認できたゲームだが、RTX 3060+AMD環境ではResizable BARを有効にしても効果が観測できなかった。ただ3DMarkでスコアーが非常に近かったRTX 2060 SUPER FEに対しては約13%、RTX 2060 FEに対しては約25%(ともにフルHD時)上回っており、Ampereアーキテクチャーの強さ(FP32専用ラインとINT32/FP32併用ラインを分けた、など)が上手く機能していることが分かる。

 そして何より面白いのは、上位であるRTX 3060 Ti FEとの対比だ。平均fpsにおいてはCUDAコア数やメモリーバス幅等で勝るRTX 3060 Ti FEに終始後れをとるものの、最低fpsは常にRTX 3060が上回る。Rainbow Six SiegeのVRAM消費量はそれほど多くないため、RTX 3060に搭載されているVRAMのクロックが高いことが原因と考えるのが妥当だ。

 続いては、RX 6800シリーズの検証においてResizable BARの効果が非常に大きいことが確認できた「Assassin's Creed Valhalla」だ。画質は“最高”とし、ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。

「Assassin's Creed Valhalla」1920×1080ドット時のフレームレート

「Assassin's Creed Valhalla」2560×1440ドット時のフレームレート

「Assassin's Creed Valhalla」3840×2160ドット時のフレームレート

 Assassin's Creed ValhallaではRTX 3060のパフォーマンスはRTX 2060の約20%上、RTX 3060 Ti FEの約14%下となった(いずれもResizable BAR有効時のデータを基準に算定)。そしてResizable BAR有効時は無効時に比べ、フルHD時で平均3fps上回るデータを出しているが、RX 6800シリーズでの結果(おおよそ10〜20%アップ)を考えると誤差程度の差でしかない。

 何らかの不具合でResizable BARが正しく働いていない可能性も残されているが、このデータからAssassin's Creed ValhallaでResizable BARの効果が大きいという検証データは、RX 6800シリーズのアーキテクチャー(恐らくInfinity Cache)と上手く噛み合った結果出たものであり、今のGeForceではあまりメリットがないものという推測ができる。

 もちろん、RTX 3060ではResizable BARのボトルネックを解消する前に、狭いメモリーバス幅の方がボトルネックになっているという仮説も捨てきれないため、今後登場するRTX 30シリーズ用のResizable BAR対応vBIOS登場まで、結論は棚上げすべきだろう。

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