クルマのディスプレーの概念を覆す
ワイドタッチスクリーン
続いて「車内ではワイドスクリーンHonda CONNECT ディスプレーとHondaパーソナルアシスタントを使ったハンズオフ操作」という面について、安藝さんの取り組みと、実際のユースケースをご紹介しましょう。
Honda eは木製のダッシュボードの上に5枚の大型タッチディスプレーが取り付けられています。それは「机の上に置かれたタブレット端末」にも見え、見たことないけれど、どこか現代的な親しみを覚えるものです。「車内では、音声によるナビやオーディオの操作に留まらず、たとえば緊急時のSOSコールなども考えられます。そこで、音声認識技術とAIを駆使して、認識率が高く使い勝手のよいシステムを開発しました」とのこと。ではナビで実際に使ってみることにしましょう。
「近くのイタリアレストラン」というと、瞬時に候補地が出てきます。さらに「駐車場があるところは?」と言うと、条件を絞り込んでの提示を行ないます。カーナビの音声入力でイラっとしたことがある人は多いことでしょう。私もそんな一人。ですが、そういった人こそ、この認識率と早さ、快適さには驚くこと間違いありません。高級自動車メーカーの中にはオペレーターにつながり、提案をしてナビ操作までしてくれるコンシュルジュサービスがありますが、それをAIが、しかもコンシュルジュサービスよりも高速に行なうのですから驚くほかありません。これに予約までしてくれたら完璧です。
さらに「近くのイタリアレストラン&駐車場のあるところ」という検索後、「やっぱり中華がいいな」と言うと、今度は駐車場のある中華料理店という絞り込みまでしてくれます。タッチパネルで住所を入力する時代の終わりを感じるとともに、記事を作る者としては「動画を撮ればよかった」と後悔しきり。今度、Honda eをお借りした時にこの認識率の高さを動画でご紹介したいと思います。
さらにHonda eは、アプリによる機能拡張ができるという点も、今までの自動車にはない発想です。「Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応していますが、専用アプリをインストールすることで、スマホと車両を接続しなくても、これらのアプリが使えるようなシステム設計をしています。コネクティブのよいところは、このように機能拡張ができる点といえます」と安藝さん。ちなみにradikoやNAVITIMEなどいくつかのアプリを提供しているとのことで、Androidアプリのコードを元にHonda e用に改修すれば提供できるとのこと。ソフトベンダーとしても、工数削減になりますし、アプリが増えればHonda eはより快適になる可能性を秘めています。
さらに「これは別車種になるのですが、アジアで販売しているCITYにもコネクティブの機能を搭載しており、最近ではAmazonのAlexaに対応するようになりました」だそうです。車両の外に設置したAlexa対応スマートスピーカーを使い、音声入力でエアコン操作などができるとのこと。
ちなみにHonda eにはHondaアプリセンター経由でインストールでき、スクリーンで熱帯魚が動くアプリ「Aquarium」が用意されています。これは「こんなに大きな画面があるのだから、水槽に見立てよう」という声から作成したとのこと。魚たちはAIで動いているそうで、画面をタップすると餌が表示され、そこに魚たちが集まってくる遊びも。安藝さんは「これが意外と評判が良いんですよ」だとか。
もう一つ、車内に関すること。それは充電です。安藝さんによると「電気自動車オーナーは充電中、車内で過ごすことが多いんですよ」とのこと。Honda eは、紹介した大画面のほか、Wi-Fiスポット機能とHDMI入力を備えています。つまりGoogleのChrome CastやAmazonのFire TV Stickを繋げば、車内でストリーミング動画の鑑賞ができるというわけです。これもまた一つのユースケースですね。ちなみに安藝さんはゲーム機を接続し、車内で遊ぶという離れ業まで披露。こういった事は、社外品カーナビで体験したことはありましたが、自動車メーカーのオプションなしで実現したことに驚いた次第です。
Honda初の電気自動車ということもあり、走りは云々、航続距離が云々といった走行面の紹介が多いHonda e。ですが、今までのクルマとは大きく異なる使い勝手の良さであったり、アイデアに「クルマの未来はこうなるのか」と感動したのが取材後の正直な感想。人とクルマを身近にする、というアイデアには納得ですし、ここまでシームレスだと「もっと……」とも思ったり「今後、Hondaの他のクルマにも……」と願ってしまうところも。安藝さんは「他の車種にも展開できたらいいですね」とニヤッと笑ったのが印象的でした。
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