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楽しくゲームを遊んで「稲作」についても学べる一石二鳥のタイトル

『天穂のサクナヒメ』はなぜブレイクしたのか?あらゆる面で完成度が高い「唯一無二」の「稲作ゲーム」をプレイ!

2020年12月17日 13時00分更新

 企画・開発を「えーでるわいす」が担当し、マーベラスより2020年11月12日に発売された和風アクションRPG『天穂(てんすい)のサクナヒメ』(PlayStation 4/Nintendo Switch/PC(Steam))。本作は稲を育てて強くなる独特なシステムを持つ「稲作ゲーム」で、その作り込みが非常にリアルだと評判の作品だ。

 稲作、つまり「お米」を作る過程が細かくゲームシステムとして組み込まれているのが特徴で、発売当初はSNSを中心に「農林水産省のHPが攻略wiki」といったパワーワードが話題となり、店頭のパッケージ版が品薄になるほどブレイク。ゲームとしておもしろいうえ、本格的な「稲作」についても学べるというお得なタイトルとなっている。

 遅ればせながら筆者も『天穂のサクナヒメ』を実際にプレイしてみた。なるほど、これはハマる!そこで今回は、本作がブレイクした理由となる魅力を、5つに分けて紹介していこう。

■『天穂のサクナヒメ』プロモーション映像③

魅力その壱:八百万の神々と人間が住む「二つ世」をめぐる純和風の世界観

 本作はとことん「和風」を突き詰めた作品だと感じた。万物に宿る八百万の神々と、それを敬うことが当たり前の人間たち。昨今の日本人がともすれば忘れてしまいそうな、古来より日本人が重んじてきた宗教観がベースとなっており、なんだかとても懐かしい気持ちになる。

 また、グラフィックや音楽が日本のプレイヤーになじみ深いところもポイントだ。キャラクターデザインはデフォルメ寄り、建物は茅葺き(かやぶき)屋根の木造の家屋、音楽も和太鼓や尺八のような和楽器を中心に構成されており、これぞ「和風ゲーム」といった要素が詰め込まれている。

 もちろん、和風のゲームが必ず売れるかと言えばそうではないが、最近の作品だと『Ghost of Tsushima』が大ヒットになったのは記憶に新しいし、少し古い作品では『大神』や『俺の屍を越えてゆけ』など、日本古来の考え方や伝承をモチーフにした作品は、名作の印象が強い。

 それらの作品に並び立つような魅力を筆者は本作に感じており、そもそもトレーラーを見た第一印象から「あ、好き」となった作品に外れはないと思う。つまり本作を構成する世界観やグラフィック&音楽は、筆者の心をひと目でわしづかみにしたのだ。

グラフィックは美麗で、音楽を聴きながら景色を眺めているだけでも楽しめる。
富士山のような山もあり、風情があるとはこのことか……

魅力その弐:「人間らしさ」が光るキャラクターが紡ぐ人間ドラマ

 昨今のゲームでは仲間が数十人登場するタイトルも多いが、本作に登場するキャラクターはおよそ10人程度。誰もが重要人物であり、印象がかぶらないのも魅力の1つだ。

 とくに主人公であるサクナヒメは語らずにはいられないほど「人間らしい」。最初は親の七光りを利用する自堕落な駄女神として描かれていた彼女が、しだいに立派になっていく成長ドラマは一見の価値あり。というか、これだけでもうプレイする価値は十分だと思えるほど質が高いと感じた。

自業自得なトラブルを引き起こしては人間に罪をかぶせようとするわ、都から追放される際は泣きじゃくるわと、典型的な「子ども」っぷりを見せるサクナヒメ

 もちろん、ほかの人間たちもそれぞれにドラマが用意されている。子どもとの接し方を模索する「ミルテ」や、きんたをスト…影からこっそり見守る「ゆい」だったり、鬼と戦うサクナヒメを認められず外に飛び出してしまう「きんた」など、さまざまな表情を見せてくれるキャラクターたちが、本作をよりおもしろくしているのは間違いない。

みんなで「田植唄(たうえうた)」を歌いながら田植えするイベント。鬼との殺伐とした戦闘と、ほのぼのとした牧歌的なイベントがいいバランスをとっていると感じた

 さらに、本作では鬼が跋扈する「鬼島」の探索を進めることになるのだが、そのメインストーリーも感情を揺さぶる作りになっているので、物語重視なプレイヤーも安心できると保証しよう。

ウサギ、イノシシ、クマなどの姿をした多彩な「鬼」が生息。夜に探索すると「鬼」はより狂暴に……

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