DLSS Ultraが8Kゲーミング実現の鍵となる
既報で解説している通り、RTX 3090 FEを8Kゲーミング向けと称する根拠は、DLSSを利用してWQHDの映像から8Kの映像を得る処理にある。ここまでのベンチマークで見てきた通り、従来のように1ドットずつ処理していく描画手法では、フルHDの16画面ぶんに相当する8Kの負荷にはついていけないからだ。
しかし、前述のDLSSに対応しているMetro ExodusではDLSSを有効にしても大してフレームレートは向上しなかった。Metro ExodusのDLSSは8Kを視野に入れたDLSSではなく、GeForce RTX 20シリーズのリリース当初からあるDLSS 1.0で実装されているためだ。
では最新のDLSS 2.0対応ゲームであれば無条件に8Kまでいけるのかと言えば、そうではない。8Kゲーミングを狙えるパフォーマンスと画質を得るには、今月リリースされた「DLSS 2.0の改良」(詳細:NVIDIAの開発者向けニュース)、で組み込まれた「DLSS Ultra」への対応が必須だ。
このDLSS Ultraの設定はゲームによりUIが大きく異なる。例えば、「Control」の場合、DLSSを有効にして内部解像度を特定の値(画面が8KならレンダリングはWQHD)に指定した時に初めて機能する。今回の検証では「Control」と「Wolfenstein: Youngblood」の2本でDLSS Ultraに対応するβビルドを提供していただき、その上で検証を行なった。ちなみに、今回は使っていないが「Death Stranding」もDLSS Ultra対応版が開発中だ。
では実際に「Control」で検証してみよう。APIはDirectX 12、画質は「高」、レイトレースは「高」に設定した。マップ内の一定のコースを移動したときのフレームレートを「CapFrameX」で測定する。DLSSのレンダー解像度は5K設定(DLSS Quality)に加え、8K時はWQHD設定(DLSS Ultra)も試した。
ただし、今回試したβビルドは安定性があまり良くない上にパフォーマンス面でも問題があったので、あくまで参考値としてご覧いただきたい。
RTX 3090 FEはDLSSがあってもなくてもTITAN RTXに対しては圧倒的だが、RTX 3080 FEに対してはあまりアドバンテージを得られない。特にフルHDではほぼフレームレートが頭打ちになってしまっているのは残念だ。WQHDのDLSS無効時では差がついたが、DLSSを有効にすると再び頭打ちで並ぶ。
しかし、8K解像度でDLSSのない状況だと、VRAM搭載量の少ないRTX 3080 FEはまったく動けなくなるし、RTX 3090 FEもTITAN RTXもほぼ紙芝居状態となる。だがDLSSを有効(DLSS Quality)にすると、内部解像度が減るためRTX 3080 FEでもコマ送り状態だが動けるようになり、RTX 3090 FEもTITAN RTXもフレームレートが倍増した。
さらに、ここでDLSS UltraにするとRTX 3090 FEだけが突出した結果を出せれば面白かったのだが、結果はどのGPUもフレームレートが大幅に改善し、マップを動き回って探索する程度のフレームレートが得られた。今回試したシーンではVRAM使用量は10GBをやや超える状況に収まったのでRTX 3080 FEでもギリギリ動かせた、という感じだ。ただし、VRAMの余裕を考えると8K+DLSS Ultraで安定して動かすにはVRAM 10GBでは厳しいかもしれない。
Controlにおける各GPUの性能比はRTX 3090 FEを100%とした場合、上のグラフのようになる。DLSSを使うならRTX 3080 FEでもなんとか8Kで描画できるため、8KゲーミングはRTX 3090だけに許されている特権ではない。だが究極の高みを目指す場合、RTX 3090のほうがより8Kにリーチしやすい、と言うべきだろう。
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