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フルHD、WQHD、4K時における性能をDXR&DLSSの有効・無効時でどう変わる?

GeForce RTX 3080 FEは4Kで輝く!RTX 2080 Ti/2080/GTX 1080とゲーム13本で徹底検証

2020年09月17日 15時00分更新

350W消費する割には温度は意外と低め

 最後にGeForce RTX 3080 FEの発熱について検証しよう。カード単体で瞬間的とは言え、最大350W消費するビデオカードなので、発熱が心配になるのは当然だ。さらに、GeForce RTX 3080 FEに採用されたDual Axial Flow-throughデザインの場合、マザーボード上のメモリーモジュール側にも廃熱するので、メモリーが炙られると危惧している人もいるだろう。

 そこで、ゲーム中(ここでもControlを使う)のGPU温度とメモリーモジュール(DIMM)温度を約30分間、モニタリングツール「HWiNFO」で追跡することにした。普通に平置きのベンチマーク台に設置した状態と、ビデオカードとメモリースロットの間にクリアファイルを置き、GeForce RTX 3080 FEの裏面ファンの出す温風がメモリーモジュールに直接あたらないようにした状態の2通りを比較する。GeForce RTX 3080 FEの裏面ファンの風でメモリーモジュールがネガティブな効果を与えるなら、メモリーモジュールの温度上昇となって現われるはずだ。

GeForce RTX 3080 FEのGPU温度とメモリーモジュール4枚の温度の内、最も高い値を追跡したもの。なお、検証は室温28度の環境で実施した

 面白いことに仕切りのあり・なしでGPU温度もメモリーモジュールの温度も大きく変化することはなかった。それどころか、仕切りがないほうが長い目で見てメモリーモジュールの温度が微妙に下がっている。計測誤差と言ってはそれまでだが、メモリーモジュール付近の空気をGeForce RTX 3080 FEの裏面ファンから出る風が積極的に動かすのでメリットは少しある、といったところだろうか。

 ただし、一般的なPCケースに入れて運用した時にどういう結果になるか、ライザーケーブルを使ってビデオカードを縦置きした時にチップセットやSSDの温度にどう影響するかは、今後も検証を続ける必要があるだろう。

 余談だが、負荷をかけた時にカードのどこが熱くなるか「FLIR ONE」を利用してサーモグラフィー画像も撮影してみたので参考にしてほしい。

アイドル時(起動から15分)のサーモグラフィー画像。ファンも停止しており、熱い部分はない

「Control」をプレイ状態で30分放置した時のサーモグラフィー画像。ファンに近い部分のフィンはそれなりに温度が低いが、中央のX字状構造に分断された上下のフィン部分の温度は高い。1ヵ所だけ温度の高いヒートスポット(X字上の右上部)が観測できる

やや雑だがGeForce RTX 3080 FEの基板画像を上記画像に重ねてみた。12ピンの補助電源コネクターのすぐ下あたりが熱いようだ。ただし、ほかにも熱い部分があり、フィンに隠れて写っていない可能性も考える必要がある

上の画像から判断すると、赤丸のあたりのパーツが特に熱くなるようだ。ただし、この基板と実際のGeForce RTX 3080 FEの基板ではパーツレイアウトが異なる可能性も考えられる

同様にゲーム中のサーモグラフィー画像。カードの側面温度は64度付近、カード中央部に少しだけ露出している基板温度は84度と読める

 予想通り、中央のX字状構造で分断されたフィンの部分が特に熱くなることが確認できた。カード全体にファンの風をあて、冷却ファンの風が届かない中央部フィンの冷却を意識したほうが良いのだろう。

まとめ:電力は食うが、4K&最高画質でプレイするなら最強

 以上でGeForce RTX 3080 FEのゲームにおけるベンチマークは一端終了としたい。ゲーム中でもシステム全体で480Wに届きそうな消費電力になって驚いた人もいるだろうが、そのぶんしっかりフレームレートは出ているので順当な進化と言えるだろう。12nmから8nm(NVIDIAカスタムプロセス)にシュリンクすることでGeForce RTX 2080の3倍弱のCUDAコアを詰め込んでも現実的な消費電力に抑えた点は素直にスゴイ。

 GeForce RTX 2080 FEに対して最大2倍速いという謳い文句は嘘ではなかったが、フルHD環境では思ったほど伸びないこともわかった。前回紹介したRainbow Six Siegeのように、フルHDで平均360fps以上をキープできるゲームもあったが、今回試したPUBGのようにフルHDでは伸びが甘いゲームもあるなど、ゲームのエンジンと噛み合うか否かが極めて重要になる。現時点においては、GeForce RTX 2080 FEに対して最大2倍という謳い文句が“真”に近づくのは解像度を上げ、レイトレーシングやDLSSを使った時であるため、eスポーツ系ゲーマーよりも映像美を楽しみたいゲーマーに刺さる製品と言える。

 とは言え、ユーザー視点ではGeForce RTX 3080のネックが「価格」であることは否定できない。米ドル表記を見た後にAICパートナー製品の国内流通価格を見ると割高感がある(9/16明け方時点でもまだ知らされていないが、各社10万円がスタートラインのようだ)。ただし、GeForce RTX 2080 Tiを30%上回る性能がGeForce RTX 2080と同クラスの価格であることを考えると、“性能なりの価格帯”ではあると感じる。今月登場するとされるGeForce RTX 3090がどこまでこの性能を上回れるか楽しみだ。

 だが、まだGeForce RTX 3080 FEの検証が終わったわけではない。次回は「V-Ray」や「Premiere Pro 2020」といったクリエイティブ系処理でのパフォーマンスを比較するとしよう。

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