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フルHD、WQHD、4K時における性能をDXR&DLSSの有効・無効時でどう変わる?

GeForce RTX 3080 FEは4Kで輝く!RTX 2080 Ti/2080/GTX 1080とゲーム13本で徹底検証

2020年09月17日 15時00分更新

開発中のDXR特盛ゲーム、Boundaryでも検証

 最後に、SurgicalScalpels社が開発中のゲーム「Boundary」をベースにした技術デモ兼ベンチマーク「Boundary: Raytracing Benchmark」にアクセスできたので回してみた。このベンチマークの一般公開は後日とのことだが、YouTube上でDXRをふんだんに利用した動画を見られる。

 なお、今回使用したビルドでは画質設定を選ぶことはできなかったが、DLSSは「Quality」設定で試した。

「Boundary: Raytracing Benchmark」のフレームレート

 このベンチマークは前半部(エアロック内側から見た突入シーン)と後半部(宇宙ステーション外側の銃撃戦)に分かれるが、前半部のフレームレートはGeForce RTX 3080 FEでもかなり重い(平均30fps程度)。しかしながら、GeForce RTX 3080 FEはここに登場したGPUの中では飛び抜けたパフォーマンスを誇っている。DLSS有効のフルHD時ですらGeForce RTX 2080 FEの約75%上、4K時だと約90%上のフレームレートを獲得している。

消費電力はゲーム中でも350Wあたりが上限

 さて、ゲームのベンチマークはこの辺にして、RTX 3080 FEの消費電力について少し深掘りしてみよう。

 まず消費電力は先日NVIDIAからお借りした「PCAT」(解説記事:ビデオカードの消費電力を正確に計測するNVIDIAの純正キット「PCAT」と「FrameView」を解説)を利用してカード単体の消費電力のみをチェックしてみたい。まずは「FurMark」を10分間走らせた時の消費電力をPCATで追跡したのが下のグラフだ。

「FurMark」実行時におけるRTX 3080 FEの消費電力

 前回少し触れた通り、GeForce RTX 3080 FEのTBP(Total Board Power)は320Wだが、瞬間的になら最大は353Wまで確認できた。ただし、そのような値になるのは一瞬(PCAT上では0.1秒)、かつ350Wを超えた頻度も10分間で2回だけなので、それほど気にする必要はないだろう。平均は320Wに落ち着く。8ピンケーブルの消費電力は片方が平均140.7W(最大165W)、もう片方が平均124.2W(最大139W)、さらに拡張スロットからの供給電力は平均55.5W(最大60W)取得していた。140W+120W+55W=315Wなので、TBPの公称値と各電源系統の実測値の合計はほぼ等しいことが確認できた。

 しかしながら、FurMarkの負荷は少々大げさ過ぎるので、実際にゲームを動かした時の消費電力を使って検証をしてみよう。ここでは「Control」を使用し、プレイ状態で放置した時のTBPをPCATで直接測定している。解像度はフルHD、画質「高」+レイトレーシング「高」に設定した。なお、DLSSを使うとは内部解像度が下がり、消費電力も連動して微妙に下がる傾向が見られたので使用していない。

ゲーム「Control」プレイ中のTBP:Total Board Powerの推移

 ゲームが始まるのはグラフ横軸の60(単位は秒)以降だが、ほぼ各GPUのTBPを中心に上下に変動する感じの値が取得できている。これだけだとわかりづらいので、ゲーム開始から計測終了時点(60秒以降から600秒まで)の最大/平均/最小値、さらに標準偏差も求めてみた。

ゲーム「Control」プレイ中のTBPを集計したもの

 どのGPUも平均値はそのカードに設定されたTBP(GPU-Z上で言うPower Limit)に収束するが、最大値は標準偏差の3倍程度(統計で言う3σ)に高くなる時もある。GeForce GTX 1080 FEは本来のTBP(180W)よりも実測の平均値(153W程度)がかなり低くなったが、Pascal世代のGPU Boost 3.0はGPUの限界(TBP)に対して攻め寄りが甘いためだと推測できる。Turing以降でGPU Boost 4.0になり、さらに攻めるようになった結果、TBPと実際の消費電力が近くなったのではと考えられる。なお、GeForce RTX 2080 Ti FEの消費電力の最小値が低いのは、ゲーム開始直後に一瞬スパイクのように下がった瞬間の値(1サンプル)を拾っているためだ。

 そして、上のグラフで得られたGeForce RTX 3080 FEの消費電力がどの程度の分布になっているかをヒストグラムに直したのが次のグラフだ。横軸はTBPのW数であり、縦軸が頻度となる。

GeForce RTX 3080 FEでゲーム「Control」プレイ中のTBPの頻度分布。横軸がTBPで縦軸がサンプル数だ

 完璧とは言わないまでも、かなり正規分布っぽい分布になっていることがわかる。赤いバーが定格TBP(320W)で、オレンジが標準偏差σ(309~329Wの間で、オレンジのバーの間に全体の67%の結果が含まれる)、水色が2σ(299~339Wの間で、この区間に全体の95%が含まれる)を示す。

 TBP320Wはあくまで平均値であり、今回の実測で2σより外のサンプル数は222個で、全体のサンプル数(5400個)からすると約4.1%だった。実測350Wに到達するのはまれなのでそれほど気にする必要はないが、TBP320WのGeForce RTX 3080 FEの場合、マージンは+40Wほど見ておくという前回の解説の根拠が示せたのではないかと思う。もちろん、vBIOSのチューニングや電源回路の構成などでこのルールも変わる可能性があるので注意してほしい。

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