“Xperia”というブランドネームはスマホだけではなく、タブレットにも採用されています。ソニーが最初に発売したAndroidタブレットは『Sony Tablet』でしたが、2012年モデルから『Xperia Tablet』へとネーミングを変更しました。
初めて登場した『Sony Tablet』は雑誌を折り返した形状をモチーフにしており、手になじみ、片側に重さが偏ってることで手にかかる負担が少ないため、長時間持っていても疲れにくいという明確なコンセプトをもっていました。
しかし、当初の大きく広げたコンセプトとは裏腹に、お世辞にも他社との差別化がうまくいっているとは言えず、単なるAndroidタブレットというポジションから脱却できていませんでした。
そこから1年が経過して、ワンソニーというフレーズとともに『Xperia Tablet』になり、ここを基点としていろいろとソニー製品と連携できることが増えてきたように思います。
『Xperia Tablet S』のデザインは、丸くグリップするスタイルだった『Sony Tablet S』シリーズから一転、薄型化したボディーになりました。
本体の厚さは最厚部で8.75ミリと約42%もスリム化し、最薄部でも1.3ミリ薄くなっているます。重量も約28グラム軽くなりながら、バッテリー容量は5000mAhから6000mAhへとアップ。CPUの強化や電気的な全体の設計の最適化、液晶のパネル制御の省電力化の恩恵で、例えばウェブサイトの閲覧は約5時間から約10時間と大幅なスタミナ向上を果たし、数値的にも大きく進化をアピールしていました。
基本スペックはOSがAndroid 4.0.4、CPUはNVIDIA製『Tegra 3』(クアッドコア、1.4GHz)、メモリーは1GB、ストレージは16GB、32GB、64GBの3種類。液晶ディスプレーは9.4インチワイド(1280×800ドット)でLEDバックライト、IPS液晶を採用しています。
フロントパネルと液晶面の間にパネルと屈折率の近い樹脂などを挟み込んで、映り込みや輝度のロスを大きく減らす“TruBlackディスプレイ”を採用しているおかげで、画面のコントラストは高く、視野角も広く、非常に視認性は高いです。
そして、背面素材をアルミニウムを採用するなどして質感も向上し、見る、触れる印象が随分と変わってきました。
この時代にはまだ防水防じんといった機能はありませんでしたが、生活防水(IPX4防滴)仕様になったというのもひとつのおおきなトピックで、キッチンまわりに遠慮なく置けたり、手が濡れたままで触っても気を使わなくても良いといった、よりふだん使いとしての使いやすさが上がっています。
音にも注力しており、タブレットにも原音を忠実に再現するデジタルアンプ“S-Master”や、スピーカーの音をクリアーでワイドレンジに補正する “ClearPhase”、サラウンドスピーカーの音を仮想的に再現する“S-FORCE Front Surround 3D”といったオーディオ技術を投入し、素のままで音楽を聞いたり映画を見た際にショボショボな音声ではなく、しっかりとした臨場感のある音質で聴けるようにと、よりソニーらしさを出してきました。
インカメラは100万画素、背面には800万画素のCMOSセンサー搭載HDカメラを搭載しおり、『Sony Tablet S』シリーズの前面30万画素、背面511万画素より高画素化しています。
ひとつ大きな特徴として、SDカードがそのまま入るスロットがあり、デジタル一眼カメラで撮影した撮った画像を閲覧するのにとても便利になりました。ただし、接続ポートが独自の専用マルチポートになってしまい、専用ケーブルがないと外部機器とつながらないという点はが唯一残念なところ。
音楽アプリは『WALKMAN』、写真閲覧アプリが『アルバム』、動画アプリが『ムービー』といった具合に、ソニー謹製のアプリとして、UIやソニー製品との共通性をもたせたのもこの時点からです。
スマホのテザリング機能を使える『Xperia Link』といった、外でもタブレットを手軽に使えるようアプリや、複数のアプリを同時に使える『スモールアプリ』も、まさに『Xperia Tablet S』ならではというポイントでした。
ハード面でもソフト面でも意欲的なモデルで、スマホと統一された”Xperia Tablet”という名前からしても、相当な期待値の高いモデルだったのですが、ディスプレー解像度が9.4インチワイドの1280×800ドット表示というところは、この時すでに高解像度化していた他社製品と比較され、激しく突っ込まれてしまいました。
半年を待たずして、まさかさらに劇的に変化をした『Xperia Tablet Z』が現われるとは思いもしなかったのですが……。結果として短命に終わってしまいましたが、ブランド名の変わる大きな役割とになったタブレットが『Xperia Tablet S』でした。
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