話題のスマホゲームのクリエイターとスクウェア・エニックス安藤武博氏が対談する連載『召喚★アプリ神(ゴッド)』。週刊アスキー本誌で掲載しきれなかったインタビュー内容を3回に分けて掲載します。
第12回はミクシィ『モンスターストライク』の木村弘毅さんを召喚!
『モンスターストライク』
↑ボール状のモンスターを引っ張って敵にぶつける、というシンプルな仕組みながら歯ごたえのある難易度、そして近くの友達と最大4人でワイワイ楽しめるマルチプレイがウリ。“ゴジラ”や“ドラえもん”といった有名作品とのコラボでも話題を呼んでいる。 |
↑ミクシィ木村弘毅氏(右)。スクウェア・エニックス安藤武博氏(左)。 |
■モンストイズムとはスタッフ全員がお客さんを向くこと
安藤:モンストスタジオって今、何人ぐらいスタッフがいるの? 200人くらい?
木村:そう、それくらい。
安藤:実は3年くらい前に一度ミクシィを訪ねた事があるんだけど、その時はSNSプラットフォームの会社という雰囲気だったんだよね。今は、エレベーターから降りてくるスタッフの方の中にゲーム開発っぽい雰囲気の人も増えているんだよね。200人もいるスタッフに、モンストイズムみたいなものを積極的に伝えたり、こういうものだよっていう話はよくするの?
木村:うん、やっているよ。
安藤:ぜひ僕にも、モンストイズムとは何かっていう話を聞かせてほしいですね。
木村:マーケティングの話にまた戻るけど、結局マーケティングとは顧客を定めることであり、お客さんありきなんだよね。企画だろうがデザイナーだろうがカスタマーサポートだろうが、全員がお客さんを向いている。そこさえブレなかったら、そんなに違う方向にはいかない。
それから市場全体の数字を見ていると全部を取りに行きたくなるけど、お客さんとして狙わない人も、あえて決めてるんだ。
安藤:狙って狙わないんだね。
木村:取りにいかないお客さんを定めると同時に、明確に取りに行くお客さんを決める。それを徹底して教えているんだ。すべてのお客さんを満足させられるわけじゃないし、全部取れたらこんなにたくさんゲームメーカーはいらないよね。僕らが提供するものに価値を感じてもらえる人がターゲットなんだ。
安藤:ターゲットの定義はどれぐらい細かくするの?
木村:モンストの場合は、みんなで集まってワイワイ楽しみたい人たち、かな。1人で黙々とヒマをつぶしたい人とか、オンラインゲームみたいに知らない人とも一緒に遊びたい人は、実は取りにいっていないんだ。
安藤:かなり広めに定義するんだね。今までこの連載に出ていただいた方って、ターゲッティングの話になった時にめちゃ狭いっていうお話が結構多いんだよ。『パズル&ドラゴンズ』は奥さん、『にゃんこ大戦争』は近くに座っているグラフィッカーの女の子とか、個人の狙い撃ちが多いんだけど、今の話って一般的なマーケティングっぽい話だよね。そういう定め方でもいけるんだって、今ちょっと目からウロコ。
木村:それもアリだと思うけど、僕らはやっぱりユーザーのことを考えて物事を決めるし、ユーザーが何を面白いと思うのかをいつも考えているからね。
安藤:そこに尽きるんだ。急激にスタッフが増えてたくさんの人と一緒に仕事をするようになったと思うけど、モンストイズムは徹底されている?
木村:うん、徹底されていると思うよ。
安藤:この前、モンストスタジオでは朝礼をやっているって言っていたよね。朝礼ではどんな話をするの?
木村:基本的には「おはようございます!」ってメガホンで叫んで、あとは絶対に周知すべき大きな問題とか、こんな数字が更新されましたとかのお話を。小笑いを取るためにそばにいる人をいじったりね。雰囲気を共有する感じかな。
安藤:いじられることでチームの雰囲気がよくなることって、絶対にあるもんね。
木村:うん。エンタメをつくっているわけだから、楽しくつくらないとウケないしね。あとは思い上がっているんじゃないかと思う時とか、反省をしなければいけないところはちゃんと反省をしたりもするしね。
安藤:そういう楽しい空気とか雰囲気の共有も、モンストイズムのひとつなんだろうね。
■モンストスタジアムで対戦のアツさを呼び起こす
安藤:今、対戦に特化したアプリゲームもつくってるよね。モンストでやりたいこともいろいろあるだろうし、これからどうしていきたいか教えほしいな。
木村:モンストの対戦版の『モンストスタジアム(以下、スタジアム)』は、言ってしまえばタイムアタック、レースゲームみたいなもので、2チームで挑んでどちらが先に敵を倒すかっていうゲームなんだ。
安藤:遅かったほうは、問答無用で脱落していくんだよね。別のアプリにした理由は、全然違う遊びだから?
木村:そうそう。やっぱり今のモンストの中心となっているコアバリューを楽しむ人は、あまり上手くなくても友達にくっついていったりしてみんなでワイワイ遊んで欲しい。対戦のスタジアムは、モンストを極めてしまった人に腕を競ってもらって、世界最速を目指して欲しいんだ。
安藤:スマホのゲームって対戦に行き着くんだね。さっきストIIの話もあったけど、対戦って面白いし、開発もすごい盛り上がるでしょう。モンストってみんなで遊ぶと「うわー!」って声が出るところが特徴的なゲームだと思うんだ。スマホのゲームで声が出るってあんまりないから、みんなと遊んでいるときのあの「わーっ!」っていう感じがすごく新しかったし、やっぱりスタジアムで対戦するときも声が出るんだろうなって思っているんだけど。
木村:スタジアムは友だちとチームをつくってライバルのチームと対戦するので、そういう歓声がでるものにしていきたい。
安藤:スタジアムで対戦が実現して、大きな流れの中では次々といろんなことが実現して行っていると思うんだけど、まだ出来ていないことや、やりたいことってある?
木村:うーん、難しいね。課題だった間口を広げることも、今は成功しているし。
安藤:2500万人だもんね。とんでもない数字だと思うけど。まだ伸びているしね。(現在は世界3000万人を突破)
木村:でも遊びが長く愛されていくためには、競技として楽しめる方向にいくべきなのかなと思っている。腕を磨けるようにしたり、もっと追究できるようにしたり、高めていくことがカッコイイと思える文化や仕様を、これからはつくっていかなきゃいけないかもね。
安藤:今流行りの言葉いうと“e-sports”みたいな感じだね。
木村:e-sportsっていうとPCの文化っぽい感じもあるけど、平たく言うとそうだよね。
安藤:モンストでも、このプレイすごいとかカッコイイというのをみんなで共有して盛り上がれたらいいよね。モンストはこんなにたくさんの人に支持されているわけだし、これから5年10年続いていくと思う。その時に「俺10年間モンストをやっていたんだよ」と自信を持って言えるとしたら、トッププレーヤーを目指していたこともそのひとつ。その人にしか繰り出せない技や戦略があって、プロスポーツの選手みたいに「この人のプレイはすごい」ってみんなに思われる。そうなると、10年どころかもっと続くかもね。今の木村さんの話は、そういう未来に近づいていっているのかなと思うよ。
木村:そうなると嬉しいね。
安藤:木村さんの好きなストIIみたいに、モンストもやり込めばやり込むほど腕が上がって、世界最速を目指して修行を積んで研鑽を積んで、それを発表できるような。モンストシリーズはそういう懐の深いゲームに今後なっていくのかもね。
↑ステージクリアの時間を競うタイムアタック形式で操作方法はモンストと同じ。モンストと連携し、近くにいるプレイヤーと最大4人対4人の対戦ができる。2015年8月2日(日)幕張メッセにて、本アプリを利用してモンストNo.1チームを決める『モンストグランプリ2015』が開催される。 |
※この対談は2015年4月に行なわれたものです。
■関連サイト
・モンスターストライク
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