Windows Phone 8.1スマートフォン向けの最新OS、『スマートフォン用 Windows 10 Technical Preview(テクニカルプレビュー)』の提供開始から約5ヵ月が過ぎ、その間に数回のアップデートが行なわれてきました。現在は『Windows 10 Mobile Insider Preview(インサイダープレビュー)』と名称を変更して配布されています。
Windows 10が搭載されるWindows Phoneは劇的に使いやすくなることが確実で、製品版の登場が待ちきれない状況になっています。では最新の『Windows 10 Mobile Insider Preview』版(以下、Windows 10 Mobile IP版)はどこまで製品版に近づいているのでしょうか? 前回のレビューでは触れていなかった機能も含めて、最新のInsider Preview版(ビルド10080)を紹介していきます。
対応機種はWindows Phone 8.1のほぼ全機種。 |
Windows 10 Mobile IP版は当初Lumia 630シリーズのみ対応でしたが、最新のビルド10080では、ほぼすべてのWindows Phone 8.1対応Lumiaスマートフォンが対応機種となりました。また今回は新たに『HTC One (M8) for Windows』も追加されています。
なお、一覧にあるモデルでもキャリア版などは対応していない製品もあるとのこと。最新の対応機種やインストール方法はマイクロソフトのWindows 10 Mobile Insider Previewインストールページを参照してください。
最新のInsider PreviewはOSバージョンが10.0.12562.84となります。前回同様、インストールには、ノキアのLumia 636を使いました。 |
少し前のビルド10064(左)と、最新10080(右)の比較です。 |
Windows10ではWindows Phoneの顔ともいえるスタート画面のタイルの下に貼り付けた壁紙が全画面表示となりました。8.1ではタイルの下にしか壁紙が表示されず、タイルとタイルの間の隙間はバックグラウンドの色だけだったのです。またInsider Programの初期版ではタイルとタイルの感覚が8.1と同等だったのですが(左)、ビルド10080ではタイル間隔が狭くなっています(右)。なおビルド10080ではスクリーンショットを撮ると、最下部のソフトキー部分が撮れないようです。
タイルの透過率を自由に変えられる。 |
スタート画面に並ぶタイルの透過率を変更できるようになりました。設定→パーソナル設定→Startで“Transparency”のスライドバーを左右に動かすと、0から255の間で透過率を変更できます。0が完全透過、255が無透過です。壁紙の種類によってタイルの透過率を変えると壁紙が見やすくなりますね。ただし今回、バックグラウンドの壁紙配置を変更したところ“参照”を押しても壁紙が選べなくなってしまいました。このあたりまだ細かいバグが残っているわけです。
フォントは見やすくなった。 |
ファイルエクスプローラーでファイルをビジュアル的に管理。 |
従来の“ファイル”に代わる、“ファイルエクスプローラー”が新たに登場。ファイルをリスト+サムネイル形式だけではなく、フォルダ形式で閲覧、管理することも可能になっています。また上部にフォルダ名も表示されるので、フォルダ間の移動も楽になりました。
タイルカラーは20色から48色に。 |
Windowsストアは新たに統合版が追加。 |
アプリもWindows 10になってからいくつか新しいものが追加されています。
ついに日本地図が利用できる!新たに“マップ”を搭載。 |
また今後日本で展開していくうえで最重要な地図アプリも従来からの『Here Map』に代わり『マップ』アプリを搭載。Windows Phoneで最大の弱点とも言われた地図がようやく使えるようになります。地図データはBing Mapのものがそのまま利用されています。
アプリの改良も着々と進む。 |
PeoplesはWindows Phone 8.1版(右)も残る。TP版(左)は登録可能アカウントがまだ少ない。 |
Windows 10化されたアプリは使い勝手も高まっています。これはSMSアプリですが、左がWindows Phone 8.1、右がWindows 10です。Windows 10ではPeoplesに顔写真があればそれがメッセージの頭に表示されるようになっています。また電話番号と本文のフォントサイズも同じになり見やすくなりました。さらには今までは受信したSMSの番号に電話を掛けることができませんでしたが、Windows 10ではそれが可能になっています。
マイクロソフトはこのTP版は動作保証無しとしています。ですがスマートフォンとして利用する基本部分だけはWindows Phone 8.1環境を引き継げるようにとの配慮からか、統合電話帳ともいえるPeopleはWindows Phone 8.1版のものを“People Legacy”として残しています。Peopleはマイクロソフト、フェイスブック、ツイッターなど複数のアカウントを登録できますが、TP版ではExchangeとグーグルのみと実用性がまだありません。このあたりも次期TP版、あるいは正式版までには改良されていくのでしょう。
設定画面も細かい変更が行われている。左が最初のTP版、右が最新のTP版。 |
アプリの対応がまだこれからであるのに対し、設定画面は着々とWindows 10化が進んでいます。設定画面そのものも最新のTP版では項目が整理されています。そのため一画面上に表示できる項目数も1行増えています。このあたりも細かく改良が進んでいる模様です。
設定項目も着々とWindows 10化。 |
設定の各項目も最初のTP版よりWindows 10化が進んでいます。なお一部の項目はシステムを日本語にしても英語表記のまま。まだローカライズが進んでいないのでしょうね。とはいえこれらの画面を見ればわかるように、設定画面は項目選択やスライドバーが見やすくなり使いやすくなっています。
日本語対応がいつになるかわからない音声アシスタント『コルタナ』。 |
言語設定を日本語→英語に切り替えてコルタナをテストしてみたが、残念ながら日本語の設定が残ってしまい、起動しませんでした。
正式版に大きな期待が持てるWindows 10スマホ。 |
スマートフォン用Windows 10の正式リリース時期はまだ未定ですが、製品が登場すれば今までのWindows Phoneのイメージをおおきく覆すものになるでしょう。着々と製品版へと近づいていくWindows 10スマートフォン、次のTP版はいつ出るのか? あるいは次はベータ版が登場するのか? マイクロソフトの動きから目が離せなくなってきました。
※IPはあくまでも使用感やバグなどをマイクロソフトにフィードバックするためのもの。不具合もありますから、Lumiaを海外で日常的に使っている人が安易にインストールするものではありません。Windows 10へのバージョンアップやベータ版ではなく、それ以前の“動作無保証評価版”です。導入する場合はこの点に気を付けてください。
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