正直、ファンやヒートシンクのない環境でのスティック型PCは熱が溜まりやすく、搭載されているAtom CPUの全力が出せるとは言いがたい状況でした。そこで、改良版BIOSの適用、ヒートシンクの増設と、2回の改造をしてきました。
そこで夏本番を前にして、動作を盤石にすべく、今回はファンの増設をしてみましょう。使用してきたスティックPCはマウスコンピューター『MS-NH1』です。
外側から扇風機も芸がないのでここはUSBファンをスティック自前のUSBから電源を取り、それを装着する方向に改造してみましょう。
↑タイムリー『LittleFAN40U』で4cmのUSBファンがサイズとしてはベスト。約1000円とお手軽価格。 |
↑これを幅3.6mm、長さ200mm強のナイロン結束バンドで固定することにします。ヒートシンクにファンを固定させるので震動を防ぐため、4cmファン用のシリコンシートを装着しましょう。 |
↑結束バンドを通します。が、3.6mmは若干太すぎたようで穴は通りにくいのでペンチで引き通します。 |
↑電源ボタンやポートを避けて締め上げれば完成。 |
↑結束バンドで座りが悪くなったので脚をつける意味と背面もそこそこ熱を持つので小型のヒートシンクも背面につけてしまいましょう。もうスティックPCのスマートな外観は損なわれてますしね(笑)。 |
↑特にHDMI端子側に熱が溜まるのでそちらのほうはマストでつけていってこんな感じに。 |
スティックPCのスマートさはなくなりこんな感じに。USBは11ac化のWiFi子機のため、我らがアイネックスのUSB電源分岐ケーブルを使用。それによりファンの駆動とWiFiドングルの使用を両立できました。
またUSBファンはそのままでは全開で回り、騒音はかなりのもの。USBファンの回転数調節器、GROOVY『FANCON-Switch』(実売500円弱)を経路に入れます。これにより、停止、弱、全開の3段階でコントロール可能に。
重量もかなりのものなのでL型HDMIで立たせて使用する形にして完成!
●で、実際冷えたの?
OCCTのLINPACK15分テストで負荷をかけてテスト。結論から言うとファンを搭載するだけで別物のマシンになりました。USBファン弱で騒音少なく運用するだけで夏以外は十分いけそうです。
■ファン停止状態
↑左が温度、右が周波数のログです。3分あたりに70℃を超え、その後、CPUクロックは急低下を見せます。6分を過ぎたあたりでは熱がたまりすぎ300MHz代の動作に。システムの反応もかなりツライものになります。
■ファン弱動作状態
↑弱で回すと効果抜群。CPU温度も60℃を超えなくなり、動作クロックもだいたい1.5GHz強で安定です。
■ファン強動作状態
↑強になるとどんなに負荷をかけてもCPU温度は55℃を超えなくなります。クロックは弱と同様で、1.8GHz動作を常にとはいかないようです。BIOS設定上1.8GHzは50℃を下回らないといけないようですね。
結論から言うとファンを搭載するだけで別物のマシンになりました。弱で騒音少なく運用できる現実的な改造になったといえます。計測環境は20℃ほどの自室なので夏場で30℃台になったとしても、「強」ならCPU温度は70℃を超えないでしょう。非常にうるさいのでやはり弱運用が基本となります。
これでm-Stick改造計画は終了しました。ひとつ言えることは、市販のファン付きのスティック型PCはかなり有用性が期待できる、ということです。検証を通じて気になったのはネットワークです。Realtekの内蔵も、11acのAtermドングルでもたとえばブラウザーゲームなどでは読み込みが非常に鈍く感じるところが多く、CPUの動作とは別の部分での「突っかかり」を感じます。Bluetooth回りではキーボードの一時的な誤作動(キー割り当てがおかしい)などもあり、今後のBIOSアップデートに期待したいところです。
※魔改造は自己責任において行なってください。あらゆるサポート、保証等の対象外の行為です。
■関連サイト
m-Stick販売ページ
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