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シベリア鉄道でロシアを横断し最東端の駅へ:SIMフリースマホと大陸横断の旅04

2015年05月08日 10時00分更新

文● 中山智  編集●KONOSU

 イルクーツクを21時20分に出発して、ハバロフスクまでは2泊3日、約57時間の乗車です。この辺りから、ハッキリ言って乗車しているのに飽きてきました(笑)。車窓は何もない広野が続くだけ。さらに1等車は2人で相部屋となるのですが、私以外に乗り込んでくる人もおらず、ひとりぼっちなので緊張感もなく余計にさみしいです。シベリア鉄道に乗るなら、気心の知れた複数人のグループで行ったほうが良いかもしれません。

 ただ、1等車には車内に電源が用意されていたのがウレシイ。パソコンを開いてスマホでテザリングしながら、仕事の資料をまとめたり、SNSで友人たちとコミュニケーションをとって時間をつぶせました。

SIMフリースマホと大陸横断の旅04
ほかに乗り込んでくる人がいないので、テーブルも占有。
SIMフリースマホと大陸横断の旅04
テーブルの下に電源があるので、バッテリーを気にせずパソコンやスマホが使えます。

 ただ、電源が使えてスマホのテザリングもできるとはいえ、やはり圏外や2Gでの接続が多く、安定しては通信ができません。ネットにつながらないとイライラするので、シベリア鉄道乗車中は電子書籍で読書をしていることも多かったです。

 今回の旅で1等寝台を利用したのはこの区間のみ。1等寝台以外では電源の確保が厳しいと聞いていてたので、動作時間の長い『Kindle Voyage』を購入。ずっと読み続けていたわけではありませんが、3泊4日と乗車時間が最長だったモスクワ-イルクーツクでも、一回も充電せずに読書ができました。スマホやタブレットだと、電子書籍アプリのように常時ディスプレーをオンにして使うと1日もちませんから、Kindle Voyageはかなり重宝しました。

SIMフリースマホと大陸横断の旅04
旅のお供に購入したKindle Voyageと、乗車中に活用した魔法瓶とマグカップ。

 そのほか、シベリア鉄道に持ち込んで正解だったのが、お湯を入れる魔法瓶と蓋付きのマグカップ。魔法瓶は給湯器からお湯を運んでくるときに便利なほか、タオルでカラダを拭くためのお湯入れに活用したりしました。

 フタ付きのマグカップは、走行中の揺れでこぼれないようにするため。シベリア鉄道の線路幅は新幹線の標準軌(1435mm)よりも広い1520mmなので意外と安定しているものの、発車や停車時には揺れることもあるので重宝しました。

SIMフリースマホと大陸横断の旅04
車内で3泊して、7時50分ハバロフスクに到着。

 シベリア鉄道は停車時間に余裕を持たせていることもあり、全路線でほぼ定刻どおりに運行していました。ハバロフスクにもダイヤどおり到着。ここでひとまず一泊してちょっと寄り道をすることにします。

 ロシアのシベリア地域を東西に結んでいる路線は、シベリア鉄道のほかバム(バイカル・アムール)鉄道というのがあります。バム鉄道のほうがシベリア鉄道よりもじゃっかん北にある路線で、そのまま間宮海峡沿岸まで達しています。

SIMフリースマホと大陸横断の旅04
赤がシベリア鉄道で緑がバム鉄道のルート。青は2つを結ぶ支線です。

 バム鉄道の終点はソビエツカヤ・ガバニ駅ですが、そのひとつ手前のワニノ駅が、経度的にユーラシア大陸最東端の駅になります。せっかくユーラシア大陸最西端の駅から出発(参考記事)したので、最東端まで行っちゃおうというわけです。

 ハバロフスクからワニノ駅まではおよそ24時間。早朝8時19分の発車で、やはり寝台車となります。乗り込んだのは普通列車で、旅費を節約するため3等寝台に乗り込みました。料金は25.67ポンド(約4700円)です。

 3等寝台はコンパートメントではなくオープンタイプになっていて、2等寝台と同じように上下2段のベッドが向かい合わせにセットされているほか、通路側にも窓に沿って上下2段のベッドがあります。つまり1ブロックで最大6人が乗り込めます。

SIMフリースマホと大陸横断の旅04
向かい合わせの4人区画のほう。乗客がいないときは整理されています。
SIMフリースマホと大陸横断の旅04
3等車は料金も安いため満席。かなりゴチャゴチャとして雰囲気。
SIMフリースマホと大陸横断の旅04
窓側に沿ったほうのベッドは、真ん中の部分がテーブルになり向かい合わせの椅子席になる。

 途中下車する人もいましたが、ワニノまでの道中はほぼ満席。車内ではそれぞれ食事をしたり、ひたすら寝たりとさまざま。若者のグループもいて、トランプで盛り上がったりしていました。

 私はKindleで読書をしていましたが、気の良いロシア人のおじさんが急にスマホで自分が釣りをしている写真を見せてきて、釣果を自慢されました。旅の雰囲気を味わうなら3等寝台も良いですね。

 ただ3等寝台のスペースは狭く、スーツケースを持ち歩くような荷物が多い旅行には不向きです。この路線だけはスーツケースをハバロフスクの手荷物預かり所に預けてきました。また車内には電源はありません。乗車している人は車掌室の電源を使って有料で充電していましたので、デジタルアイテムの多い私のような旅人は1泊が限度ですね。

SIMフリースマホと大陸横断の旅04
定期的に車内販売も回ってくるので、飲食に困ることはありません。
SIMフリースマホと大陸横断の旅04
8時15分、ユーラシア大陸最東端ワニノ駅到着!

 24時間、寝台車のベッドでゴロゴロして過ごし、とうとう最東端駅のワニノ駅に到着しました。これで最西端駅から最東端駅まで陸路で移動してきたことになります!

 実はここから間宮海峡を横断して樺太のホルムスクへ向かうフェリーがあります。さらに樺太を南下してユジノサハリンスクから稚内に渡るフェリーも就航しています。

 ただ、ワニノからホルムスクへのフェリーは不定期。ユジノサハリンスクから稚内のフェリーは夏期のみ運航というスケジュールなので、今回はこのルートは断念。いつかはこのルートで渡ってみたいです。

SIMフリースマホと大陸横断の旅04
ワニノは港湾都市でバム鉄道と連携したシベリアの物流の拠点にもなっています。

 というわけで、ワニノの街をフラフラしつつ、駅の小さなカフェでスマホのテザリングを使ってPCで作業をするなどして時間を潰し、その日の夕方の18時22分発の寝台車でハバロフスクまでとんぼ返りです。帰りも同じく3等車で24時間。料金も同じで25.67ポンド(約4700円)です。

SIMフリースマホと大陸横断の旅04
到着が9時前で駅周辺のレストランなどはオープンしておらず、駅の売店ですごすしかありません。


■シベリア鉄道最終レグでウラジオストクへ

 ハバロフスクには翌日の18時3分に到着。その日はハバロフスクで1泊して、翌日シベリア鉄道終点のウラジオストクを目指します。乗車したのは優等列車のオケアン号。ロシア号と同じく最新の車両が導入されているので、乗車した2等寝台もかなりキレイ。料金は64.94ポンド(1万1800円)です。

SIMフリースマホと大陸横断の旅04
カーテンなども新しく、ピカピカの室内。ただし電源はなし。
SIMフリースマホと大陸横断の旅04
下段の椅子を跳ね上げれば、スーツケースもラクラクと収納できます。

 出発時刻は20時55分。ハバロフスク到着時刻は8時10分なので、一晩だけの乗車です。ハバロフスクとウラジオストクは日本からも飛行機でアクセスしやすいので、シベリア鉄道をちょっとだけ体験したいという人は、このハバロフスクとウラジオストクの区間だけ乗車するというのもオススメです。

SIMフリースマホと大陸横断の旅04
車窓から見えるピョートル大帝湾の北部。凍結しています。

 この頃になると、寝台車での就寝も慣れたもの。グッスリと睡眠をとって朝飯がわりのカップラーメンをすすっているうちに、シベリア鉄道終着駅ウラジオストク駅に到着しました!!

SIMフリースマホと大陸横断の旅04
ウラジオストク駅のキロポスト。
SIMフリースマホと大陸横断の旅04
モスクワはから9288kmと書かれていますが、今はルートがかわり、これよりも若干短いとのこと。
SIMフリースマホと大陸横断の旅04
ウラジオストクの駅舎。線路はこの下にあります。

 モスクワからハバロフスクまで約9000kmの旅が終わりました! いやホントに長かった!! 途中退屈で死ぬかと思いました(笑)

【4月1日~4月4日:ロシア→韓国→日本】

■フェリー乗って韓国経由で着いたところは妖怪の国

 飛行機を使わずに日本まで帰るというのが、今回の旅のテーマ。ですが鉄道の路線はここまで、日本海は越えられません。そこで、ウラジオストクからはフェリーで日本に向かいます。

 

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