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ポルトガルの欧州最西端から日本を目指す!:SIMフリースマホと大陸横断の旅01

2015年04月04日 13時00分更新

文● 中山智  編集●KONOSU

 スペインのバルセロナで開かれたMWC2015を取材していた、旅バカライター中山です。MWCの取材は今年で5回目になりますが、さすがに往復の飛行機に飽きてしまいました。なにか新鮮な体験がしたいということで、今回は「飛行機を使わずに日本へ帰る」ことにしてみました。つまりヨーロッパとアジア、ユーラシア大陸を陸路で横断して帰ってこようというわけです。

 基本的には鉄道での移動。鉄道のつながりが悪かったり路線がない場合は、バスや船を使うことになります。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
往路は飛行機を使いました。さすがにMWCの会期に間に合わないと仕事にならないので(笑)。

【2月26日~28日:ポルトガル→スペイン】

■リスボンの空港と地下鉄でSIMを入手

 せっかくならスタート地点はユーラシア大陸西の端がいいなということで、MWCの開催前にポルトガルへとやってきました。到着したのは首都リスボンのポルテラ空港。まずは空港で現地のSIMを購入します。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
到着ロビーにVodafoneを発見。

 空港にあるVodafoneのショップということで、英語も通じやすく、「何GBくらい欲しいの?」と旅行者への対応も手馴れたものです。5GB付きのプランを購入。合計で29.90ユーロ(約4000円)でした。
APNなど設定項目は下記のとおり。

 APN: internet.vodafone.pt
 ユーザー名: 空白
 パスワード: 空白

 店員さんに「10分くらいでネット開通のお知らせがSMSで来るから、それまでデータ通信オフで待ってて」と言われ、ショップのそばのソファーで待っていると、それらしきSMSを受信しました。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
ポルトガル語なので詳細がわからず、届いたSMSを店員さんに見せると「これでオーケー」とのこと。

 そこでデータ通信をオンにしてみたのですが、インターネットに接続できません。購入したSIMをiPhone6にセットしたのですが、原因を探ってみると、プロファイルのせいというのがわかりました。日本ではMVNOを使って運用していたこともあり、プロファイルを使って通信設定をしています。そのためほかのSIMを挿しても、そのSIMのAPNなどの通信設定が反映されず、通信できなかったというわけです。

 プロファイル設定を削除したら、問題なく通信ができるようになりました。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
iPhoneを海外で使うときは、プロファイルの削除を忘れずに。

 無事設定を終え、空港からホテルに向かうため地下鉄に乗り込むと、改札を抜けた構内にもSIMカードを取り扱っているショップがありました。店員さんに話を聞いてみると、どうやらこちらはレンタルSIMとのこと。ただし、実際は返却しなくてもオーケーで、返却した場合は5ユーロ(約660円)返金してくれるそうです。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
地下鉄構内のレンタルSIM屋さん。

 料金はデータ量別ではなく、日数別料金。店員さんの説明では、データ通信無制限とのことですが、もしかすると1日の最大高速データ通信量などがあるかもしれませんね。急いでいたので、そこまでは詳しく確認できませんでしたが、滞在中、日常的に使っていても速度制限されることもなく使用できました。

 ここでは開通済みのSIMが提供されるので、手続きはキャリアショップよりもスムーズ。リスボンに到着して空港から地下鉄で町に出るなら、Vodafoneショップよりもお手軽です。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
料金も5日間で12ユーロ(約1600円)とかなりオトク。

 SIM自体はVodafoneのものだったので、通信設定などは前述のとおり。こちらはXperia Z1に挿して使いました。

 キャリアショップで購入したSIMとレンタルSIMどちらもLTEでの接続が可能。ただしホテルに入ると3Gになってしまうので、まだエリアはあまり広くないようです。

■欧州最西端を目指す

 さて、通信手段も確保したのでユーラシア大陸最西端のロカ岬を目指します。といっても、リスボンからは電車とバスを乗り継いで1時間30分ほどで行ける距離。まずはリスボン・オリエンテ駅から在来線をのりついで、西へ向かいます。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
通勤にも使われる普通列車でシントラ駅へ。リスボン・オリエンテ駅から2.15ユーロ(約290円)。

 実はユーラシア大陸最西端の駅は2説あって、最初に向かったのがシントラ駅。周辺には世界遺産も多くメジャーな観光地ですが、時間がないので今回はスルー。そのまま駅前のバス停からロカ岬行きのバスに乗り込みます。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
欧州最西端駅その1、シントラ駅。観光地らしい雰囲気が漂います。
SIMフリースマホと大陸横断の旅01
ここからバスでロカ岬へ。5.4ユーロ(約730円)でした。

 40分ほどバスに揺られて到着したのが、ロカ岬! ユーラシア大陸西の端っこです!! 現地には記念碑のほか観光案内所とレストランがあり、私のように公共交通機関で来た人以外にも、ツアーバスなどでかなりの観光客が訪れています。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
「ここに地果て、海始まる……」と書かれた記念碑。西の端っこで今回の旅のスタート地点です。
SIMフリースマホと大陸横断の旅01
岬の先は断崖絶壁。当日は突風が吹き荒れていて、もう寒いのなんの……。
SIMフリースマホと大陸横断の旅01
名前入りの最西端到達証明書を購入。11ユーロ(約1500円)です。

 岬での記念撮影も済んだので、そそくさとリスボン市内に戻りましょう。同じくバスを使うのですが、こんどはカスカイス駅へと向かいます。シントラ駅とカスカイス駅は別路線のそれぞれ終点なのですが、経度的にはほとんど同じくらいの位置。どちらの駅も最西端を大々的にアピールしているわけではないので、最西端駅が2説あるというわけです。まぁ旅バカ的には、両方行っとけば問題なしです。

 ロカ岬からはカスカイス駅へは、料金は同じく5.4ユーロ(約730円)。やはり40分くらいで到着します。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
シントラ駅(A)のほうがやや北にあります。バスはシントラ駅からロカ岬(B)を経由してカスカイス駅(C)を結んでいます。
SIMフリースマホと大陸横断の旅01
欧州最西端駅その2、カスカイス駅。

 カスカイス駅からも同じく在来線を使って出発したリスボン・オリエンテ駅へ。料金は2.15ユーロ(約290円)。こちらの路線は海岸沿いを走るので、景色も抜群。ロカ岬を目指すならオススメです。

■寝台車でマドドリードへ

 ロカ岬訪問というミッションも終えたので、取材先のバルセロナに向かいます。リスボンからバルセロナへは、スペインの首都マドリードを経由して鉄道でアクセスできます。

 リスボンからマドリードへは、寝台車を利用。4人部屋のコンパートメントで50.40ユーロ(約6700円)です。21時27分、リスボン・オリエンテ駅を出発。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
トレインホテルの愛称をもつ、リスボンーマドリード間の寝台車。
SIMフリースマホと大陸横断の旅01
4人部屋の2等寝台。この路線では上段を使用。

 2等寝台は、2段ベッドが2つ用意された4人部屋、というつくりです。私の部屋は、リスボンからひとり、途中駅からもうひとり乗車し、合計3人の相部屋となりました。2等寝台ですが、室内に電源もあるため、スマホなどの充電もできます。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
通路上にもスペースがあって、上段の人が荷物を置けるようになっています。
SIMフリースマホと大陸横断の旅01
2等寝台で室内に電源があったのはこの路線だけでした。

 私は身長176cmで小太りの中年ですが、ベッドのスペースはこのカラダがほぼいっぱいいっぱいというところ。出発時間が遅いこともあり、すぐに消灯で寝るしかありません。慣れない寝台車でスマホ片手にゴロゴロしているとSMSを受信。国境を越えてスペインに入国したので、スペインのキャリアの電波をキャッチしたというローミングのお知らせでした。

 このままでは通信できないので、スペインのSIMに差し換え。スペインのSIMは、ネット通販であらかじめ購入しておいたものを使います。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
スペインのSIMが購入できる『SIMCARDSPAIN.ES』。日本へも約1週間で配送してくれます。

 スペインも街中でプリペイドSIMが手軽に購入できますが、鉄道で国境を越えるような場合は、すぐにSIMが入手できません。そこで、通販で購入できるSIMを、あらかじめ日本で用意してきたわけです。

 ちなみに、キャリアはスペインのVodafone。申込時に1.6GBのプランを申し込めるだけのチャージも合わせて購入しているので、スマホに挿入したら指定された番号にプラン申し込みのSMSを送信すればオーケーなんです。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
送られてきたSIMに、プランの申し込み方法も付属していたのでわかりやすい!

 価格はSIMの代金と送料込みで35.65ユーロ(約4700円)。APNなど設定項目は下記のとおりです。

 APN: airtelwap.es
 ユーザー名: wap@wap
 パスワード: wap125



■スペインの超特急でバルセロナへ

 寝台車で一晩寝て、翌日の8時40分にマドリードのチャマルティン駅に到着。ここからMWCが開かれているバルセロナ行きへと乗換なのですが、欧州の駅は方面ごとにターミナル駅が違っていて、乗換のため駅移動が必要です。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
ポルトガルとスペインは1時間の時差があり、約11時間20分ほどの乗車時間でチャマルティン駅に到着。
SIMフリースマホと大陸横断の旅01
バルセロナ行きの発車するアトーチャ駅。ここまでは地下鉄で移動しました。地下鉄料金は1ユーロ(約135円)。

 マドリードは初訪問なので勝手が分らず、移動に意外と時間がかかってしまいました。乗り継ぎには2時間ほど余裕を持たせてあったのですが、寝台列車の到着遅れなどもあり、アトーチャ駅に到着したのはバルセロナ行き発車の15分前。

 欧州で列車の乗り継ぎを計画するときは、同じ駅で乗り継ぎか、駅から駅への移動はどれくらいかかるかを、あらかじめ調べておいたほうがいいですね。

 バルセロナへ向かう列車は、スペインの超特急AVE。こちらも、あらかじめオンラインでチケットを購入。eチケットがiPhoneのPassbooksに対応していますので、iPhoneの画面をチケットがわりに見せて乗り込みました。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
バルセロナへむかうAVE。日本の新幹線に似ていますね。
SIMフリースマホと大陸横断の旅01
Passbooksをチケットがわりにできるので便利。

 バルセロナへは1等車両を利用しました。料金は49.10ユーロ(約6500円)ほどしましたが、2等車と10ユーロくらいしか違わなかったので、ちょっとだけ贅沢なだけかも。欧州の鉄道チケットはほとんどがネットで購入でき、ネットのほうが割引チケットなどもありおトク。予約サイトは英語か現地語になりますが、Google翻訳などを使えばそんなに難しくはありません。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
スペイン国鉄Renfeのサイト。ポルトガルからの寝台車もここからチケットを購入。

 今回の旅程のチケットはすべてオンラインで購入しました。チケットはeチケットとしてPDFで送られてきたり、今回のようにPassbookに登録したり、購入したクレジットカードを用意して現地の券売所や券売機で発券したりと、ケースバイケース。PDFでeチケットが送られてきた場合は、あらかじめプリントアウトしておく必要があるので注意です。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
印刷したeチケット関係はまとめて管理。スマホやタブレットでも対応できるケースが多いですが念のため。

 さて。アトーチャ駅を出発したのが10時30分。慣れない寝台車で寝不足だったせいか、車内の写真を撮るのを忘れてしまうくらいAVEの車内で爆睡してしまい、気が付いたらバルセロナ付近に到着していました。

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
13時15分、バルセロナのサンツ駅に到着。駅周辺はスリが多いので足早に移動します。

 バルセロナに到着してからは、1週間ほど滞在してMWC2015を取材しました。

 さあ、仕事を終えたら、次回はバルセロナからさらに東へと向かいますよ!!

【ユーラシア大陸最西端から日本までの移動費】

●ロカ岬→カスカイス駅:5.4ユーロ(約730円)
●カスカイス駅→リスボン・オリエンテ駅:2.15ユーロ(約290円)
●リスボン・オリエンテ駅→マドリード・チャマルティン駅:50.40ユーロ(約6700円)
●マドリード・チャマルティン駅→マドリード・アトーチャ駅:1ユーロ(約135円)
●マドリード・アトーチャ駅→バルセロナ・サンツ駅:49.10ユーロ(約6500円)
●合計……1万4355円

SIMフリースマホと大陸横断の旅01
Googleロケーション履歴より。ロカ岬からバルセロナまで移動しました。

■関連サイト
SIMCARDSPAIN.ES
Renfe(スペイン国鉄)

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