ヨーロッパの最西端ロカ岬から、飛行機を使わずに日本へ帰る旅を思いついた旅バカライター中山です。前回はロシアへと突入し、サンクトペテルブルグでSIMを購入。超特サプサン号でモスクワに向かうも、購入したばかりのSIMで通信ができなくなるトラブルが発生してしまいました。
前回までのルート。これから先は広大なロシア横断です。 |
【3月14日~4月1日:ロシア】
■“ロシア全土対応プラン”でSIMを再購入
結局MegafonのSIMでは通信できないまま、モスクワのレニングラード駅に17時40分到着。列車を降りると駅構内にMegaFonのキャリアショップがあったので、駆け込みました。
乗降客で賑わっていたレニングラード駅駅。 |
ショップ店員に受信したSMSを見てもらうと、やはりエリア限定の通信プランなので、サンクトペテルブルグのあるエリア以外では通信できないとのこと。またローミングプランもあるが、申し込んだ定額プランではなく通信容量に上限のある限定プランになってしまうそうです。
しかたがないので、サンクトペテルブルクで購入したSIMはあきらめて、再度SIMを購入することにします。この先ウラジオストクまで移動するので、ロシア全土で通信できるプランはないかときいてみると、8時から深夜1時まで18GB、深夜1時から翌朝8時までが同じく18GBまで通信できるプランがあるとのこと。料金は1300ルーブル(約3000円)。
定額プランではないものの、昼夜あわせて36GBも通信できれば問題なしです。早速購入してiPhone6にセットしました。
APNなど設定項目はサンクトペテルブルクで購入したSIMと同じで下記のとおり。
APN: internet
ユーザーID: gdata
パスワード: gdata
モスクワのホテルで速度を計測。高層階のためか、おもったほどスピードは出ませんでした。 |
■モスクワではあえて外資系のレストランへ
モスクワにはシベリア鉄道へ乗車する準備と、通信環境の良いうちに原稿や仕事のデータをやりとりするために2泊しました。あまり観光する時間はなかったので、赤の広場周辺だけチェックしてきたところです。
思っていたほど赤くない赤の広場。 |
テトリスの背景としても有名な聖ワシリイ大聖堂。 |
モスクワ市内は地下鉄網が発達しているので、移動自体はラク。ただし、駅表示がキリル文字なので、目的地の駅を探すのがひと苦労です。当然英語でのアナウンスなどもないので、ガイドブックを見ながら文字の形を照らし合わせて、行き先を解読します。
かなり頑丈そうなモスクワの地下鉄。 |
地下鉄の行き先案内。顔文字にしか見えない部分もあり解読が大変。 |
この先約2週間ロシアの滞在となるので、モスクワでは無理してロシア料理を食べる必要もないだろうと、外資系の飲食店を利用しました。ひとつはアメリカで人気のハンバーガーショップで、私もニューヨークで食べてからはまってしまったShakeshack。
店舗のデザインはアメリカと同じ。アメリカ以外ではドバイなどの中東とロシアに出店。日本への出店も噂されています。 |
シャックバーガーのダブル。345ルーブル(約780円)。ちょっと塩気がつよいパテですが、そのぶんビールに合います。 |
もうひとつは日本でもおなじみの丸亀製麺。丸亀製麺は東南アジアを中心に海外でも店舗展開。現地の人たちにも人気ですが、うどんだけでなく丼ものなども提供しており、和食に飢えた在外日本人の駆け込み寺的なお店になっているようです。
セルフサービスでトッピングが選べるシステムも日本と同じ。 |
日本にはないトンコツうどんをオーダー。麺のコシは日本よりもやや柔らかめですが、十分満足できる食感です。 |
■シベリア鉄道0キロポストから出発
モスクワでの準備を終え、いよいよシベリア鉄道へ乗車です。シベリア鉄道の発車駅はヤロスラフスキー駅駅で、サンクトペテルブルクからのサプサン号が到着したレニングラード駅の隣。歩いて移動できる距離です。
とんがった屋根が特徴的なヤロスラフスキー駅。 |
列車が停車するプラットホームへと歩いて行くと、シベリア鉄道の起点を標したモニュメントを発見。モニュメントの突端には“0km”と表示されており、旅の雰囲気を盛り上げてくれます。
シベリア鉄道の起点となる0キロポスト。ここから目的地のウラジオストクまでは約9000km。 |
20分ほど前にホームに来ましたが、すでに列車は到着しており、乗客は続々と乗車。 |
シベリア鉄道は最速のモスクワ号を使っても、ウラジオストクまで7泊8日かかります。ただし車内にはシャワー施設などない(一部改造した車両にシャワーがあり有料で利用できる場合もあるようです)ので、途中下車せずに乗り続けるのは厳しい。そこで、ひとまずバイカル湖のほとりにあるイルクーツクを目指します。
出発した日はモスクワ号が運行していなかったので、普通列車の寝台車に乗車。イルクーツクまでは3泊4日。約84時間の乗車となります。料金は2等寝台で170ポンド(約3万700円)でした。
シベリア鉄道一般列車の2等寝台。この列車は1等寝台がなく、2等と3等のみでした。 |
奥がマットで手前が掛け布団。車掌から配られるシーツを巻いて使います。 |
上段にはスーツケースもおさまる荷物スペースがある。 |
テーブルの下には栓抜き。瓶ビールを持ち込んで飲めます。 |
乗り込んでしまうと、あとはひたすら列車内で過ごすだけ。スマホの電波は駅周辺では3Gでつながりますが、駅を離れてしまうと2Gや圏外になってしまいます。ただ思った以上に圏外は少ない印象。2GのときでもメールやTwitterなどの通知は届きますが、実際に
受信や更新をしようとすると分単位で時間がかかり、かなり厳しい感じです。
ちなみに2等寝台なので、室内に電源はなし。電源は各車両通路に3ヵ所ほど用意されています。
寝台車の通路。人ひとりがとおれるくらいの幅しかありません。 |
通路にある折りたたみ式の簡易椅子と電源。スマホは盗まれそうなので、モバイルバッテリーの充電に使いました。 |
通路には停車駅と停車時間も掲示されおり、大きな駅では20分から40分ほど停車することも。乗り降りは自由なので、停車しているあいだに売店で買い物をしたり、ホームでタバコを吸ったりできます。
停車駅と停車時間。シベリア鉄道の運行はすべてモスクワ時間で表示しています。 |
停車時間を利用して駅係員が車体の氷を落としています。3月とはいえシベリアはまだ冬。 |
列車には食堂車が連結しているので、営業時間内なら自由に行ってオーダーできます。ただし料金は高めなので、利用する人はあまり多くありません。ほとんどの人はインスタントラーメンなど食べものを乗車前に買い込んで、自分の席で食べています。
そのほか定期的に車内販売も回ってくるので、現金さえ持っていれば飲食に困ることはありません。
食堂車の様子。奥では若者の団体が宴会をしていました。 |
豚肉とタマネギの炒め物。これで410ルーブル(約950円)。 |
各車両には給湯器が設置されているので、ラーメンがつくれます。 |
筆者はおやつにバナナを購入。吊しておいて、お腹が空いたら食べてました。 |
■凍結したバイカル湖の上で遊ぼう!
イルクーツクへは乗車から4日目の朝、現地時間の8時30分に到着。ホテルにチェックインして4日ぶりのシャワーを浴びます。列車ではシーツと一緒にタオルも配られるので、トイレでカラダを水拭きすることはできますが、洗髪までは厳しいです。連続で乗るのは3泊までが限界かも……。
イルクーツク到着時の機関車。電力の規格がエリアごとに違うので、途中で何度か機関車が切り替わります。 |
イルクーツクの駅舎。ロシアの駅舎は出入り口にかならずセキュリティーがあります。 |
イルクーツクには2泊して、乗車中に滞った仕事を進めると共に、世界遺産のバイカル湖を見に行きました。バイカル湖の湖畔へは、イルクーツクのバスターミナルからバスで1時間半ほどでアクセスできます。
バスターミナルのキップ売り場。ロシア語がわからないので、ガイドブックのバイカル湖のページを開き、「ここに行きたい」とアピールしたら、無事キップが買えました。 |
バイカル湖行きのバス。ちゃんと番号が振ってあり、キップに指定された席に座ります。 |
バイカル湖は世界で最も高い透明度を誇る湖と言われており、夏の避暑地として有名です。そのため、真冬のバイカル湖なんてシーズンオフでしょんぼりだろうと思っていたのですが、意外や意外、多くの観光客で賑わっていました。
3月中旬ですが、凍結していて湖面を自由に歩けます。 |
港も凍っていて、普通の船は出航できません。 |
冬のあいだは凍った湖面を利用して、アイススケートをしたり湖面に穴をあけて釣りをする人もチラホラ見受けられます。また、バギーや風力で推進するボートでのツアーといったアトラクションもあり、冬でも楽しめる観光地になっていました。
氷の上を派手にドリフとしながら進めるバギー。 |
大きなプロペラを装備したボート。氷の上を滑って移動する。 |
湖畔にある市場で売っているオームリ。バイカル湖の固有種でこの地方でしか食べられない珍しい魚。淡泊ですが美味です! |
ロシアの炊き込みご飯プロフ。ビーフシチューまぜご飯のような味でB級ですがかなり美味。 |
凍った湖の上を歩くのは初めてなのと、湖水の透明度が高いためか氷も濁りや曇りがないので、ファンタージーの世界に来たかのようで自分的には大きな感動。氷の上のアクティビティーのほか、周辺にはアザラシの水族館などもあるそうなので、1泊してもっとゆっくり見て回っても良かったかなと思うほど。真冬のバイカル湖は旅先としてオススメです!
■ハバロフスクから寄り道をして最東端駅へ
バイカル湖見学を済ませたところで、さらに東へと向かいます。乗り込んだのはシベリア鉄道の優等列車ロシア号。乗車したのは1等寝台で、イルクーツクからハバロフスクまで330ポンド(約5万9500円)でした。
最新車両が導入され、室内もキレイなロシア号の1等寝台。 |
車内にはテレビも完備しています。ロシア語の番組だけなのでほとんどつけませんでしたが。 |
背もたれの部分は、持ち上げるとタオル掛けと収納棚になっています。 |
さすがに優等列車だけあって、設備も豪華。トイレも普通列車は線路へ直接垂れ流す方式でしたが、ロシア号はタンク式(そのかわり紙は流せず)です。もちろんシベリア鉄道では定番の給湯器もあるので、インスタントラーメンなども調理できます。
2泊3日の乗車のうち、一回だけ食事のルームサービスがありました。料金はチケット代に含まれています。 |
ルームキーも乗客に配布されます。キーは非接触型のカードタイプ。 |
逆に食堂車は懐かしいデザイン、銀河鉄道999の食堂車みたい。 |
東洋人が珍しいのか、食堂車で記念撮影を頼まれました(笑) |
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