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Windows情報局ななふぉ出張所

サムスン反撃ののろしか? ソフトバンク版GALAXY Tab 4発売が意味するもの

2014年12月16日 07時00分更新

 最近2週間ほど欧州に滞在していた筆者ですが、日本から届いたニュースの中で、いくつか驚いたものがあります。そのひとつが、ソフトバンクモバイルから初の個人向けAndroidタブレットとして『GALAXY Tab 4』が発売されるというニュースです。

 すでに石川温さんの記事でも指摘されているように、ソフトバンクがサムスンの端末を再び発売するという歴史的経緯もさることながら、ミドルレンジ製品が日本市場に上陸するという点でも、興味深いニュースとなりました。

■Androidタブで世界トップのサムスン、しかし日本では圏外

 では、なぜ筆者がサムスンの低価格7インチタブレットについて“興味深いニュース”と感じたのか、説明しましょう。

 世界のタブレット市場における最大手メーカーは、iPadを擁するアップルです。しかしAndroidタブレットでは、GALAXYシリーズでお馴染みのサムスンが多くの国でトップシェアを占めています。

 つまり、海外のタブレット売り場では、アップルとサムスンが大きな面積を占め、そこにアジア系メーカーやマイクロソフトが何とか食い込んでいるといった状況です。

ソフトバンクからのGALAXY Tab 4発売が意味するものとは?
↑パリの家電量販店でのサムスン売り場。フロア内で最も大きな存在感を放っていることも少なくない。日本でもGALAXY SHOPとして、徐々に展開を始めている。

 日本では、サムスンのタブレットといってもピンとこない人が多いかもしれません。以前はドコモから数機種が発売されていたものの、取り扱いがなくなってからやや間が空き、ようやくGALAXY Tab S世代になって復活したカタチとなったからです。

ソフトバンクからのGALAXY Tab 4発売が意味するものとは?
↑NTTドコモから発売されたGALAXY Tab Sの8.4インチモデル。キーボードを同梱し、カジュアルなPC利用を代替する位置付けが話題となった。
ソフトバンクからのGALAXY Tab 4発売が意味するものとは?
↑こちらはKDDI版となるGALAXY Tab Sの10.5インチモデル。ドコモ版とはサイズ違いだが、いずれも末尾に“S”がつくフラグシップの製品ラインだ。なお、写真のキーボードは別売。

 その結果、日本のタブレット市場ではシェア上位のメーカーの中にサムスンの名前はなく、いつも圏外の存在という、世界的に珍しい事態が起きていました。

 この間にもサムスンは、GALAXY Noteの8インチ版や、12インチの大型モデルが話題となったGALAXY TabPRO/NotePROシリーズ、ミドルレンジのGALAXY Tab 3/4シリーズ、タフネス仕様のGALAXY Tab Activeなど、多彩な製品ラインを展開しています。どれも日本では馴染みがない製品ばかりです。

ソフトバンクからのGALAXY Tab 4発売が意味するものとは?
↑GALAXY TabPROの12.2インチモデル。海外ではAndroidタブレット製品の中でも特に高額なハイエンドモデルとして、店頭で存在感を放っている。
ソフトバンクからのGALAXY Tab 4発売が意味するものとは?
↑IFA 2014で発表したタフネス仕様のGALAXY Tab Active。業務用タブレットとしても注目されている。

■ベストセラーAndroidタブレットのGALAXY Tab 3/4シリーズ

 今回、ソフトバンクからの発売が決まったGALAXY Tab 4は、お買い得さを重視した、ミドルレンジからローエンドの製品ラインとなっています。

ソフトバンクからのGALAXY Tab 4発売が意味するものとは?
↑パリで販売されるGALAXY Tab 4の7インチモデル。サムスンブランドのAndroidタブレットでありながら、購入しやすい価格がポイント。
ソフトバンクからのGALAXY Tab 4発売が意味するものとは?
↑その前モデルのTab 3は、100ユーロ前後で売られる格安タブレットとしても有名だ。

 なかでもTab 3/4シリーズは、普及価格モデルとして7インチ、8インチ、10インチが海外に広く展開しており、販売店などでもパッケージが山積みになっているところをよく見かけます。もちろんスペック的にはハイエンドのTab Sに及ばないものの、スプリント版のようにLTEに対応したモデルも増えています。

 デザイン面においても、Tab 3の野暮ったい印象から一転、Tab 4では一段洗練されたものになりました。TabPROやTab Sのソリッドな印象に比べるとやや劣りはしますが、価格に比べて十分な品質という印象です。

 もちろん、単に“廉価なタブレット”という意味だけなら、ほかにも多数の製品が存在しますし、地元企業や量販店が中国メーカーと組み、自社ブランドで100ユーロ(約1万4773円)未満の格安タブレットを発売する事例なども増えています。そういった意味では、スマホと同じく、今後、サムスンの低価格タブレットは伸び悩む可能性もあるでしょう。

 しかしサムスンは、海外ではアップルに次ぐブランド力を誇っています。そのサムスンのタブレットを手軽に購入できるという点が、GALAXY Tab 3/4シリーズの存在意義といえます。

 細かいことですが、Androidのホームボタンを物理ボタンとして実装し、“右側に戻るボタン”を置いた独特の配置はスマホと同じ。GALAXYシリーズのスマホと同じ操作感でタブレットを使いたい人にとっても嬉しい点です。

■WiFi版、SIMフリーモデルの独自展開にも期待

 ソフトバンクは依然としてiPhoneやiPadのイメージがあるため、いくらGALAXY Tab 4を低価格で出しても、すぐに売れ始めるとは考えにくいところです。

 しかし、他キャリアと違って、ミドルレンジ端末の販売に挑戦してきたという点は、非常におもしろいと感じています。ドコモやKDDIのタブレットはハイエンド製品ばかりで、もっと手頃な価格でLTEが使えるタブレットが欲しいという要求に応えることができていないからです。

 そういう意味ではWiFi版やSIMフリー版の需要もあるでしょう。すでにサムスン電子はWiFi版のタブレットを日本で独自展開しており、今後はSIMフリー版の独自展開も期待されるところです。安価なGALAXYタブレットを、低価格なMVNOのSIMカードで使えるようになれば、 サムスンの国内タブレット市場での存在感は、急激に上昇するのではないでしょうか。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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