ビジョン・モバイルのデータによると、月間のアプリ収益が1000ドル(約10万円)以上ある開発者は全体の31%。47%の約半数は100ドル(約1万円)以下の収益だという。
(vision mobile「Developer Economics」)
趣味でアプリを作っているから収益は別という人もいるとはいえ、せっかく作ったアプリが誰にも使われずに埋もれるのは悲しい。お金をかけずにアプリのダウンロードを増やす方法を紹介しよう。もはや、アプリを作ってアプリストアに登録しただけでは、ダウンロードされないのは前回書いたばかりだ。
「スマホのアプリは、作っただけでは売れない時代。無料でできる対策は?」
まず、アプリをリリースしたあとにすべきことは、ダウンロードを伸ばすための集客。どんなにいいアプリであっても、存在を知ってもらわないことにはどうにもならない。意外と知られていないのが、集客に効果的な無料や格安のサービスが存在していること。開発者が個人で使えるものばかりなので、便利なものを厳選して紹介しよう。
■1 AppBankでアプリを紹介
AppBankプラス
アプリ情報サイトのAppBankが提供している無料サービスで、AppBankのサイトやアプリ上のコーナーでアプリを紹介してもらえる。利用することで平均500~1500のダウンロード増が見込めるとのことだ。アプリによって差があるとは思うが、この集客メリットは見逃せない。AppBankの広告ネットワーク「AppBankNetwork」または「AppBank Fello」を搭載しているアプリという条件はあるが、費用はかからないためリスクはない。「収益化よりもまずは集客を強化したい! 」という開発者には魅力的なサービスだろう。
■2 無料送客枠でゲームアプリに集客
GAME FEAT
ゲーム専用のアドネットワーク「GAME FEAT」に参加することで、無料の広告枠にアプリが掲載される。通常こういったサービスでは、広告を表示した回数だけ宣伝できるというトレードオフの仕組みが多い。しかし、この無料枠はどんなアプリも平等に表示される仕様のため、個人のアプリ開発者やアドネットワークの初体験者にやさしい設計になっている。集客ボリュームは月間で約500~1000ダウンロードとのこと。カジュアルゲームを作っているアプリ開発者にはありがたいサービスだ。ゲームアプリに特化しているので、ゲーム好きなユーザーの獲得が期待できる。
■3 予約サービスでスタートダッシュ
予約トップ10
ユーザーが公開前の気に入ったアプリを予約できるサービス。利用者はオプションなどを使わなければ、完全無料で使用できる。予約数を伸ばすコツを担当者に聞いてみたところ、「アイコンとスクリーンショットが命」とのこと。集客力のない個人開発のアプリでも、面白そうであれば数千件の事前予約を獲得するケースもある。また、アプリ公開時にメールで通知されるので、予約ユーザーの30~40%はダウンロードしてくれるため、ストアランキングのスタートダッシュがかけられる。人気ランキングはほぼゲームアプリとのことなので、ゲームアプリ開発者にメリットが大きい。
■4 クロスプロモーションで送客強化
AppliPromotion「クロスプロモーション」
アドネットワークサービスを利用するとクロスプロモーションが行える。自分のアプリで1回広告が表示されると、ほかのアプリ上で5~15回ほど広告が紹介されるという仕組みだ。トラフィックを広告収益に変えるのではなく、自社アプリの宣伝に使いたいという場合に向いているだろう。「おすすめゲーム」などのボタンを押してくれるユーザーが多いため、課金率の高い良質なユーザーにアピールすることができる傾向にあるとのこと。
■5 業界最安値の10円ブースト
AppliPromotion「10円リワード」
(4)と同じサイトで、アドネットワークを使うと、1ダウンロード10円でリワード広告の利用が可能。アプリの審査はあるが、最低5000ダウンロードから出稿可能とのことなので、個人でも手が出しやすい。特に1ダウンロードの収益性が高い「放置系ゲーム」などを開発した際は活用メリットが大きいだろう。新規タイトルのアプリだと、5000件のブーストでApp Storeの総合ランキング200位くらい、2万件のブーストで10位までランキングが上昇するとのこと。プロモーション予算がとれるのであれば検討の余地あり。
■6 ネットカフェのお客さんに無料で宣伝
アプリ for ネットカフェ
D2C Rとテクノブラッドが共同展開する、ネットカフェでアプリが無料で紹介されるサービス。事前にアプリの審査あり。ユーザー側は、ネットカフェの滞在時間に応じてアプリの「特典」を手に入れることができる。特典としてアイテムなどを提供する必要があるため、基本的にはソーシャルゲーム向きのサービスのようだが、全国1200店舗のネットカフェで無料の宣伝ができると考えると、なかなか太っ腹なサービス。テレビCMなどと同様、通常のネットでは到達しにくいユーザーにリーチできそうだ。
■7 開発者自らブログ記事が投稿できる
iPhonePLUS
KADOKAWAが運営するiOSアプリ開発者向けブログサイトで、アプリ開発者が自分のアプリの紹介記事を投稿できる。簡単な審査はあるが、アカウントを取得すればブログのような感じで利用可能。投稿した記事がニュースアプリ「SmartNews」などに掲載されることもあり、ソーシャルでの拡散も期待できる。MacPeople誌面でも紹介されることもある。単純にアプリの紹介記事を書くのもいいが、ソーシャルで拡散したくなるようなアプリの活用法など、思わずシェアしたくなる記事が書けると、よく読まれる。無料でアカウントを取得できるので試してみるといい。
ここまではネットサービスを使った方法を紹介したが、アプリのダウンロード数を上げる方法はまだまだある。MacPeople10月号(8月29日発売)の特集3「アプリのダウンロードを増やす方法」では20ページ超で紹介しているので、ダウンロードに伸び悩みのある開発者にお勧めだ。
例1 ASO対策
App StoreとGoogle Playの効果的なキーワードの選び方や、キーワードに出てくるサジェストを調べる方法。ライバルアプリのキーワードを調査するなど、実践的な改善策を紹介。
例2 アプリレビューサイトにリリースを送る
件名の付け方から文面まで、1、いや0.1くらいから10までを解説。NGなリリース例を基に企画の立て方や文面内容を考える。また送付先のメディアサイト一覧は、自分で調べるよりも圧倒的に便利だ。実際に大手レビューサイト7社にインタビューし、掲載されやすいリリース文面といった開発者の気になる情報も収録。
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その他、特集1はMacで驚愕の3Dゲームアプリが作れるUnreal Engine 4テクノロジーを完全解説している。「鉄拳7」などでも採用が予定されている注目のゲームエンジンだ。4までの歴史や、アプリの登録方法、セットアップといった基礎から、アプリ作成までを一通り紹介。Oculus Riftを使ったアプリなど、まったくアプリ作成をしない人でも楽しめる内容となっている。
特集2は、じゃあMacでアプリを作るには何か必要なのか? という問いに、これまた1、いや0.1から10まで解説。機種や周辺機器の選び方も参考になるが、キモはXcodeの導入術。専門書を買うほどではないけれど、ちょっと気になっていると言う人はぜひ読んでみてほしい。
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