ハイクオリティーなグラフィックを生かした、家庭用ゲーム機やパソコン用3Dゲームの開発エンジンとしておなじみの「Unreal Engine 4」(UE4)。2014年3月からスタートした、月額19ドルで使用できるサブスクリプションの導入により、個人開発者がスマホのアプリ開発においても導入しやすくなった。ここでは、開発元であるエピック・ゲームズ・ジャパン代表の河崎氏に、そのUE4の詳細について聞いた。
──まずUE4で、サブスクリプションを導入した経緯について教えてください。やはり個人開発者へ提供するのが狙いなのでしょうか?
河崎 UE3の時は、いわゆるコンソールゲーム(家庭用据え置き型ゲーム)が売れた時代でした。Xbox 360やPS3で大型のタイトルを作るときにUEを使っていただくというのが、すごく自然な流れだったんです。新世代機も予想を上回るペースで売れてはいますが、前世代を超えることは難しいでしょう。ゲームが大型化していくことによってリリースされる数も減っていくでしょうから、UE3のときと同じようにコンソールゲームに集中していたのでは、我々のビジネス自体が縮小してしまう可能性があります。
一方で、現在モバイルデバイスやタブレットが広まっていて、コンソールやPCも含めてインディーズのゲーム開発が盛り上がってきています。縮小しつつあるコンソールを補うのはPCやモバイルであり、インディーズ系の開発者ではないか。 そういった状況を鑑みて、開発者の裾野をもっと広げていくためにサブスクリプションを導入しました。
UE4を使えば、美しいグラフィックの3Dゲームを簡単に開発できる |
──サブスクリプションがスタートして3カ月経ちますが、利用者数の推移はどうですか?
河崎 おかげさまで、日本国内でも予想を上回る数の開発者の方にご利用いただいています。
──モバイルでUEを展開するにあたって、最も売りとしているものはなんでしょう。
河崎 ひとつ前のUE3で、弊社のグループ会社が作った「Infinity Blade」というタイトルがUEを代表するモバイルゲームとなります。やはりグラフィックのクオリティーというところで、故スティーブ・ジョブス氏も非常に気に入っていたようで、アップルのCMにも使っていただきました。ですので、見た目のクオリティー、群を抜いたグラフィックが大きな強みです。また3D空間に物体を配置して、3Dの中で遊ぶようなゲームを効率よく開発できるのも特徴で、3D系のゲームにお使いいただいている事例が多いですね。
「Infinity Blade」は現在3作までリリースされている。モバイルゲームとは思えない、グラフィックのクオリティーの高さで話題となった。(c)2013 Chair Entertainment Group, LLC |
──UEはもともとPCやコンソール寄りのエンジンですよね。モバイル系にシフトするにあたって、クオリティーコンロールなどをされているのでしょうか?
河崎 「Infinity Blade」を制作した米チェア・エンターテインメント社からのフィードバックを取り込んで、モバイル環境でも快適にクオリティーの高いものを作れるようにしていきました。ゲームを作りながら、エンジンも作っていったんですね。その結果、例えばパフォーマンスの低いiPhoneであれば影を完全になくすなど、エンジン側で自動にコントロールして、各機種に合わせたチューニングもできるようにしています。
8月には、韓国エイム・トゥ・ゴー社がUE4で開発した「Angels in the sky」が登場。美しいグラフィックは注目だ。(C)AimToG Co. Ltd. |
──モバイルデバイスとなるとAndroid端末も含まれると思います。4月の時点ではまだ完全には対応していないようですが、今後はどうなりますか?
河崎 アジアや南米ではAndroidが非常に重要なポジションにあるので、もちろん力を入れています。我々の子会社は各国にありまして、Androidへの対応は韓国で進めています。UE4で最新のAndroid端末に向けて作っていただければ、「Infinity Blade」をはるかに超えるクオリティーのアプリが実現できると思いますよ。
インタビューの続きは、MacPeople10月号(8月29日発売)の第1特集「いまこそ知りたいUNREAL ENGINE」でチェックを。本特集では、このインタビューをはじめ、UE4の基本や操作ガイド、テンプレートを使った実践テクニックを紹介していますので、興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
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