日本テレビのTV番組連動アプリ「フリフリTV」など、優れたUI(ユーザーインターフェース)のアプリ開発で知られるクリエイティブユニットTHE GUILD。代表取締役の深津氏に、アプリUIの開発方法について聞いた。
(株)THE GUILD インターフェースデザイナー/代表取締役 深津貴之氏 |
─ THE GUILDならではのアプリ開発の方針、コンセプトはあるのですか?
深津 「気持ちよく使えるものを」というのはありますね。特に私はシンプルなものが好きで、なるべく機能を削るように心がけています。複雑になったら負けだと思っています。
─ それはなぜですか?
深津 十徳ナイフは使いやすいですけど、 機能を足して百徳ナイフにすると使いにくいし危ないですよね。iPhoneのアプリもそれと同じだと思っていて、機能がたくさんありすぎてもユーザーは使いこなせない。iPhoneが登場して間もないころは、世間的にも機能が多いアプリが支持されていましたが、最近は機能が多すぎてもよくないという考えも広まっていますよね。
THE GUILDに置かれている百徳ナイフ。機能が多すぎても使いにくいという、分かりやすい例だ |
─ 機能を削るためのポイントはどのあたりでしょう?
深津 タッチの回数を減らし、起動時間をいかに短くするかといったことを考えています。削って最終的に残ったものだけにする。ただ、アイデアやアプローチの仕方はたくさん出して、プランをいくつも作りますけどね。
─ クライアントワークが多いと機能をたくさん要求されそうですが。
深津 そうですね。機能を削ってお金をもらうというのは大変難しい。だからプレゼンが重要になります。日テレの「フリフリTV 」というアプリを手がけたときも、いかに機能を削ることが重要か、実際にデモを作成して提案しました。テレビから視線を外してもらいたくないので、入力フォームやスクロールといった操作も全部削りたかったんですよ。それでiPhoneを振るだけで何でも応募ができるアプリを考えたのです。
「フリフリTV」のデモはProcessing(Javaのアプリ)を使って開発された |
─アプリのアイデアをかたちにするときは、まずは紙に書くんですか?
深津 それは徹底しています。紙は最強ですよ。紙に書けば消しゴムや修正液ですぐに直せますが、実際のプログラムは直すのに時間がかかりますから。紙に書いて全体の構成を見て矛盾がないか確認してから、アプリの開発に入ります。弊社で開発したiPhoneの画面サイズと同じレイアウトの「プロトタイピング・パ ッド」を使っていますが、ぜひほかの人にも活用してもらいたいですね。
THE GUILDが販売する、iPhoneの画面実寸サイズのレイアウト用紙「プロトタイピング・パッド」 |
─ チームで開発する場合に気をつけていることは?
深津 アイデアは実装前に全員で共有するようにしますが、指揮系統を必ず1本作るようにしています。民主主義でアプリを開発するより、一人がしっかりと全員に指示して開発するほうがいいアプリができますね。
こちらは米グーグル社のデジタルアートコンペ「DevArt」に出品した作品。コンペは決勝で負けたが、それを見たフランスの某施設から別の展示の声がかかったとのこと |
以上、THE GUILD深津氏にアプリの開発方法について紹介しましたが、MacPeople 9月号(7月29日発売)の第4特集「アプリ開発者のアイデア発送術!」では、さまざまな人気&注目のアプリデベロッパーの方々のアプリ開発方法を大特集。アプリ開発に役立つ話が満載ですので、興味がある人はぜひ参考にしてみてください。
そのほかMacPeople 9月号の特集ラインアップは、1.4GHzの低価格iMacレビュー/夏のモバイル活用術/Photoshopで始めるiOSアプリ開発入門/iTunes Match徹底解剖となっています。電子版なら気になるキーワードで検索ができるほか、価格も紙よりお得です。
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