2月23日、米マイクロソフトはMWC2014開催前日にバルセロナでプレスイベントを開催し、WindowsおよびWindows Phoneの次期アップデートに関する最新情報を発表した(関連記事)。
ステージにはオペレーティングシステム担当のバイス・プレジデント、ジョー・ベルフィオーレ氏が登壇。Windows 8や8.1に関する最新の数字を振り返るとともに、Windows 8.1の次期アップデートの位置付けについて説明を行なった。
↑ジョー・ベルフィオーレ氏。かつてのWindows Phone担当バイスプレジデントとしてもよく知られている存在。 |
最初にベルフィオーレ氏はWindows 8が登場した背景を改めて説明し、OSの基盤部分を共通化する“シェアードコア”により、スマートフォン、タブレット、PCといったデバイス間で共通のコアを利用できるようになったことや、マイクロソフトが全社的に取り組む“タッチ対応”において、デバイスをまたがったモダンUIによる一貫したユーザー体験の優位性を挙げた。
また、Windows 8に関する最新の数字を紹介。Windows 8のライセンス販売数が2億本を超えたこと、米国で売れたWindows 8デバイスの40%がタッチ対応だったこと、Windows 8/8.1デバイスがすべてのバージョンの“OS X”デバイスの台数を超えたこと、Windowsストアにおける1日あたりのアプリのダウンロード数が400万回以上であることを明らかにした。
■Windows 8.1へのアップデートは春にリリース
次にベルフィオーレ氏は、今春にも提供予定というWindows 8.1への次期アップデートについて発表した。
↑今春リリース予定の、Windows 8.1へのアップデート。 |
それに先だってベルフィオーレ氏は、顧客満足調査の結果を引用。それによると、タッチに対応したデバイスでWindows 8を使っているユーザーの満足度は高く、逆にタッチ非対応デバイスを使っているユーザーの満足度は低かったという。
そしてWindows 8.1の次期アップデートでは、マウスやキーボードなど、タッチ以外の操作方法でWindowsを使う人のためのユーザーの体験を改善する。具体的には、モダンUIのスタート画面には検索や電源に関するボタンを追加。スタート画面での右クリックによる、コンテキストメニューも追加される。Windowsストアアプリにもタイトルバーと閉じるボタンが追加されるなど、従来のWindowsデスクトップアプリとWindowsストアアプリをシームレスに併用できることを狙う。
↑スタート画面に検索や電源のためのボタンが追加される。 |
このようにマイクロソフトは、非タッチデバイスへの最適化を進めているものの、ベルフィオーレ氏は「それでも我々はタッチを愛している」と強調する。マイクロソフトは多くのハードウエアパートナーとタッチデバイスを増やすための取り組みを続けており、タッチを推進していくというポリシー自体に変更はないという。その上で、タッチ操作以外の方法でWindowsを使う人々のユーザー体験を改善することが、このアップデートの目的であると説明した。
さらなる低価格デバイスも可能にする。1GBのメモリ、16GBのストレージを搭載したデバイスでの動作にも対応し、幅広い価格帯へのWindowsデバイスの投入を可能にするだけでなく、エンタープライズや教育用途向け機能も強化するという。
■今春にはWindows Phoneのアップデートも提供
続けてWindows Phoneの話題へ。ベルフィオーレ氏は2013年のWindows Phone市場を振り返り、6つの市場で10%以上のシェアを確保、9つの市場でNo.2のスマートフォンOSとなり、10の市場ではiPhone以上の出荷を実現したと発表。また、「Windows Phoneが売れているのは新興市場だけ」との指摘もある中で、(新興市場ではない)イギリスにおいて、12月に売れたスマートフォンの第3位は『Lumia 520』だったことを挙げて反論した。さらにWindows Phone用の新アプリとしては、『Facebook Messenger for Windows Phone』が登場することを明らかにした。
↑Facebookのメッセンジャーを便利に使えるFacebook MessengerのWindows Phone版がついに登場へ。 |
この次期アップデートは、既存のWindows Phone 8端末についても“技術的には”アップデート可能であるという。実際にアップデートが提供されるかどうかは、キャリアやメーカーの判断次第となりそうだ。他にも企業向けの新機能として、S/MIME対応やVPN、企業用のWi-Fiや証明書管理といった機能に対応する。
ハードウェア要件も刷新する。プロセッサとしてQualcommのSnapdragon 200、400、400 LTEに対応。これまで”戻る”、“ホーム”、“検索”の3つのハードウェアキーが必須だった点については、Androidのソフトキーのような実装も可能とする。一部のWindows Phone端末ではすでにみられた、カメラボタンのオプション化も改めて発表。これらの変更はいずれも、Android端末とWindows Phone端末におけるハードウエアの共通化を狙ったものといえる。さらに、新興市場で人気の高い、デュアルSIMにも対応。デュアルSIMによる接続時には“Phone”タイルが2つ表示されるようになる。
↑次期アップデートでハードウエア要件を多様化し、低価格デバイスも可能に。 |
2013年に発表したWindows Phone 8の“Update 3”では、クアッドコアプロセッサやフルHD解像度などハイエンド方向への強化が目立ったのに対し、今回のアップデートはローエンド方向を意識したものとなっている。より幅広い価格帯においてWindows Phone端末が投入されることになりそうだ。
■ハードウエアOEM戦略を変更、リファレンスデザインを提供へ
最後に、OEM部門のコーポレート・バイスプレジデントであるニック・パーカー氏が、Windows Phoneの端末開発における重要な変更について解説を行なった。
↑OEM部門でお馴染みのニック・パーカー氏。Qualcommによるリファレンスデザインやツールを利用することで、Windows Phone端末の開発プロセスを大幅に簡略化する。 |
端末メーカーが利用できるリファレンスモデルとして、QualcommによるWindows Phoneのリファレンスデザインを提供。ツールとしては、『Windows Hardware Partnet Portal』(関連サイト)を提供する。これにより端末OEMはより容易かつ迅速に、自社ブランドのWindows Phone端末を発売できるようになるという。
また、Windows Phoneの端末パートナーとして、以前から噂のあったレノボ、WP7以来の参入となるLG、WP7.5以来となるZTEなどが新たに参加。ほかにもFoxconn、Gionee、JSR、Karbonn、Lava (Xolo)、Longcheerが加わった。残念ながら日本のOEMに関する情報はなかったものの、OEM向けに提供されるさまざまな施策を活用することで、これまでにないメーカーやブランドからのWindows Phone発売を期待できることになりそうだ。
■関連サイト
MWC2014
Windows Phone Dev Center
Windows Phone Blog「Scaling Windows Phone, evolving Windows 8」(英文)
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