みなさん、こんばんは。MacPeople元・編集長の吉田でございます。1984年1月24日に初代Macintoshが誕生して2014年で30周年。MacPeople編集部では短期集中連載として、初代Macから最新のMac Proまでに盛り込まれたテクノロジーについてひも解いていきます。
17回目に取り上げるのは、Power Mac G4 Cubeです。性能に比べて価格が高く、各種不具合もあったので商業的には成功しなかったマシンでしたが、四角柱のボディーが立方体のロジックボード一式、ファンレス機能など、意欲的にデザインが盛り込まれたマシンでした。
Power Mac G4 Cube
オープンドアタイプのタワー型マシンが発売される中で、当時から異色だったPower Mac G4 Cube。スティーブ・ジョブズの執念が生んだとも言える本モデルはMacの長い歴史の中でいまだに異彩を放っている。
ファンレス仕様の冷却機構を採用したPower Mac G4 Cube。スロットローディングタイプの光学式ドライブを備え、上面からディスクを入れるという斬新なデザインだった |
静粛なファンレス設計
特徴的な外観のデザイン以外にも、初代Macintoshと同じように対流による自然空冷方式を採用していたことも、注目すべき項目のひとつだ。ただし初代Macとは異なり、ハードディスクを本体に内蔵していたため、まったくの無音というわけにはいかなかった。電源ユニットを外付けにすることで全体の発熱量を下げ、なんとか実現に漕ぎ着けた設計だろう。
ただしハードディスクを内蔵し、クロック周波数が450MHz、さらにGPU「ATI RAGE 128 Pro」を搭載していたG4 Cubeの発熱量はそれほど少ないものではない。そもそもこの時代のマシンを自然空冷で使うこと自体、無理があったと言わざるを得ない。特に室温が高くなる夏場は厳しく、発熱による誤動作はユーザーの悩みの種だった。また、軽く触れるだけで電源が入るタッチ式電源スイッチの不具合や、製造工程時に透明ケース部分にまれに入る微細なスジの問題などを抱え、アップルはわずか1年ほどで製造を中止してしまった。
このようなマシンをアップルの失敗作と見なすことは簡単だ。しかし、これだけ独創的な設計のマシンを実際に製品化してしまうのは、ジョブズが率いるアップルだからこそ可能だったとも考えられる。これほど個性的なマシンがこの世に存在したことは、非常に珍しいことと言えるだろう。
Power Mac G4 Cubeの底面に備わっているハンドルは押し込むことでポップアップし、写真のように本体内部を丸ごと引き出すことができた |
さて、絶賛発売中のMacPeople 3月号では、Macintosh 30周年を記念した特集記事を組んでいます。初代Macintoshのさまざな写真はもちろん、SE、SE/30、Color ClassicなどのコンパクトMac、Macintosh IIやIIci、IIsi、IIfx、LC475などのセパレート型Macの驚愕のテクノロジーをひも解いていきます。もちろん、68K MacだけでなくPowerPC搭載のiMacやPower Mac、インテルCPU搭載マシンを含む一体型、デスクトップ型すべてです。そして第2特集では、最新のMac Proを詳しく紹介。この2つの特集記事だけで80ページ以上ありますよ!
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