■3ヵ国目:ウクライナ(9月14日~9月18日)
ドイツの展示会取材にかこつけて日本に帰らず、欧州をぐるぐる回ってしまおうという今回の旅。お次はポーランドのワルシャワから飛行機でウクライナの首都キエフに向かいます。
ポーランドに続き、ウクライナも初訪問。初めての国に行くときはネットでプリペイドSIMの買い方や、その国の通信事情などをあらかじめ調べてから行くようにしているのですが、ウクライナについての情報はネット上にあまり見つけられず、結局、通信環境に関してはノープランで空港に降り立ちました。
機内食はパンひとつ |
↑ワルシャワ-キエフはウクライナ国際航空を利用。フライト時間は1時間ちょっとなので、機内食はパンだけ。 |
入国審査と税関を抜けて到着ロビーに出ると、白タクのおじさんたちが声をかけてきます。基本的に空港で声をかけてくる白タクはぼったくりなどトラブルが多いので、無視して空港のインフォメーションコーナーへ。そこでSIMを売っているところがあるかと聞くと、出発ロビーの売店で売っているとのこと。
空港売店に突入 |
↑出発ロビーにあった売店。見渡しても売店らしきところはここしかありません。 |
早速移動し、売店の店員さんに「プリペイドSIMを売ってくれ! インターネットのできるやつ!」とオーダーし、渡されたのが『life』というキャリアのSIM。さらに店員さんに「インターネットを申し込むならチャージも必要」と言われたので、100フリヴニャのチャージ用カードも購入します。合わせて130フリヴニャ(約1560円)でした。
lifeのプリペイドSIM |
↑lifeのSIMパッケージ。キリル文字はさっぱりで、ボクには顔文字にしか見えません。(・д・`) |
チャージ用のカード |
↑こちらはチャージ用のカード。このほか50フリヴニャや10フリヴニャなどの単位でも売ってました。 |
売店を出たら、早速、空港の椅子でSIMのセットアップ。通常サイズとmicroサイズの共用タイプだったので、microSIMのサイズで切り抜いてXperia Z Ultraに装着しました。「セットしたら111に電話して開通して」と店員さんに言われていたため、その通りに電話。開通作業では言語が指定できたので英語に切り替えます。
次に、チャージ用カードの裏面にあるスクラッチ部分を削ってPINコードをチェック。通話アプリからPINコードを入力すると、SMSが届き、100フリヴニャが無事、チャージされました。
さて、ここからが問題。このままネットにつなぐとパケ死してしまうので、定額サービスかパケットパックを申し込む……というのがプリペイドSIMでの定石です。ただ、SIMのパッケージを開いても、キリル文字で何が書いてあるのかさっぱりわかりません。
説明もキリル文字! |
↑かろうじてAPNは“internet”であることはわかりましたが、それ以外はチンプンカンプン。 |
とりあえず、記載されている数字“*123*6#”と電話マークが怪しいなと、通話アプリでダイヤルしてみると……ビンゴ!! 定額サービスなどの申し込み画面が表示されました。しかもちゃんと英語表記になっていたので、これならなんとかわかります。
データ定額発見!! |
↑申し込み画面を入力していくと、何種類かプランありました。このなかから1週間定額の“Unlimited Internet Week”を選択。 |
1週間定額は350円 |
↑1週間定額は29フリヴニャ(約350円)。キエフ滞在は5日間なので、100フリヴニャもチャージする必要なかった……。 |
1週間定額を申し込むと、SMSで申し込み完了のお知らせが届きました。あとはAPNなどの設定をするだけ。設定項目は下記の通りです。
APN:internet
ユーザーID:空白
パスワード:空白
さて。これでネットへの接続が完了したのですが……アンテナピクトは2Gの“E”マーク。速度を計測してみると、下りで0.15Mbpsほどしか出ません。ツイッターのタイムライン更新やメールの受信などは問題ないですが、ウェブサイトの表示や、SNSへの写真付きの投稿などはかなり時間がかかり、エラーになってしまうことも。
2Gで激遅っ!! |
↑LTE天国だったポーランドから来ただけに、余計に遅く感じます。 |
もしかして空港の周りが郊外だから2Gなのかな……と、空港からバスと地下鉄を乗り継ぎ、予約したアパートまできてみましたが、表示は2Gのまま。どんな電波が飛んでいるんだろうと、利用可能なネットワークを検索してみたところ、ほどんど2Gで3Gはひとつだけ。とりあえず通信はできるので、スマホからのネット環境はこのままにしておくことにしました。
3Gの電波がない…… |
↑W-CDMAの3Gを提供しているのは、TriMobというキャリアだけのようです。 |
さて。今回ウクライナに来た最大の目的は、『チェルノブイリツアー』に参加すること。現地ツアーに申し込めば、立ち入り禁止区域に指定されたチェルノブイリ地区に行けると知り、事故から25年たった今、現地がどのような現状になっているのか、自分の目で見てみたいと思ったからです。
より大きな地図で チェルノブイリ原発 を表示
ツアーの申し込みは『SunWayTour』というツアー会社に、日本からネットで行いました。今回は英語を話すガイドさんが付いたグループツアーに申し込んだので、ツアー代金は160ドル(1万6000円)でした。
ツアー当日は、キエフ市内の指定されたホテル前に、8時45分集合。ごく普通の観光バスに乗り、キエフからおよそ110㎞離れたチェルノブイリに向かいます。バスの中では原発事故についてのビデオが流れたほか、ガイドさんから注意事項の説明を受けました。
バスでチェルノブイリへ |
↑キエフの北にあるグレーのゾーンが、発電所を中心に設定された立ち入り禁止区域。 |
立ち入り禁止地域の前には検問所があり、ここでツアー名簿とパスポートのチェックが行われました(検問所での撮影は禁止なので写真はありません)。
検問所をぬけると、事故があった4号炉に向かいながら、途中でいくつかのモニュメントに立ち寄ります。
消防士の碑 |
↑事故後すぐに対応にあたった消防士たちのモニュメント。その裏手は、現在でも対応にあたっている消防士の宿舎です。 |
作業に使った機器 |
↑事故で使用したトラクターなどの機器も、今はモニュメントとして展示してあります。 |
廃墟となった幼稚園 |
↑約25年間使われることなく放置され、中はボロボロの状態です。 |
ちなみに今回のツアーのため、ソフトバンクに内容を説明し、放射線測定機能のついたスマホ『AQUOS PHONE ss 205SH』をお借りしてきました。SIMフリーではないので、通信は現地SIMを挿したXperia Z Ultraのテザリング機能を使います。
205SHで測定 |
↑作業機器のモニュメントの周辺は0.21マイクロシーベルト/時でした。 |
ガイドさんの測定器 |
↑ガイドさんも測定器を持っています。危険な数値が出た場合、ツアーは打ち切りにするのだそうです。 |
205SHを使って放射線を測定していると、ガイドさんから「それはなんだ?」と訊かれたので、「放射線測定付きスマートフォン」と答えました。すると、「フェイクだ!」と信用してくれません。
そこでガイドさんの放射線測定器と同じポイントで計測して比較。ほぼ同じ数字がでたことで信用してくれたようで、「……日本はすごいな」と言われました。……本当は、こんな機能付きのスマホが発売される必要がないほうがいいのですが。
ツアーは進み、事故現場となる4号炉へと到着。中には入れませんがかなり近くまで寄ることができます。
事故のあった4号炉 |
↑事故から約25年たった4号炉。この距離から見てもかなりボロボロなのがわかります。 |
新シェルターを建設中 |
↑4号炉のそばでは新たにシェルターを建設中。完成後、移動させて4号路にかぶせるとのこと。 |
4号炉付近は数値が高い |
↑3.78マイクロシーベルト/時を計測。日本では福島の事故直後、学校の校庭での活動制限が3.8マイクロシーベルト/時でした。 |
205SHで計測した結果、4号炉の周辺やホットスポットになりやすい木の根元などでは、数マイクロシーベルト/時という高い数値でした。事故から25年経った今でも、チェルノブイリ周辺は安全に暮らせるという状態には戻っていません。
このツアーも、バスの中で“なにが起きても自己責任”という書面にサインをしています。また、ツアー中に放射線物質が着いてしまう可能性があるため、地面に座ったり物を置いたりすることは禁じられており、絶対的に安全なツアーとはいえないでしょう。
無人の街 |
↑発電所そばにあるプリピャチ市。事故前は4万8000人が住んでいましたが、全員避難し、ゴーストタウンになっています。 |
時が止まった観覧車 |
↑プリピャチ市にある遊園地ゾーン。撤去されるわけでもなく、静かに朽ち果てていくのを待つだけの、悲しい風景です。 |
以上が立ち入り禁止エリア内で立ち寄った主なポイントです。立ち入り禁止エリアを出る前は、ひとりひとり専用の機械を使い、カラダに放射線物質が付着していないかどうか、2ヵ所で検査が行なわれます。
放射線チェック |
↑専用の機械に立って自分でチェックするシステム。ツアー客は20名ほどいましたが、全員問題なく通過できました。 |
検問所では、バスも専用の機械を使って放射線チェックをしていました。立ち入り禁止エリアから放射線物質を出さないようにする対策です。さらに検問所でツアー客の人数などを確認し、同じバスでキエフまで戻りツアーは終了です。
一般の旅行客にツアーが提供されているとはいえ、立ち入り禁止エリアの内の放射線量は高く、何度も言いますが安全とは言い切れません。筆者はもちろん自分の勉強のために自己責任でツアーに参加したのですが、この記事を参考に見学に行きたいと思う方が居たら、同じく自己責任でお願いします。
さてガラリと変わって、旅の楽しみといば食事です。ウクライナ料理って何が名物なんだろうとネットで調べたら、ボルシチ! ロシア料理かと思ったら、ウクライナの伝統料理がロシアに広まったんだそうですよ。
ボルシチで身も心も暖まります |
↑雨続きでカラダも冷えていたので、温かいボルシチがとても美味かった。お好みでサワークリームをのせて食べます。65フリヴニャ(約780円)。 |
カツレツも美味い |
↑チキンにバターを挟んで揚げたキエフふうカツレツ。揚げ物大好きな筆者にピッタリのおいしさ。95フリヴニャ(約1140円) |
キエフでは街の中心地となる独立広場付近のホテルに滞在しました。歴史のありそうな建物や観光スポットも多く、デパートや露店もたくさんあるので、観光地としては申し分なし。地下鉄も走っていて英語表記もされているので、移動もかなりラクチンです。
独立広場周辺 |
↑街の中心地点で観光スポットにもなっていて、人通りが多い。日曜夜は歩行者天国になってにぎやかです。 |
キャラクターにご用心 |
↑独立広場にいたどこかで見たことのある人たち。そばを歩くと「写真を撮ろうと!」と寄ってきますが、あとでお金を請求されます。海外の観光スポットでは良くある商売です。 |
世界遺産もある |
↑世界遺産に登録されている聖ソフィア大聖堂。ドイツなどの西ヨーロッパとはずいぶん違った趣です。 |
露店でお土産 |
↑独立広場周辺は露店でお土産を販売している店も多く、旧ソ連時代のアイテムなども売っていました。 |
街中をブラブラして気が付いたのは、あちこちのキオスクでプリペイドのSIMカードを販売していること。また、プリペイドSIMを販売している露店も見かけました。空港で買わなくても、街の中心部まで来れば、簡単に購入できそうです。
売店でSIMを販売 |
↑かなり目立つように宣伝されています。価格は売店によってまちまち。 |
SIMの露店販売も |
↑各キャリアのSIMカードを販売している露店。購入にパスポートなどの本人確認は不要。 |
露店のSIM屋さんを覗いてみると、W-CDMAで3Gを提供しているTriMobのSIMを発見。一応購入してみたのですが、こちらは電話での自動応答や通話アプリからの申し込み、SMSの返信もすべてウクライナ語。キャリアの公式サイトを見ると、パケット定額はありそうですが、申し込み方がまったくわかりません。
しかたなく、100フリヴニャをチャージして従量課金制で使ってみました。購入してから2日間、就寝中は電源オフにして使っていたので、チャージ切れで通信ができなくなるようなことはありませんでした。APNなどの設定項目は下記の通りです。
APN:3g.utel.ua
ユーザーID:空白
パスワード:空白
唯一の3G対応SIM |
↑露店のSIM屋さんで購入したTriMobのSIM。30フリヴニャ(約360円)。 |
速度はそこそこ |
↑屋外で計測したら、上りは遅いものの、下りは2.38Mbps出ていました。 |
以上でウクライナのキエフ滞在は終了。モバイル通信事情はあまり良くありませんが、キエフ以外にも、ヤルタ会談で有名な観光地ヤルタや、ガンダムオタなら一度は行きたいオデッサもウクライナです。何年かして、もうちょっと通信環境がよくなったら、あちこち回ってみたいですね。
さて。次はフランスはiPhone 5sを買うべく、花の都パリに飛びます!!
■関連サイト
life
SunWayTour
TriMob
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