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テレビはこれからどうなる? 経済産業省が“次世代テレビ”についての施策提言

2013年03月04日 15時30分更新

 日本人の1日のテレビ視聴時間は3時間にもなる(NHK放送文化研究所の“生活時間調査”=2012年3月に実施による)。YouTubeやニコニコ動画、Huluなどの映像配信がさかんになり、スマートフォンやタブレットで映像再生も行なわれるようになったとはいえ、いまのところ家庭のエンターテインメントの中心的な役割を担っている。一方で、“テレビばなれ”が言われて若年層を中心に「ほとんど見ない」という人たちも増えているのも事実ではあるが。

 日本の広告市場は、リーマンショック以降減少に転じたが、テレビ広告に関しては、2011年は前年比99.5%と微減、2012年は同103.0%という推移となっている(電通による)。グーグルが2012年8月に発表した調査結果(The New Multi-Screen Wolrld)では、今後、人々は“スマートフォン”、“タブレット”、“PC”、“テレビ”の4つのスクリーンへ情報摂取の手段を集約しつつあるという。

 新聞・雑誌、ラジオなど従来型メディアの中で、テレビだけが、今後もメディアとして重要な役割をはたすと考えられている点は興味深い。もっとも、これはテレビが“次世代テレビ”と呼ぶべきものへと進化することを前提としている。それは、現在「スマートテレビ」と呼ばれているネット接続、アプリ実行可能などの機能や、「4K、8K」と呼ばれる高精細化などを指すものだろう。

 こうした中で、経済産業省は、2013年2月28日に、5年後のテレビのあり方や機能の進化を見据えた検討を行ない、今後の関係者の取り組みについての提言をとりまとめたと発表。同時に、このために実施した「次世代テレビ検討会」の報告書の概要と、同報告書を公開した(「次世代テレビのあり方について施策提言をまとめました」担当:商務情報政策局 情報通信機器課)。

テレビはこれからどうなる?
※経済産業省のリリース告知

 提言のポイントとして、(1)家庭における最高水準の映像表示端末として4K、8Kなど高精細化、ほかのスマート端末との円滑な連携、今後増加する高年齢者をも踏まえたインターフェース、(2)通信が同期した情報提供技術、周辺データ(メタデータ)の標準化検討、テレビとクラウド全体の視聴行動によるレコメンド提供手法、(3)EMS(エネルギー・マネジメント・システム)の表示端末、見守り、健康管理サービスの可能性検討、利用者自身がサービス政策に参加するなど新たなサービスモデルの検討や関連する課金システムに応じた見直し、多様なデータのAPI公開など、多方面での検討や取り組みを必要としている。

 次世代テレビ検討会は、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の芦村和幸特任准教授を委員長に、パナソニック、ソニー、シャープ、東芝など家電大手、NTTやソフトバンクグループ、電通、フジテレビジョンなどが参加。オブザーバーとして経済産業省と総務省も名前を連ねている。事務局と検討会報告書のとりまとめは、JEITA(電子情報技術産業協会)と角川アスキー総合研究所が担当した。

 PCやスマートフォンが、もっぱら市場の原理だけで進化するのに対して、テレビは、電波行政、放送局、広告、メーカー、規格団体、演者、EPG提供など、関連事項やステークホルダーがきわめて多い。次世代テレビにおいては、ネットの標準化とも密接に関係しており、W3Cや海外の次世代テレビ規格との関連を見る必要があるのに加えて、グーグルやアップルなどのIT系のプラットフォーマーの参入やNTTドコモなど通信事業者もこの分野に注目している。

 100ページを超える検討会報告書は、こうしたテレビのあり方を考える上で必要となる多岐に渡る情報も含んでいる。スマートテレビや高精細テレビに関するニュースなどが、ひたすら“高度化”をうたいがちであるのに対して、報告書に含まれる老テク研究会のアンケート結果や検討会での意見も貴重だ。「老人ならタブレットがよいだろう」という意見に対して、「老人はタブレットは落とすからダメ」など企業は見落としがちな点だ。

テレビはこれからどうなる?
※報告書中で紹介されたテレビの現状データ

 次世代テレビは、文字どおりこれから出てくるお話だが、それを取り巻くスマートデバイス市場は、タブレットの普及という第2ラウンドが始まっているなど風雲急を告げている。しかしながら、テレビは、情報機器としてだけ進化するのではなく家族ややすらぎの場であるべき家庭やパーソナルな空間の中でどうあるべきなのか? 報告書は、下記サイトよりPDF形式でダウンロード可能となっているので、具体的な資料を求める人は閲覧してみてはいかがだろうか?

テレビはこれからどうなる?
※報告書中の先進ユーザーへのアンケート結果分析チャートの一部(角川アスキー総研作成)

次世代テレビのあり方について施策提言をまとめました
http://www.meti.go.jp/press/2012/02/20130228001/20130228001.html

JEITA(電子情報技術産業協会)
http://www.jeita.or.jp/

株式会社角川アスキー総合研究所
http://www.lab-kadokawa.com/

老テク研究会
http://homepage3.nifty.com/ICSProject/lowtech/about.htm

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