10月16日、“ソーシャルとテレビの明日を語る”をテーマにした『日テレ JoinTV カンファレンス 2012』が開催されました。
カンファレンスの前半ではLINE、mixi、Facebook、Twitterというソーシャルサービスを展開する企業各社の担当者が登壇し、自社サービスの取り組みを発表。そして後半には、主催者の日本テレビがソーシャルと連動する3つの新展開を発表し、そのあとには識者4名によるパネルディスカッションも行なわれました。
■日テレ番組アカウントも多いLINE
最初に登壇したのは、LINEを運営するNHN Japan株式会社のウェブサービス本部長の出澤剛取締役。現在、LINEでは、日本テレビ系『ZIP!』や『Music Lovers』など、9つのテレビ番組の公式アカウントを開設しているとのこと。これまでの具体的な活用法としては、Music Loversで「1日のスタートに聴きたい曲は?」というアンケートをとったところ数千件の投稿があり、そのほとんどがLINE経由のものだったことを紹介。また、同じくMusic Loversで、ももいろクローバーZのフォトギャラリー公開をLINEで告知したら、通常時と比べて22倍のアクセスがあったそうです。
■ミクシィはまだまだ元気
2番目の登壇者は、株式会社ミクシィのパートナービジネス本部ソリューション部の波多江祐介部長。ミクシィ内には以前からテレビ番組の“コミュニティ”が多数あること、ミクシィがこれまでに行なったテレビ連携の取り組みなどのほか、テレビとの連動について検討する専門チームを設置することも発表しました。最後に波多江氏が発した「ミクシィはまだまだ元気です。がんばります」という言葉が印象的でした。
■Facebookはソーシャル利用の海外事例
3番目に登壇したのはFacebook日本の森岡康一副代表で、海外のテレビ局や動画配信事業者の取り組み事例を紹介。『ディスカバリーチャンネル』や海外ドラマ『glee/グリー』のFacebookページには数千万単位のユーザーが“いいね!”を押していることのほか、米CNNが展開する大統領選挙関連のFacebookアプリなどが具体例として挙げられました。また、米国のソーシャルレコメンドサービス『GetGlue』(関連サイト)や英国のソーシャル連動テレビガイドサービス『zeebox』(関連サイト)など、ユニークなサービスの取り組みも紹介されて興味深い発表となりました。
■テレビのリアクションを反映するTwitter
4番目の登壇者は、Twitter Japan株式会社の牧野友衛パートナーシップディレクター。1秒あたりのツイート数ランキング(トップはもちろん、ラピュタの“バルス”)を見てもわかるとおり、Twitterでつぶやかれる内容は放映中のテレビ番組やスポーツイベントなどリアルタイムの出来事に関する事柄が多く、アメリカのニュース番組で出演者が自分のアカウントを表示したところ、フォロワーが急激に増加したそうです。そのほか、各種調査などのデータを元にして、ツイッターとテレビの関係性を探りました。
各社の発表が終わり、主催者の日本テレビからは、ソーシャルと連動する新展開が3つ発表されました。
■LINE公式アカウントを開設
10月16日からスタート。これまで番組アカウントはあったものの、テレビ局としては初の試みとのこと。番組情報を配信するほか、プレゼントなどの企画も予定しているそうです。
■JoinTVがセカンドステージに
2012年3月にスタートしたFacebook連携のデータ放送、SNS連動サービス『JoinTV』が、視聴者からの意見を反映してこの秋からパワーアップ。大きなポイントしては、スマホをセカンドスクリーンとして活用できるようになったことと、FacebookだけでなくTwitterにも対応したことです。
このJoinTVを活用した今後の企画としては、金曜ロードSHOW!との連動サービス『ムーヴィシンクロナイザ』も発表されました。これは、映画の名場面を体験する楽しみをソーシャルで共有し盛り上がるためのツールで、11月9日、16日に放映される『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』を題材にした企画が決定済み。
「逃げちゃダメだ」などの名セリフの場面に合わせて“シンクロ”ボタンを押して友だちとシンクロしたり、ヤシマ作戦のシーンでは“連打で発電”ボタンを連打するなど、楽しげな仕掛けが用意されています。また、12月のサッカークラブワールドカップの中継と連動するソーシャル観戦企画も予定されています。
■wiz tvに新機能が追加
いまテレビで何が盛り上がっているかがわかる“盛り上がりグラフ”などを提供し、JoinTVと比べてよりライトなユーザー向けに位置づけされるソーシャルテレビアプリ『wiz tv』に、新機能が追加されました。そのうちのひとつ“インタレストチャンネル”は、放送局や番組単位でなくより細かな単位でユーザーの“興味”を可視化するもので、最初の企画として『ヱヴァンゲリヲンチャンネル』が11月1日から開始予定。ヱヴァに関する話題の盛り上がりグラフや関連タイムライン、関連情報などが見られます。また、デイリー&ウィークリーのランキング表示機能や、盛り上がりグラフの画像をコメント付きでTwitterやFacebookに投稿できる機能も追加されています。
■遠藤所長も出演のパネルディスカッション
さて、カンファレンスの最後は、識者によるパネルディスカッション。パネリストは、ジャーナリストの本田雅一氏、角川アスキー総合研究所の遠藤諭所長、株式会社バスキュールの朴正義代表取締役、日本テレビ放送網株式会社の中西太プロデューサーという4名。進行はJoinTVを立ち上げた、日本テレビ放送網株式会社メディアデザインセンターの安藤聖泰氏が務めました。
冒頭で安藤氏が「実はぜんぜん打ち合わせができていないんです」と言い訳(?)したところから予感はありましたが、パネリスト各氏が積極的に持論を展開したディスカッションは、短時間でさまざまなトピックを追ったこともあって、あまりまとまりの感じられない内容に……。ただ「デバイス(テレビ、PC、スマホ、タブレットなど)ごとの利用時間の変化」や「テレビネイティブ世代→デジタルネイティブ世代→ソーシャルネイティブ世代の変遷」、「テレビの同時体験性」、「リアルタイム性の意義」など、話し合われたトピックは興味深いものばかり。また、パネリストが全員、変に周囲の空気を読んだりすることなく“刺激的”な発言を繰り出したおかげで、会場は盛り上がりを見せていました。
↑パネリストは左から遠藤諭氏、本田雅一氏、朴正義氏、中西太氏の4名。
↑進行は日本テレビ放送網株式会社メディアデザインセンターの安藤聖泰氏が担当。
■関連サイト
『JoinTV』ホームページ
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