秋冬商戦の意気込みを語るKDDI代表取締役社長、田中孝司氏 |
KDDIは9月26日、秋冬発売予定のauスマートフォン新ラインアップを発表した。
ユーザーの純増数でこそドコモやソフトバンクに押されぎだった同社だが、「MNPの流出はなんとか止まるぐらいまでもってこれた」(同社代表取締役社長 田中孝司氏)と発言。新機種の投入で反転攻勢に転じる構えだ。
新端末の目玉は、下り最大40MbpsのWiMAXに対応する4機種。海外メーカーのモトローラ、HTCに加え、国内メーカーの富士通東芝、京セラが対応端末を投入する。
WiMAXは、スペック上の速度こそドコモの“Xi”やソフトバンクの“ULTRA SPEED”にわずかに劣るが、2009年からサービスを開始しているだけあって対応エリアは十分。
周波数的に屋内浸透に弱いという弱点はあるものの、都市部の電波状況は良好だ。田中氏も「エリアカバレッジは圧倒的に広いので、十分にやっていける」と自信をのぞかせた。
auはサービス開始が早く、提供エリアが広いWiMAXの強みを推す。 |
WiMAX搭載の新端末『DIGNO ISW11K』は、国内初の京セラ製スマホ。 |
今回登場した4機種のWiMAX対応スマホは、全機種テザリングにも対応する。3GとWiMAXのどちらでも利用でき、追加料金は一切かからない。WiMAX網に接続したときのみ、通常よりパケット代が525円上がる方式だ。
ドコモのテザリングはパケット代が最大1万395円になることを考えると、かなりおトクな料金設定といえるだろう。
WiMAXを利用した月だけ料金が525円高くなる。テザリングの追加料金は不要で、3ヵ月間の無料キャンペーンも。 |
また、KDDIは秋冬モデルに合わせて、ソフトバンクの“ホワイトプラン”に真っ向から勝負を挑む新料金プラン“プランZシンプル”を発表した。
“誰でも割”に加入すれば、基本使用料はわずか980円。1時から21時までauケータイへの発信が無料になるほか、auケータイに送信するCメールも24時間無料になる。
「家族通話無料や指定通話定額でかなり無料が浸透してきているので、(減収減益の)幅はそれほど大きくない」と田中氏は語るが、3000万人のユーザーを抱えるauが、通話し放題のプランを打ち出すインパクトは決して小さくない。少なくとも、MNP流出を抑える一助にはなりそうだ。
“プランZシンプル”で無料になる対象のユーザー数は3000万。 |
基本使用料の金額や、無料時間帯などはソフトバンクの“ホワイトプラン”と完全に同じ。 |
一方で、“フィーチャーフォン”と呼ばれる従来型のケータイは、法人向けの『E10K』を含めてもわずか3機種のみ。田中氏はその理由を「多数のユーザーがスマートフォンに完全にシフトしている」と説明する。
おサイフケータイ、赤外線、ワンセグを搭載した端末が充実してきているほか、秋冬からはEZwebで利用できたサイトのうち、約500がスマートフォンに対応、au oneのポータルからアクセス可能になる。
こうした各種サービスが追いついてきたことも、フィーチャーフォンのラインアップを縮小した要因といえるだろう。
従来型ケータイのラインアップは薄く、発表会では特長にも触れられなかった。 |
スマホでも公式サイトを利用可能に。決済は“au one ID”で行ない、月額課金にも対応するという。 |
今回発表の端末ラインアップの全体を見渡すと、ややクセの強い端末が多く、ハイエンドに寄っていることは否めない。
国内でシェアの高いシャープ製端末も『AQUOS PHONE IS13SH』のみ。スマートフォン市場が徐々に一般層に広がる中、このラインアップがどのように受け入れられるか、未知数な部分もある。
質疑応答や田中氏の囲み取材では、先週多くのメディアで話題になった『au版iPhone』への質問が絶えなかった。KDDI関係者は「ノーコメント」を貫き通していたが、iPhone導入の環境は整いつつある。
iPhoneが対応すると考えられる新800MHzのエリアも整いつつあり、SMS(Cメール)も今後は国際標準と方式を合わせていく構えだ。田中氏は「ユーザーが本当に“欲しい”機種を取りそろえたい」という意味深なコメントを残して会見を締めくくったが、今後の「One more thing」があることを期待したい。
会見後の囲み取材で田中氏に殺到する報道陣。質問はやはりiPhoneに集中。 |
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