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大学教授×有名ゲーマーが挑む! ハーマンミラーの高級チェアは“本物”か!?

2011年07月11日 10時00分更新

 独特のメッシュ構造で知られるハーマンミラーの『アーロンチェア』はPCユーザーの憧れとして、あまりにも有名だ。人間工学の粋を結集したオフィスチェアの数々は、いつだって長時間のデスク作業をこなすビジネスマンやホビイストの垂涎(すいぜん)の的だが、10万円~20万円と、そうそう簡単に手が出せないし、実際、安い椅子とそんなに違わないのでは?といった声も聞こえてくる。

 そこで早稲田大学国際情報通信研究センターの三家礼子氏と、グルーブシンク代表取締役の松井悠氏がタッグを組み、実験を開始。松井氏は、格闘ゲームの全国大会を制したこともあるゲーマー、“ストッキング松井”としても有名な人物。実験では松井氏が率いるゲーマーたちが、ハーマンミラーの最新技術が詰まった『エンボディチェア』(実売価格20万円前後)を使ったハードなテストを3日間にわたり実施したもの。

エンボディチェア

 実験の内容は次のようなものだ。

●被験者として3名のゲーマーが参加。心拍と脳血流を測定する装置を身につけ、Xbox 360の『Halo: reach』のオンライン対戦を1日5時間、3日間にかけてプレーする。

●椅子はハーマンミラーの『エンボディチェア』(EMBODY)、競合他社のエルゴノミクスデザインチェア(Chair A)、一般的なオフィスチェア(Chair B)の3種類とする。

●3名の被験者は1日毎に別の椅子に座ってゲームをプレーすること。

エンボディチェア

 座る椅子によってどのような違いが現れるのかが実験の観測対象となる。

 実験を指揮した三家氏によれば、測定のキモとなるのは“自律神経のバランス”だという。肉体的・心理的にリラックスしているか、それとも緊張しているかを表わす指標だ。ちなみに、被験者となった3名のゲーマーはいずれも『Halo: reach』は達人級の腕前なので、実験で現れる数値変動は純粋に椅子の影響とみなすことができたようだ。(余談だが、日常的な脳の使い方でゲーム内の高度な判断を素早く下せることに、三家氏は本当におどろいたそう。)

●心拍変動
 これは、心拍の低周波成分(LF)と高周波成分(HF)から導きだされる自律神経バランスの値だ。この値が0.2以下なら副交感神経亢進(こうしん)と呼ばれる状態で、非常にリラックスしていることを示す。逆に5.0以上なら交感神経亢進という状態で、被験者が緊張にさらされていることを示すが、『エンボディチェア』での平均値は1.72と、副交感神経優位。いっぽう、比較対象の椅子では平均およそ4.9と、交感神経優位の状態となっている。

エンボディチェア

●脳血流測定
 脳血流の変動からは、脳活動の活発度とストレスのレベルがわかる。これがあまり高いレベルだったり、変動が激しい状態では、神経への負担が大きく早々に疲れてしまうということのようだ。実験結果としては、比較対象の椅子に比べて『エンボディチェア』での脳波が安定していることがわかった。これは、より落ち着いた心理状態でゲームをプレーできているということを示している。

エンボディチェア

 自ら被験者として実験に臨んだ松井氏によれば、さまざまな測定装置を付けてゲームをプレーする環境は非常に負担が大きく、1日5時間というゲーマーにとっては日常的なプレー時間でも、「2度とやりたくない!」と思えるほど消耗したそうだ。しかしその中でも『エンボディチェア』使用時は、4時間が経過した後でもゲーム内でのパフォーマンスがあまり低下しなかったという。

エンボディチェア


●レーティングスコア

 松井氏率いる3人の被験者チームは1日40戦ほどをプレイして、勝率は9割をキープ。もともとレベルの高い被験者だが、スコアにはあまり違いが見られなかったようだ。(これは、『Halo: reach』のオンラインマッチングシステムが非常に優秀なためでもある。プレー成績に合わせてレベルの合った相手と常にマッチングされるので、毎試合で良い勝負が展開することになり、スコアそのものには変動が見られなかったというわけ。)

エンボディチェア

 実験の結果、心拍測定による自律神経バランスの良好さ、脳血流の安定した流れといった根拠から、三家氏と松井氏は“客観評価・主観評価ともに『エンボディチェア』の優位性を示すことができた”と結論づけた。

 また、松井氏は被験者の経験から、“身体部位の負担が少なく、持続的に高いパフォーマンスで活動を続けられる”と評価しているのが大きなポイントだろう。

 椅子の違いによってゲームの成績にも違いが現れるのか? という点も気になるところだが、今後、予算などの都合が付けば取り組んでみたいそうだ。早稲田大学では本実験のデータ集計をまだ続けているとのことで、まだまだ掘り下げられる部分がありそう。

エンボディチェア

 そして実はこの発表を聞いている間、筆者も会場内の『エンボディチェア』に1時間以上座っていたのだが、明らかにわかるのは座面に対する負荷の少なさ。一般的な椅子では長時間座っていいるとおしりが痛くなってしまうが、これは座面全体に負荷が分散されている感触で、まったく不快感がない。背もたれの構造も秀逸で、肩甲骨のあたりまで背中を優しくサポートし、良好な姿勢を自然に維持できるのだ。長く座れば座るほどわかってくる快適さが、確実にある。

 ゲーム大好きな筆者としては、高級チェアの魅力に触れたことで、悩ましい日々が始まってしまった。新しいゲームやパソコン、ディスプレーなどを買うのを我慢して、予算をハーマンミラーのチェアに配分するかどうか……。

 これらの座り心地を確かめてみたい人は、この発表会が行なわれた東京・丸の内の“丸の内MY PLAZA”内のハーマンミラーストアに足を運んでみるといい。今回の『エンボディチェア』をはじめ、快適な座り心地を約束する各種の高級チェアを実際に試すことができるぞ。

エンボディチェア
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