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「第1回 横浜ベンチャーマップ作成イベント」レポート

横浜で起業するメリット/デメリットとは?

2020年01月17日 09時00分更新

横浜市とASCII STARTUPは2019年11月14日、横浜市内のベンチャー交流イベント「第1回 横浜ベンチャーマップ作成イベント」を関内地区のベンチャー支援拠点「YOXO BOX」にて開催した。YOXO BOXでは、横浜のスタートアップや起業家の成長支援を目的とした主催イベントを週に1回、開催している。第1回目の本イベントでは、横浜市内で活動する株式会社スタジオルとジェネクスト株式会社の2社を迎えて、インタビュー形式で、横浜で起業した理由やメリットを語ってもらった。

 「横浜ベンチャーマップ作成イベント」は、横浜を拠点とするベンチャー企業のイノベーションマップの情報収集を目的とした企画だ。横浜には多くのスタートアップが集積していると言われるが、実は、どこにどのようなベンチャーがいるのかは可視化されていない。イベントでは、ベンチャーやスタートアップ企業にインタビューをしながら、支援者や支援拠点、ワーキングスペース、大手・中小企業と連携した新規事業、実証実験などの情報を収集し、2020年度中には、ウェブサイト「ヨコハマ・イノベーターズ・ハブ」上でわかりやすく展開していく予定だ。

 第1部では、有限責任監査法人トーマツ横浜事務所ベンチャー支援コンサルタントの村田茂雄氏とASCII STARTUPの鈴木亮久が登壇。横浜のベンチャーシーンや横浜らしいビジネスエコシステムをどのように築いていくかを議論した。

横浜の地域性、ビジネスの特徴とは

村田氏(以下、敬称略):横浜には多様な企業や人が集まっており、ある意味、地域の特徴はないようにも思えます。むしろ、横浜自体がブランド化されているので、特にテーマを絞らなくても、この場所で新しいものを何でも生み出せるのが地域性と言えるかもしれません。

有限責任監査法人トーマツ横浜事務所 ベンチャー支援コンサルタント 村田 茂雄氏

鈴木:横浜は歴史的に新しいことが始まった場所。新しいものを受け入れて、外に出していく、という風土は今もあるのでは、とすごく期待しているところ。横浜市は海外展開を含めてさまざまな支援体制が充実しているが、あまり認知されていない部分もあるので、情報発信していきたいですね。

村田:横浜に限らず、地方と東京の企業とでは人材の質に差はないのに、東京のほうがビジネスで成功しやすいのは情報格差によるものだと思っています。横浜は比較的ビジネスに有利な土地ではあるけれど、東京に及ばないのは、自分たちをベンチャーだと思っていないからではないでしょうか。すごくいい技術やアイデアを持っているのに、中小企業に留まってしまっているように感じます。

鈴木:ベンチャーであれば、これだけの市場規模があれば、自社の技術で取りに行ける、と考えるけれど、そういった発想はもっていないのでしょうか。

ASCII STARTUP 鈴木亮久

村田:横浜はもともと大企業の下請けからスタートした会社が多く、ある程度経営が安定しているので、世の中のビジネスの変化や自分たちの技術に気付き辛いのかもしれませんね。

鈴木:ASCII STARTUPでは多くのピッチイベントを取材して記事化していますが、『横浜ベンチャーピッチ』の記事は、特にアクセスが大きく伸びます。これはまさに横浜のベンチャーの企業価値の大きさを示しているのでは。にもかかわらず、VCの支援が少ないのも横浜のベンチャーの特徴なのかな、と思います。

「第12回横浜ベンチャーピッチ」の様子

村田:都内のピッチイベントには、同じ企業があちこちに登壇していますが、『横浜ベンチャーピッチ』は、都内のピッチイベントに出たことがない無名の企業ばかり。せっかく素晴らしい技術があるのにもったいないです。

横浜らしいベンチャー、スタートアップエコシステムの理想とは

村田:各地域のエコシステムは、閉鎖的な印象がありますが、横浜は開かれたエコシステムを目指してほしい。横浜はブランド力が圧倒的に強い。地元の人ももちろん巻き込みつつも、横浜でビジネスをしたい、横浜が好き、という県外・国外の企業も受け入れる、オープンなエコシステムになるとすごくいいですね。

鈴木:東京にエコシステムがあるわけではありませんし、福岡でエコシステムの構築が始まっているものの、まだ確固たるエコシステムは国内のどこにもありません。海外に目を向けると、たとえば、スペインのバルセロナでは、港町の倉庫を1棟ワーキングペースに改装して、数十社のイノベーターが入居し、1000人以上が働いているそうです。そこでは、大企業の足りていない部分をM&A前提で起業し、地域経済と結びついてビジネスが回っている。こうした形はエコシステムとして理想的ではないかと考えています。

村田:日本ではまだM&Aが少ないですが、徐々には増えてきているので、今後の主流になってくるでしょうね。

横浜で起業するメリット/デメリットとは?

 第2部は、ジェネクスト株式会社代表取締役 笠原 一氏と株式会社スタジオル 代表取締役 山地 瞭氏を交えて、横浜で起業した理由やメリット/デメリットについて率直なお話を伺った。

ジェネクスト株式会社代表取締役 笠原 一氏

 ジェネクストは、準天頂衛星「みちびき」を利用し、道路交通法違反を見える化するシステムを開発している。交通事故を削減するための最も効果的な解決方法は、道路交通法を遵守することだ。2018年の交通死亡事故件数は3099件。このすべてにおいて道路交通法違反が認められており、もし違反がなければ死亡事故は起こらなかった可能性が高い。

 同社の交通安全分析サービスでは、車両にGPS端末を装着して運行情報を収集し、走行記録から経営者や運行管理者がウェブ上で運行情報や道路交通法違反を確認できる仕組み。実際に導入した企業では、半年間で44%の交通事故を削減できたという。

株式会社スタジオル 代表取締役 山地 瞭氏

 スタジオルは、音楽スタジオに特化したウェブ予約サイト「スタジオル」を開発している。音楽スタジオのほとんどは電話による予約制のため、営業時間外は予約が取れず、いつ空いているかもわからないので、手あたり次第にスタジオに電話するしかない。「スタジオル」は、地域や日時などの条件を指定して空いているスタジオを検索し、ネットで予約できるサービスだ。

 サービス開始から2年で、ウェブ予約の累計成約数は5万件を突破している。スタジオ1店舗あたりの登録料金は月額4980円~(部屋数によって変動)で、導入店舗は平均で約20%売り上げがアップしているという。

――横浜で活動している理由は?

笠原氏(以下、敬称略):都内でオフィスを借りようとしたら、賃料が高くて。新横浜なら3分の1だったのが正直な理由です。

山地氏(以下、敬称略):共同創業者と僕が幼稚園からの幼馴染で、お互いの家から近い泉区にオフィスを借りました。

――横浜から出よう/横浜にいようと考えたことはありますか。

山地:出身は横浜なのですが、大学は北海道大学で札幌にいました。学生のときからベンチャー企業で働き、卒業後は東京の楽天で2年間働いて、いま横浜に戻って起業しています。3ヵ所でベンチャーをしているわけですが、札幌ではすぐに北海道新聞が取り上げてくれるなど、ライバルが少ないほうが目立てることを知りました。ただ、企業が少ないので、連携がしづらい。東京で起業することも考えたのですが、スタートアップの数が多すぎて、なかなか浮上できそうにない。横浜ならベンチャーが少なめで東京へのアクセスもいいので、起業にはベストだと考えています。

笠原:場所は関係ないと思っていますが、東京のほうがいいな、と感じることがたくさんあります。たとえば、Plug and Playのアクセラレーションプログラムに採択された会社は、海外企業が3分の2、日本企業が3分の1で、ほとんどは東京の会社でした。プログラムに参加していちばん良かったのは、ベンチャーと中小企業の違いを明確にしてもらえたことです。

――横浜から東京へ30分。都心のVCに横浜まで来てもらうには、30分は少し負担に感じられるかもしれません。そのあたりは、どうお考えですか。

山地:弊社の場合は、VCに来てもらうよりも、こちらから訪問することのほうが多いので、それほど気にしていません。電車での移動時間は本を読むなど、インプットの時間として使っています。相鉄線が都心まで1本でつながるようになったので、これからもっと便利になるのではないでしょうか。

笠原:東京までは新幹線で19分なのですが、所在地が横浜だとVCは遠いのでこちらに来てください、と言われることが多いです。VCなどに呼ばれて往復する時間のロスはありますが、それ以外で不都合を感じたことはないですね。

――デメリットを挙げるとすれば?

山地:しいてあげるなら、ネットワークをつくりにくいところでしょうか。東京ならちょっと夜に時間があれば経営者の集まりに参加できますが、横浜からだと腰が重くなることがあります。

笠原:東京は人が多く、アクセラレーターやインキュベーションがたくさんあり、専門家の方に会って相談できるが、横浜にはないメリットでした。これからは、YOXO BOXで専門家に相談でき、ベンチャー同士の交流もできるのでありがたいな、と思っています。

鈴木:東京は支援者もすごく多いけれど、0→1、1→10、10→100の支援がバラバラになっていて、0→1までの支援を受けて起業はできたが、次にどこに行けばいいのかわからない、という話をよく聞きます。ここでは、起業後もステージに応じた支援していけるようにしていきたいと考えております。

村田:常駐体制がある施設は全国でもほとんど例がありません。スタートアップの成長は、支援家側の能力による部分も大きい。我々もしっかりと情報を提供しサポートしていきたいですね。

鈴木:ネットワークを持っている方にはどんどん来ていただいて、困っていることを相談すると誰か紹介してもらえるような動きがどんどん生まれてくるとうれしいです。

【入場無料】第2回 横浜ベンチャーマップ作成イベント来場者募集中

 横浜市内で展開する、無料のベンチャー交流イベントの第2弾を開催。現在作成中の「横浜ベンチャーマップ」のベータ版を初公開するので、奮って参加してほしい。チケットページはコチラから!

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