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レッドブルとモンエナに追いつき追い越せ:

日本のエナドリに未来はないのか?

2019年12月31日 16時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

エナドリの未来は何色ですか!?

モンスターエナジーが強すぎた2019年

 日本のエナドリ界に、元気がありません。

 かつて、2013〜2014年頃は、国産エナドリが次々と発売されては、しのぎを削っていたものです。しかし、レッドブルとモンスターエナジーという強すぎる2大勢力の前に、シェアをなかなか伸ばせませんでした。

 国産メーカーを悪く言う気にはなれません。エナドリ文化が日本よりも強い欧米諸国ですら、レッドブルとモンスターエナジーの強さは圧倒的だと、海外出張のたびにエナドリをチェックするスピーディー末岡さんも証言しています。いかんせん相手が悪すぎた、というべきでしょう。

 この2大ブランドはさまざまな領域でスポンサー活動をしており、さまざまなところで名前を目にすることが多くなってきました。とくに、モンスターエナジーは2019年も攻めの姿勢を崩していません。

 たとえば、4月には「モンスターエナジー M3 缶160ml」が登場。「中味はそのままに」とのことで、瓶150mlのものから大きな成分の変更はないものの、「エナドリで気合を入れたいけれど、355mlは一気に飲みきれない」という人に新たな選択肢を与えました。

モンスターエナジー M3。瓶タイプはありましたが、缶タイプは初登場でした

 さらに7月には、待望の「モンスターエナジー ボトル缶500ml」が登場。たくさん飲みたい人でも大丈夫、エナドリの戦いも数だよ兄貴! とばかりに増量し、多くのエナドリ通を歓喜させたものです。

500mlのモンスターエナジー。常飲しているというマニアもいるそうです。割り材にも便利(たぶん)

 モンスターエナジーといえば、多数のフレーバーを展開していることでも知られています。日本でも、ハワイをイメージしたフレーバーであるモンスターエナジー「パイプラインパンチ」が4月に登場。

 パッションフルーツ、オレンジ、グァバなどの味わいにエナジードリンク的な要素をプラス。味も香りもフルーティーという突き抜けた個性で、「エナドリ界にモンスターエナジーあり」をアピールしました。

世界中に数あるモンスターエナジーのフレーバーから、「パイプラインパンチ」が上陸

 ライバルのレッドブルにはあまりない多数のフレーバー展開こそ、モンエナの真骨頂なのは、海外の製品も堪能しているエナドリ愛好家ならよく知るところ。2020年以降も、さまざまな種類を堪能したいので、ぜひ国内でもたくさん出してください。

マツキヨとトップバリュはコスパで攻める方針

 国産メーカーもだまっていたわけではありません。レッドブルとモンスターエナジーに立ち向かうにあたり、大事なのは味なのか? コンセプトなのか? いや、わかりやすい数字ではないか、成分で上回ればいけるのではないか……そんなエナドリが、頭角を現しつつあります。

 筆頭に挙げられるのがマツモトキヨシホールディングスのプライベートブランド「matsukiyo」で発売されている「EXSTRONG ENERGY DRINK」。100mlあたり「カフェイン65mg」「アルギニン200mg」という配合量が特徴です。ちなみに、レッドブルは、カフェイン32mg、アルギニンが120mg。

 特に好事家たちの度肝を抜いたのが、2月に発売された「EXSTRONG CAFOON ENERGY DRINK(エクストロング キャフーン エナジードリンク)」です。

見た目のインパクトがおもしろすぎる「EXSTRONG CAFOON ENERGY DRINK」

 とにかく味がすごい。「甜茶エキス」「発酵黒じゃばらエキス」を配合したおかげで、甜茶の独特な後味と、黒じゃばらの柑橘系の苦味が合わさり、「フリスク」を溶かして飲んでいるような強烈なテイスト。さらに、色はスカイブルーに仕上げており、外見もインパクトに一役買っているといえるでしょう。

 マツキヨのエナドリは逆にわかりやすく、どうせケミカルなものが支持されるのであれば、思い切りそちらのイメージに振ってみようということですね。これはこれで、戦略としてはありだと思います。

 さらに、まったく同じ配合量のエナドリが登場しました。天下のイオングループから、「トップバリュ エナジーハンター」です。100mlあたりカフェイン65mg、アルギニン200mgと、マツキヨのEXSTRONG ENERGY DRINKと同じなのですね。

コスパにすぐれたエナドリという新ジャンルを切り拓いた「トップバリュ エナジーハンター」

 しかし、トップバリュ エナジーハンターは300mlで149円とお値打ち。清涼飲料水よりもややお高めに設定されていることが多いエナドリにあって、リーズナブルな価格が特徴。30本入りのケースでも4374円。「ディスカウント感のあるエナドリ」というのも、新ジャンルといえるかもしれません。

 ほかよりも安く、数字で差をつける。価格と成分量で存在感をアピールするのは、海外企業に押される日本企業の突破口なのかもしれません。追随するメーカーが出てくるのか、ちょっと注目したいジャンルです。

 外食産業の話ですが、「死の谷」という現象があります。業界における最大規模のチェーンと、小さいけれども特色のあるチェーンは生き残りやすい。しかし、中途半端な規模のチェーン店は、赤字に転落してしまう(谷)、という構造です。

 最大規模のレッドブルとモンスターエナジーに対抗して、小さいけれども特色のあるマツキヨとトップバリュのエナドリは、ある意味正しい進化といえましょうか。2020年も、どのように存在感を発揮するのかが注目されます。

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