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プロを目指す学生に最適なMSIのノートPC「GP65 Leopard」

2019年11月01日 11時00分更新

文● 石川ひさよし 編集●北村/ASCII
提供: エムエスアイコンピュータージャパン

クリエイター向けソフトで検証
レンダリング速度はCPU処理のほうが速い

 ノートPCとしてのパフォーマンスを把握できたところで、ここからは一歩デザイン分野に特化して、そのパフォーマンスを確認していこう。

 まずは代表的な3D CGI制作ソフトのBlender。オープンソースということもあり、学生からプロフェッショナルまで幅広いユーザーがいる。ここではそのBlender公式ブログにエントリーのある「Cycles Benchmark」の中から、“BMW27”および“Pavilion_Barcelona”を用い、1コマの静止画状態でのレンダリング速度を計測した。

Blender v2.80 Cycles Benchmark レンダリング時間(←fast)

 CPUのCore i7-9750Hはハイエンドの位置づけ、GPUのGeForce GTX 1660 Tiはメインストリームの位置づけで、この位置づけどおりレンダリング速度はCPU処理のほうが速く、GPU処理はもう少々時間を要している。

 ただ、ともに最新世代のものであるため、過去のモデルで計測したCycles Benchmarkの結果よりも処理時間を短縮できている。

 CPUのアーキテクチャーは足踏み状態と言われるが、同一アーキテクチャーでもメニーコア化やマルチコア時の高クロック化などで世代ごと性能を引き上げており、最新のものほど処理時間が短くなる。

 GPUについてはアーキテクチャーの進化も早いが、場合によっては得手不得手がガラッと変わる。ただ、同じセグメントのGPUであれば最新世代のものほど処理時間が短いことに間違いはなく、アーキテクチャーの特性に処理が合致すると大幅に時間を短縮できるようだ。

 もう1つ、「V-Ray Benchmark」。V-Rayは3DCGのレンダラーで、さまざまな3D CG制作ソフト上で利用できる。そのベンチマークソフトだ。

 CPUで演算するV-RAYスコアは8,634キロサンプル、GPUで演算するV-RAY GPUスコアは139メガパスとなった。基本的にはハードウェアスペックどおりのスコアで、V-RAY GPUスコアに関して言えばより高性能なGPUほど高いスコアになるため、メインストリームの本製品の場合それには及ばない。

V-Ray Benchmarkのスコア

 最後にストレージをCrystalDiskMark 6.0.2で計測した。CドライブはNVMeだが接続をPCI Express 3.0 x2に絞ったコストパフォーマンスモデルを採用していることもあり、帯域制限の範囲でシーケンシャルリード1583MB/秒、同ライト719.9MB/秒といったNVMe SSDとしてはほどほどの速度にとどまっている。

 3GB/秒以上を出すNVMe SSDもあるなかで見ればほどほどでも、SSDとしてランダムアクセスに強いメリットはあり、OS上からさまざまなファイル、さまざまなアプリケーションを起動するレスポンスは十分に速さを感じた。

CドライブはSSDのためシーケンシャルリードは1500MB/秒超。NVMe SSDとしてはやや遅いが、SSDとしてランダムアクセスが速く、HDDと比較した快適さは体感できる

 一方DドライブはHDDのため、SSDと比べれば見劣りするが、ノートPC向けの2.5インチSATA接続モデルとしては比較的速いと言えるかもしれない。シーケンシャルリードは182.6MB/秒出ているし、同ライトも175.9MB/秒出ている。

 ランダムアクセス性能も、4KiB Q1T1が0.682MB/秒だったが、ほかは1MB/秒以上を記録している。どちらかと言えば容量のほうが重要なので、ここはそのなかで比較的速いHDDを選択している点で評価できるだろう。

7200rpmモデルであるため2.5インチHDDとしては高速

性能を最大限引き出す最新冷却技術
Cooler Boost 5

 今の時代は、CPUもGPUも内部の温度センサー情報から冷却の状態を把握し、自動で動作クロックを調節する。パフォーマンスを重視する本製品の場合はここが重要だ。十分な冷却を行なうことで高クロック状態をより長く維持でき、そこでパフォーマンスが発揮されるからだ。

ノートPCなりにCPUもGPUも90度超に達する時もあるが危険域までは上昇せず、クロックもCPU側はともかくGPU側を見ると高いクロックが維持されていることがわかる

 MSIのゲーミングノートPCでは、「Cooler Boost」と呼ぶ冷却システムを採用している。ファンを本体左右に置き、CPUやGPUからはヒートパイプを通じてファン周辺のヒートシンクに熱を輸送する。このCooler Boostも世代を重ねて第5世代となった。ヒートパイプの本数やレイアウトの最適化が進み、現在の形になっている。

いちばん厚みのある後部の左右に大きな開口部を設けて排気する

底面は複雑なデザインとともに大面積のメッシュの吸気口を設けている

先の写真に「FACTORY SEAL」とあったように本来、底面カバーをユーザーが開けると保証が切れてしまうので注意。今回は評価のため開いた状態をお見せする

平たいが幅のあるヒートパイプが合計7本、CPUとGPUから左右のファン&ヒートシンクに熱を輸送するCooler Boost 5

 ゲーミングPCでは、TDP 45W級のCPUを搭載するのが一般的。本製品に搭載されるCore i7-9750HもTDPは45Wだ。しかし、比較的TDPの低いGPUを採用していることもあり、冷却には多少余裕がある。

 余裕があるぶん、先のとおり高クロック状態が維持されパフォーマンスが発揮されるほか、さらなる余裕は冷却時のファンの回転数を抑える方向にもはたらく。つまり、ゲーミングノートPCとしては比較的しずかな動作を実現している。

ファン、というよりもパフォーマンス調整はユーティリティー「Dragon Center」から行なう。シーンに合わせてプロファイルを変更すれば、性能とファンの回転設定が切り換わる

 もちろん、よりTDPの低いCPUやディスクリートGPUを搭載しないモデルと比べれば大きな動作音だ。しかし、ゲーミングノートPCにありがちな、ゲーム中は常にファンが最大回転、ヘッドホンを装着しなければとてもゲームにならないといった不快さはない。

 デザイン系用途でも同様で、CPUやGPUに処理をさせている間はたしかにファンの回転数が上がり大きな音を出すが、耳をふさぎたくなるほどの大音響ではない。

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