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同人STGの最高峰とも言われる理由

Steamおすすめゲーム「Hellsinker.」複雑なシステムに戦略で攻略する名作STG

2019年10月18日 18時00分更新

 シューティングゲーム(STG)と呼ばれるジャンルは80年代から数多くの傑作を排出してきたジャンルでもある。昨今でもゲームセンターではひっそりと新作が稼働していたり、Steamで販売されることで基盤のプレミア化から遊びづらい怒首領蜂シリーズのような名作と言われる作品へのアクセスも容易になったことで数多くのSTGに触れられるようになったのはいいことだろう。ジャンル的にもステージをクリアし、ステージ毎のボスを撃破してと基本から分かりやすいのも魅力とも言える。

 だが、数多くのSTGに影響を与えたと言われ、原盤があまりに手に入りづらいために知る人ぞ知るとか幻の作品などと枕詞がついてしまったゲームが存在する。

 第103回目は存在が幻とまでいわれた同人STGの教科書的作品「Hellsinker.」を紹介する。

 本作品は日本語字幕に対応している。詳しい操作は後述するが、キーボードでの操作は難しいと製作者からもマニュアル内にてコメントがあるためコントローラーでのプレイを推奨する。

複雑なシステムを乗りこなせ!

 栄華の内にあった文明を支え、その深部に根を張っていた基幹システムは崩壊し、世界は分断された。過去に惹かれ縛られたもの達と、過去を終わらせるもの達の終わることのない闘争。そしてまた一つ、彼らの因縁と結ばれた遺物が、地上に姿を現したーーというのが簡単なストーリーとなっている。

 GRAVEYARDとよばれる組織の一員として4人(一人は条件解禁)の自機から選んでゲームを進めていくことになる。ゲームの開始時はチュートリアルから始まるのだが、システムを理解しなければチュートリアルをクリアするのにも一苦労するだろう。

 とはいえ、何もせずボサっと動かずにいれば弾に当たってゲームオーバーとなるだけだ。十字キーで移動、Aボタンを押すことでメインショットを打つことが出来、押しっぱなしでボタンを離せばチャージショットが可能だ。メインキャラクターでもある"DEADLINER”のチャージショットの近接攻撃は非常に強力で、あたりさえすれば正面をほぼ完全に無力化できる。また、Bボタンを押すことでミステルトゥと呼ばれるサブウェポンを使用することも可能だが、こちらは使いどころが難しいので要練習といえる。

 覚えるべきシステムは多いが、実際に理解して実践するのは難しくはない。用語で見れば確かに解りづらいのだが、的(本作品では敵オブジェクトをそのように称する)に対して無力化できる方法は時機を近づけることで"SEAL”状態にする。サプレッションレディアスとよばれる状態になれば的の球を無力化し的弾を消すことができる。といったことを理解すれば無力化の手段も非常にわかりやすい。

 また、Yボタンを押せばSOLと引き換えに"ディスチャージ”とよばれる強力な一撃を放つことが可能だ。的弾を消すだけでなく、画面ほぼ全体の的すらも消滅させることが可能だ。SOLが3以上ある状態なら何時でも発動可能なため、ピンチの際は迷わず発射しよう。

 このように的を無力化する方法もディスチャージやSEALといった手段があるため、的の配置や出現位置を把握し、戦略的に攻略を行えばゲームもクリアまで進めることは実は難しくないが、敵弾を華麗に避けつつ敵を撃破して道中を切り開くというSTGのゲーム性から真っ正面に向き合えば本作品は文字通り高難易度のSTGとなる。

 システムをある程度理解すれば本作品の没入度は目に見えて深くなる。タイトル画面で左右キーを押すことでキャラクター変更が可能となっており、自身に合ったキャラクターを見つけられれば更に戦略の組み立ての幅やスコアを狙うという上級者への道も見えてくるだろう。

キャラクターは左から前述の「DEAD LINER」、初心者向けの「MINOGAME」、操作こそ複雑だが12方向全てに対処できる「FOSSIL MAIDEN」に分かれている。

 MINOGAMEはBボタンのサブウェポンとメインショットを同時に押すことで一定時間無敵となる空間を前方に作り出せる。空間内では的弾に当たってもミスにならず、終了間際でディスチャージを組み合わせることで最大8秒近い無敵状態を作り出せる。反面メインショットが非常に脆弱だが、上記の無敵が非常に強力なため初心者向けといえる。

奇をてらっているように見えて基本はちゃんと押さえられている

 本作品はSTGとは思えないほど世界観の確立に力が入っており、キャラクターの残機が失われても復活する理由までシステムの全てにおいて理由が設けられている。本編中にもストーリーが挟み込まれるが、ゲームオーバー後に保存できるリプレイの鑑賞時に楽しめる要素もあったりと本作品が一般的なSTGと一線を画している部分は多い。

オプションで設定すれば通常プレイでも字幕は表示可能だが、流石にゲームはプレイしづらい。

 また"STELLA”と呼ばれる難易度管理もあり、被弾しなかったり的を的確に撃破している状態を保っているとランクが上がって熾烈な様相を呈してくる。ランク自体はショットを撃たなかったり、ミスを重ねれば下げることは可能だが反面スコア係数が下がるといったデメリットもある。

もはやこれはHellsinker.という一つの物語でもある

 正直なことをいえば筆者は本作品を名前だけは知っていたが、内容に関しては全くの無知であった。フレンドから名前は聞いており、実盤に触れる機会も今までゼロだったわけではない。今回パブリッシャーでもあるHenteko doujin様から直接レビューの機会をいただいたこともありご紹介させていただいた。

 巨大なBOSS戦闘、理解を超えた先に待つ驚愕な展開。本作品が同人STGの最高峰とも言われる理由をこれでもかと味合わせていただいた。確かにシステムは覚えるまでは複雑ではあるし、弾幕を如何に回避して打ち込むかと錯覚しがちな本作品ではあるが"戦略性”に気づいたときに最初の没入感に浸り、とあることに気づいたときには思わずサウンドトラックのDLCを迷わず購入してしまった。

 基本を抑えているからこそ体感できるその仕様は受け手の気付きが軸になっている。流れるようにゲームの世界に没入させていく設計はHellsinker.という一つの物語をSTGで表現したと言っても正直チープに聞こえてしまうかもしれない。それほどまでに受け手に気付きを促し、たどり着いた果てに見た物に驚愕するのである。

 重ねて記述するが、これは基本をしっかりと抑えているからこそできるハイレベルな表現技法なのだ。ただ奇をてらっただけであれば「高難易度のなんだかタクティクルなことができるSTGだな。」で終わってしまう所を「Hellsinker.という一つの物語」まで昇華仕切っているのである。これは開発者でもあるTONNOR氏の狂気的なこだわりが故の最大評価ともいえる。  だからこそ幻とまで言われた本作品に触れる機会ができた今、本作品に興味を持って手に取ろうとするあなたにこの言葉を贈りたい。

  Keep your Dignity.

補足
 本作品はどうしても解説が必要な部分が多くなっている。文字数の関係上かなりの要素を省かせていただいているが起動時には流石に混乱を招くため、起動時のみ最終的に補足という形で説明を設けさせていただきたい。

 また、今回の記事にあたり、ゲームキーをご提供いただいた「Henteko doujin」様にお礼を申し上げます。

「Hellsinker.」の推奨動作環境は?

 最低動作環境が内蔵マニュアルではCPUとメモリーが2GB以上という記載くらいしかないが、ストアページでもCore i3以上でメモリー4GBという表記になっている。昨今のWindowsが安定して動くPC環境であれば問題は無いだろう。

 また、画面上に色々な要素が混在するためスクリーンショットをとれないデメリットはあるがプレイを阻害されないためにSteamオーバーレイを無効にすることを筆者的に強くオススメしたい。

「Hellsinker.」
●Ruminant’s Whimper
●980円(2019年7月20日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows
ジャンル 独立系開発会社、アクション、シューティング、2D、良質サントラ

■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat

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