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GeForce RTX 2080 Ti FEとTITAN Vと徹底比較

TITAN RTX検証、32万円超のグラボは本当に最強にして最速なの?

2019年01月17日 17時40分更新

ヘビーな状況下ほど強みを見せるTITAN RTX

 では定番の「3DMark」から始めよう。テストはこれまでFire Strikeより上の4テストを使用してきたが、今回は業界初のDXR対応テストである「Port Royal」もテストに加えてみた。RTコア非搭載にもかかわらずDXRに対応しているTITAN VでもPort Royalは実行可能だが、CUDAコアのみを使った時のパフォーマンスがどの程度か知る良いチャンスと言えるだろう。

「3DMark」のスコアー。

 確かにTITAN RTXはRTX 2080 Ti FEを上回ってきたが、スコアーの伸びは4~9%とそれほど大きくない。実売価格はRTX 2080 Tiの倍近いのに……と思うかもしれないが、CUDAコア数の増加率はRTX 2080 Tiの5%程度なので、この結果は特に驚くに値しない。

 だがそれよりも重要なのは、TITAN VのPort Royalにおけるパフォーマンスの低下である。Port Royalのレイトレーシング処理をCUDAコアだけで実行すると、CUDAコア数では現状トップに君臨するTITAN Vでもここまでのパフォーマンスダウンを強いられる。Pascal世代のGPUで仮にDXR対応したとしてもレイトレーシング性能は推して知るべし、といったところだろう。

 ではここでラトックシステムのBluetoothワットチェッカー「REX-BTWATTCH1」を利用し、システム全体の消費電力もチェックしておこう。従来のテストと同様、システム起動10分後の安定値をアイドル時とする。

 高負荷時は3DMarkの「Time Spyデモ」実行中、「Port Royal」実行中、そして「Shadow of the Tomb Raider」(DX12モード、フルHD&“最高”設定)をプレイ状態で放置した時のピーク値をそれぞれ比較する。Port Royal中の値はCPUの負荷が最小限に抑えられているので、DXR対応GPUの消費電力を比較するには非常に良いテストとなっている。

 さらにやや乱暴ではあるが、各GPUにおけるTime Spy及びPort Royalのスコアーを各テストにおける高負荷時消費電力で除し、1Wあたりのスコアーをざっくりとしたワットパフォーマンスとして計算してみた。

システム全体の消費電力。

1WあたりのTime Spy及びPort Royalのスコアー。

 確かにCUDAコアが増えブーストクロックが引き上げられたぶん、TITAN RTXの消費電力も増えたが、ワットパフォーマンスはほぼ横ばい。つまり、順当な結果と言えるだろう。一方で、TITAN VのPort Royalのワットパフォーマンスが非常に悪いのは、前述の通りCUDAコアのみでレイトレーシングの処理を行なっているためだ。

 続いて「VRMark」も試してみよう。Orange/Cyan/Blue Roomの3種類のテストを実行するが、今回はそのテスト中の平均フレームレートもチェックしてみる。

「VRMark」のスコアー。

「VRMark」の平均フレームレート。

 負荷が非常に低いOrange RoomではどのGPUも平均250fpsあたりで飽和するため、スコアーが横ばいになり、Turing世代で強化されたCUDAコアのおかげでCyan Roomが突出して高くなるのはこの世代のGPU共通の挙動だ。ここでも負荷が高くなるほどTITAN RTXとRTX 2080 Tiの差は広がる傾向にある。

 特に注目したいのは次世代のVR環境を想定したBlue Roomの平均フレームレートだが、ついにTITAN RTXは平均105fpsに到達した。Blue Roomのターゲットfps(ここまで出れば実用だろうという想定値)は110fpsであることを考えると、TITAN RTXはBlue Room相当のVRコンテンツにもほぼ対抗できるパフォーマンスであることを示している。

 当然、次世代GeForce(ネット上でRTX 30シリーズなどと噂されているもの)はTITAN RTXを超えてくれば、ついにBlue Roomのターゲットfpsを余裕で超えるGPUが出てくるということだろうか。

PUBGは4K最高画質でも平均60fps超え

 それでは実ゲーム中心の検証に入ろう。まずはDirectX11ベースの代表的タイトルとしてPUBGこと「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」でテストする。画質は“ウルトラ”とし、新マップ“Vikendi”におけるリプレイデータを再生した時のフレームレートを「OCAT」で測定した。

 そして、今回テストするのは超ハイエンドGPUであるため、解像度設定は従来のフルHD、WQHD、4Kの3種類に加え8K環境でもテストした。ただし、8K液晶が手元にないため、NVIDIAコントロールパネルで設定できるDSRを利用した擬似的な8K環境であることをおことわりしておく。本来ならRTX 2080 TiのSLIが推奨される設定だが、余興のひとつとして楽しんでいただければ幸いだ。

 また、8Kでレンダリングした映像を4Kにスケールダウンするために若干パワーが使われるので、実際の8K環境より若干低めの結果になる点を念頭に置いて読み進めていただきたい。

4K液晶を接続した後、NVIDIAコントロールパネルにあるDSRの設定で「x4」を選ぶと、ゲーム側の解像度設定で8K(7680×4320ドット)が選択できるようになる。

「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」1920×1080ドット時のフレームレート。

「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」2560×1440ドット時のフレームレート。

「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」3840×2160ドット時のフレームレート。

「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」7680×4320ドット(DSR)時のフレームレート。

 フルHD時はTITAN RTXよりRTX 2080 Tiのほうが微妙に上回るが、WQHDより上になると確実にTITAN RTXのほうが上回る。結果に変動が出やすいテストだが、フルHDでは負荷が低すぎてRTX 2080 Ti FEに負けることもある、と今のところは理解しておこう。

 RTX 2080 Ti FEとの性能差は(フルHDを除き)8%増と、3DMarkよりも全体的に伸びている。特にRTX 2080 Tiは4Kでギリギリ平均60fpsに届くか届かないかのレベルだったが、今回TITAN RTXはDLSSの力を借りなくても平均60fpsをしっかりと超えてきた点は大いに評価したいところだ。

 また、8K(DSR)時のVRAM消費量はGPU-Z読みで12GB強。RTX 2080 Tiにとっては少し不足している状況となる。RTX 2080 Ti FEの最低fpsの落ち込みが大きい割に、VRAM 12GB搭載のTITAN Vの落ち込みが緩やかなのはこれが原因と考えられる。

TITAN RTX環境でPUBGを8K(DSR)でプレイしている時のVRAM消費量を「GPU-Z」で拾った。「Memory Used」の数値は、グラフバーの中央付近の値を示している(以下同様)。

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