週刊アスキー

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映写技師不足に悩む業界、劇場は「携わる人の顔」を前面に出しては?

夏こそ映画、では“いい映画館”選びの「条件」は?

スクリーン番号による特色など、もっと情報の発信があってもいいのでは

―― シネコンには複数のスクリーンがありますが、音に違いはありますか?

岩浪 こればかりは、実際に映画を見てみないと分からないですね。

月夜野 ケースバイケースです。とはいえ、「スクリーンを指定して観たい」という気持ちはよく分かります。映画館のウェブ予約ページで「作品から選ぶ・日時から選ぶ」という選択肢があるように、「スクリーン番号から選ぶ」というものがあってもいいのでは、と思っています。例えば12番を選んだらその日の12番の上映作品が出てきて、そのなかから作品を選べるというシステムがあると、映画館マニアにはたまらないと思いますね。

―― まさに映画“館”マニアのためのシステムですね(笑)

岩浪 そこまでやるかどうかはともかくとして、少なくとも映画館の設備についてはもう少し細かい情報があってもいいのでは、と思っています。現在は、座席数とスクリーンサイズの紹介がメインだと思いますが、シネマコンプレックスであれば1館に10スクリーンほどあって、それぞれに個性があるはずです。 “スクリーンは小さいけどセリフが良いのでラブストーリーにオススメです”など、特徴をわかりやすく伝え、セールスポイントにしてもらってもいいのではないでしょうか。

―― 良い悪いというよりも、特徴を伝えて見る側が判断するカタチですね?

岩浪 これまではカタログスペック並べて「スゴい、音響システム導入しました!」というアピールが多かったのですが、もっと具体的に、もっとわかりやすくそのスクリーンの特徴を伝えてくれると嬉しいですね。

おふたりのオススメ、最高な映画館

―― さて、ここまでいい映画館の条件や見分け方を教えていただきましたが、実際にお2人がいい映画館と思う場所をズバリ、教えてください!

月夜野 海外にはなってしまうのですが、インドネシアのジャカルタにあるシネコンチェーン「シネマ21」の、エピセントラムという映画館は素晴らしいと思いました。2スクリーンしかない、中堅からハイクラスの客層をターゲットにしている劇場ですが、スピーカーはヴィヴオーディオのラインアレイとメイア―サウンドのシネマラインが導入されています。両方ともドルビーアトモス対応です。さらにレーザープロジェクターが導入されているスクリーンもあり、素晴らしい機材が投入されています。環境作りもまた素晴らしく、調整も完璧で、とんでもなく良かったですね。ここは、また行きたいと思っています。

―― 国内の映画館では、どちらかオススメはありますか?

月夜野 「なんばパークスシネマ」はオススメしたい映画館です。7番が一番大きなスクリーンですが、ここはどのスクリーンも良くて、7番しか行かないのはもったいないと思います。

―― 「なんばパークスシネマ」がいい映画館であるポイントはどこですか?

月夜野 まず出てくる音が全然違います。思わず笑ってしまうような良質なサウンドが作り上げられていて、セリフなどがぐっと前に出てくるのですよ。音の密度も違いますし、映写もほぼ完璧に近くてとても綺麗です。

岩浪 まだ新しい映画館ですよね?

月夜野 開業は2007年です。でももう10年くらいは経っています。

岩浪 保守管理がしっかりとしているのですね。

月夜野 そうですね、今回「スター・ウォーズ」を観に行きましたが、素晴らしかったです。

―― 音も良く映像も美しかった、ということですか?

月夜野 はい、まるで大きな試写室で見ているかのような、贅沢な気分になりました。ジョージ・ルーカス監督がここで見ても満足するのではないかな、と思えるレベルでした。

岩浪 実は僕も月夜野さんのTwitterで知って、大阪に行ったときに見てみたのですが、確かに素晴らしかったです。7番と一番小さなスクリーンの2ヵ所で映画を見たのですけど、どちらも良かった。特に、空間作りが上手だと思いました。

月夜野 確かに。スピーカーは映画館では一般的といえるJBLなのですが、音の響きというか、音の貫禄が違う印象を持ちました。よく見てみると、日本音響エンジニアリング株式会社が開発したチューブ型の吸音材などを入れてはありましたが、それだけではない、トータルの音響調整が素晴らしいのだと思います。いっぱい秘密やノウハウがありそうな映画館です。

――それは気になりますね。いつか見に行ってみたいです!

面白ことがある、そんな期待感こそが、劇場に必要なもの

――これまでの話をまとめますと、映画館には「ハード」と「ソフト」の2つの面でお客様がチェックすべきポイントがあり、いい映画館を選ぶための判断材料にしていただきたい。ということですかね?

月夜野 映画館の個性が試されている時代に入ってきたので、「あそこの映画館に行ったら何か楽しいことがあるぞ」という劇場を探し出していただけると嬉しいです。そういった楽しみを見つけてもらい、大いに楽しんでいただけたらと思います。

――映画館に行くのが楽しくなるというのは素敵ですね。

月夜野 はい。

岩浪 僕も特別上映という形で、劇場の設備を活かしたいろいろな音響をやらせてもらっています。それらの作品をきっかけに「映画館に行くのが楽しくなって、趣味になりました!」といって下さる方が沢山いて、とても嬉しかったです。少しでも、映画観に行くのが楽しいと思っていただければと思います。

月夜野 最終的には何を基準にするかは好みだと思いますから、ぜひ自分好みの音の映画館を見つけ出して下さい。その人が楽しければ、それがベストな映画館なのですから。

川村彩花 プロフィール

2012年より芸能活動を開始。2013年から2016年まで東洋水産「マルちゃん 赤いきつねと緑のたぬき」のCMに出演。このCMから誕生したアイドルグループ『赤マルダッシュ☆』の黒い豚カレー担当として活動していたが、2017年4月にグループを卒業。アイドルや宝塚、ミュージカルやゲームが大好き現役女子大生で、現在はタレント活動を続けつつ、同時に野村ケンジ師匠の下でライター見習いとして修行中。

野村ケンジ プロフィール

ポータブルオーディオやホームオーディオなどのAV機器をメインに、専門誌やモノ誌、WEB媒体などで幅広く活躍。そのなかでもヘッドホン&イヤホンに関しては、年間300モデル以上の製品を毎年試聴し続けているなど深い知識を持つ。また、近年はTBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」のアドバイザーとしてレギュラー出演するなど、活動の幅をさらに広めている。

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