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DeToNatorのガチ自作派プロゲーマーに訊く、自作PCの魅力とは?

2018年04月20日 17時00分更新

DeToNator代表の江尻勝氏(左)、DeToNator Overwatch部門のsiorin氏(中央)、ASCII編集部 ジサトラショータ(右)

 eスポーツ世界大会や海外リーグでの活躍、ゲーム配信を行なうストリーマー部門の人気ぶりなど、eスポーツシーンで大きな存在感を発揮し続けているプロゲーミングチーム「DeToNator」(デトネーター)。

 今年に入ってからは、ASUS JAPAN株式会社とのスポンサー契約を締結したことでも話題になったが、そんなDeToNatorのメンバーに、バリバリの自作PCユーザーとしての顔を持つ選手が在籍しているのをご存じだろうか。現在はDeToNator Overwatch部門に所属し、FPSタイトルでの世界大会出場経験もあるsiorin(シオリン)氏だ。

siorin氏。ゲーマーとしても凄いが、自作PC歴約10年のベテラン自作erでもある

 コンシューマー機のゲーム文化が強い国内では、“PCゲームはPCに詳しい人がやるもの”というイメージを持っている人もまだまだいるかと思うが、筆者が知る限り、PCに詳しいプロゲーマー、まして自作PCを組み立てているような人はそれほど多くない。この記事では、siorin氏、自作PC経験者でもあるDeToNator代表の江尻勝氏をお呼びし、自作PCを始めたきっかけや、自作PCの魅力についてお話をうかがった。

ゲーミングシーンでは意外と珍しい? ガチ自作PC派プロゲーマーsiorin

 

――本日はよろしくお願いします。さっそくですが、siorinさんが自作PCをはじめたきっかけについて教えていただけますでしょうか。

siorin はじめてパソコンを購入したのが10年ぐらい前なんですが、その時は普通にお店に買いに行ったわけではなくて、詳しい知り合いを通して、オークションサイトで完成品の自作PCを代わりに購入してもらったんです。「家電量販店で買うよりも安くて性能がいいものが手に入るよ」と教えてもらったので、じゃあお願いしますと。当然オークションで購入したものなのでサポートは受けられないんですが、細かいトラブルは自分で解決しつつ、しばらくは快適に使えていました。でもあるとき、いきなりパソコンから焦げ臭いにおいがしてきて(笑)。

――あー……。(笑)

siorin そのまま電源が落ちて、起動しなくなっちゃったんですね。「これはもしかしてパーツが壊れたんじゃないか」と思って、すぐネットカフェに行ってパソコンで原因を調べて。結局、「電源ユニットが壊れたんじゃないか」と予想を立てて、自分で電源ユニットだけを買いに行ったんです。そこからPCの内部にアクセスして、配線をメモして、繋ぎ直したらちゃんと起動したんですよ。それで「もしかして自分でも自作PC作れるんじゃないか」っていう考えが出てきて。数年後にスペックが時代に追いつかなくなったときに、イチから作ってみよう、ということで、自分で好きなパーツを買って、ネットの動画などでやり方を学んで、はじめて自分の自作PCを完成させました。

各パーツに電力を供給する電源ユニット。耐久性だけでなく、省電力化にも影響があるため、製品選びは重要だ

――オークションで買った自作PCとはいえ、いざ壊れたら丸ごと買い替えてしまう人も多いと思うのですが、そこでしっかり学んで解決してしまうのは凄いですね。ちなみに最初のPCを購入したときは、やはり“PCゲームをプレイしたい”というモチベーションがあったのでしょうか?

siorin いえ、特にゲームをしようと思っていたわけではなかったんです。でも、買ったPCはゲーミングPCでした。PCゲームを始めたのは、パソコンを買って半年ぐらい経ってからネットサーフィンをしているときに、広告でオンラインゲームの情報を見たのがきっかけですね。そのときに「あ、パソコンでもゲームできるんだ」と気付いたんです。

――ゲーミングPCを買ってから半年してオンラインゲームを始めるって、珍しい入り方かもしれませんね。

siorin そうですね。けっこう特殊だと思います(笑)。

――ちなみに以前、江尻さんとイベントで対談させていただいたときに聞いた話ですが、江尻さんも自作PC経験者なんですよね?

「自作PCはものづくりが好きな人にはたまらない」と江尻勝氏。

江尻 そうなんです。いちばん最初にゲーミングPCを買う前に、友人と一緒にパーツを買いに行って、教えてもらいながら、パーツで指を切りまくりながらPCを組んだのがスタートで(笑)。僕が組んでいた当時は、とにかく自分で組んだ方が安くなるということで、コスパを重視していた印象がありますね。もともと小学校の頃からラジコン組み立てたりとか、ものを作ったり何かを組み立てるのとかはすごく好きなので、抵抗はあまりなかったです。それ以降は、ちょうどゲーム向けのBTOなんかが盛り上がってきていた時期だったので、BTO PCに移行してしまったんですが。

――ちなみにお2人とも、周りのプロゲーマーの方で自作PCを組まれているって人はいらっしゃいますか? 実はかなり珍しいのではないかと思っているのですが。

siorin ネットのゲーマー友達だと何人かはいるのですが、プロの知り合いの中では聞いたことがないですね。

江尻 僕もあまり見たことがないです。僕自身、siorinがPCに詳しいことを知ったのがほんの1年くらい前で(笑)。(DeToNatorに)入ってもらってから、チームのメンバーと会話しているなかで、どうも「siorinがPCに詳しいらしい」という話になって。実際聞いてみたら、「10年前くらいから自作やってます」って言われて、「早く言えよ!」って(笑)。そんな感じなので、少なくとも当たり前の存在ではないです。

 この前も、韓国で活動しているDeToNator PUBG KR部門のメンバーが来日していたんですが、そのあいだはPCトラブルを全部siorinに解決してもらっていて(笑)。PCのグラフィックスカードやメモリーを換えなきゃいけないとか、トラブルが起きると電話があって対応して、みたいな(笑)。DeToNatorのPCサポートセンターと言ってもいいぐらい活躍してくれているので、彼の存在は凄く大きいです。

――プロゲーマーにとってPCはパフォーマンスに直結する、いわば商売道具なので、「道具のことはその道のプロに任せます」という考え方は、ある意味で自然なことなのかなと個人的には考えていました。昔は安価に抑えられるメリットを目的に自作をする人も多かったかもしれませんが、最近の自作PCは1つの趣味としての側面がものすごく強いので、siorinさんがガチガチの自作PCユーザーだとうかがったときは意外に思ったのを覚えています。とはいえ、チームに一人でもハードウェアに詳しい方がいるのは心強そうです。

siorin トラブル対応は大変ですけど、自分の好きなパーツを選んでいける楽しさとか、ひとつのパソコンを組み立てていく楽しさ、起動できたときの楽しさ、ベンチマークを回す楽しさ、そういういろんな楽しいことがあるので、自作PCっていいなあと思っています。まだ、PC自体は4台くらいしか組んだことないんですけど。

――4台は多いほうだと思います。(笑)

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