「私の記憶が確かならば」、1990年代中期に「料理の鉄人」という番組がフジテレビにて放映されていた。司会である鹿賀丈史氏が非常にハマり役なのに加え、鉄人と称された料理人のチョイスと番組構成は、22時後半からの放送にもかかわらず記憶に残っている。
今となっては知らない人の方が多いだろうと思われるが、簡単に言ってしまえばマンガでよくある“料理バトル”をテーマにした番組である。この番組が発端となり、海外では「Iron chef」として未だに放送されているのである。ちなみに“食材”という単語はこの番組がキッカケで広辞苑に収録された経緯を持つとも言われているし、“鉄人”とその道のプロを呼ぶようになったキッカケも本番組と言われる。
第67回は、そんな料理の鉄人へのオマージュが光る作品「Battle Chef Brigade」をテーマに取り上げる。
料理がモチーフ、さすれど食材はモンスター
過去モンスター達は世界を大厄災へと誘った。その影響で起きた饑餓が原因で多数の人間が亡くなった。そのモンスターたちを食材と捉え、遙か昔の王とお付きのシェフが結成した最強の部隊が本作品のタイトルでもある“バトルシェフ・ブリゲード”である。料理することでモンスターを食材として駆除し、料理人の憧れの存在として今なお世界に君臨している。
主人公“ミナ・ハン”もそのブリゲードに憧れる一人であり、実家である片田舎のレストランで才能を発揮することなく一生を終えることを嫌がる彼女は、遠く離れたバトルシティで年に一度開かれるブリゲーダーへの登竜門である“考試大会”へと挑戦することになる。
料理がテーマである本作だが、料理工程は現実ほど難解ではなくシンプルだ。食材こそモンスターを使用するが、その行程自体はよくある3マッチパズルと言われるものをベースにしたものだ。同じ色のアイコンを縦か横に三つ並べ、レベル1から3までグレードアップさせることで料理の質を向上させていく。画像では伝わりにくいが、4×4という狭い枠内で右アナログスティックを使用し、アイコンを回転させて組み合わせていく。そしてこの工程は現実と同じように、食材の投入(仕入れ)、火入れ、調理、提供の順番に行う必要がある、それぞれ順番に説明しよう。
食材の仕入れはキッチンの左から自身の手で直接取りに行かなければならない。この行程のみハックスラッシュのようなアクションゲームとなっており、自身で戦闘を行ってモンスターを狩ることになる。Xボタンで近接攻撃、Yボタンでダガーを投げることでモンスターを倒して食材へと変える。食材はRTトリガーで拾う事ができる。手持ちの食材はキッチンに戻れば自動でパントリーに補充されるため、何度も往復して沢山補充すると調理が楽になる。
パントリーに補充した食材はフライパンのあるコンロにYボタンを押せば取り出せる。食材毎にアイコンの構成が決まっているが、調理枠内に空きが無ければ投入できないので 注意しよう。この際フライパンの前でXボタンを押すことで火を入れたり消したりすることが可能だ。火を入れることでアイコンが組み合わせられるようになるので火の入れ忘れには注意だ。この際に料理内のアイコンの比率で料理の属性が決まる。画像の場合であれば緑の比率が高いため、40ポイントの緑属性の料理となる。このポイントが料理の美味しさの指針となり、高いほどおいしい料理となる。
調理は一番最初に説明したので割愛するが、調理を終えた後は料理を提供しなければならない。フライパンの前でAボタンを押せば、できた料理をサーブ(取得)し、提供するか料理を続行するか選ぶことができる。提供する場合は審査員席(後述)に持っていく。料理を続ける場合はフライパンの前でAボタンを押す事で料理を続行可能だ。後々、調理器具が増えてくると料理できる場所も増えるため、違う場所へ移して同時に調理するといった場面も出てくる。
本日の食材はこちら!
本作品が料理の鉄人のオマージュだと書いたように、実際の対決はまさにそのものの流れとなる。主催である司会のカミンの前口上と共にテーマと、審査員の発表がされた後に調理へと入る。
審査員はそれぞれ食の好みがあり、頭上のアイコン通りの好みの味付けを行う事で加点が入る。ここで見忘れていてもバトル中でも好みは審査員の頭上と画面右下に常に表示されるので安心しよう。また、調理時間も決まっており時間内で料理の提供ができなければ負けることは言うまでもないが、テーマ食材を使用しなかった場合は大きく減点されてしまう。テーマ食材だけは必ず使おう。
対戦相手より料理の点数を上回る事ができれば見事勝利となる。最初は審査員も一人だが、話が進めば審査員の数も増えるので提供する料理の数も増えていき、目に見えて忙しくなっていく。時間もせわしなくなるが調理器具や調味料を駆使して乗り越えよう。
オマージュのお手本となるべき作品
オマージュやパロディ作品というのは今の世には溢れている。だが、オマージュにしろパロディにしろ、その作品への“愛”があって初めて成立するものである。本作品のオマージュは、現在販売されている何かのオマージュ作品の中でもトップクラスと言って良いほどの出来といえる。
ストアページのトレイラーでも愛が感じられる。主催のカミンがパプリカをかじるシーンがあるが、本家番組内で鹿賀丈史氏がかじるシーンと顔の向きからパプリカの色まで合わせてあり、随所随所に大元となった料理の鉄人へのオマージュが伝わってくる。
さらに、ゲームの完成度もかなりのもので、それぞれのパート(食材調達・調理)がおざなりではなくちゃんと調和して一つの流れとなっている。主人公であるミナの成長物語となるストーリーもしっかりと描かれており、本作品が埋もれていく佳作ではなく世に知らしめられるべく作品であることは特筆させていただきたい。
「私の料理の腕はカップラーメンを作れるくらい」だが、ゲームではドラゴンだって調理してみせる。「私の願いが叶うならば」是非とも本作品をあなたもプレイしてみていただきたいところだ。
「Battle Chef Brigade」の推奨動作環境は?
最低環境でもグラフィックの要件がGeForce 240GTとなっている。CPU内蔵グラフィックでもギリギリ大丈夫だと思われる。この数年で発売されているPCスペックならば心配することもないかとは思われる。
『Battle Chef Brigade』
●Trinket Studios
●2050円(2017年11月21日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows MAC
ジャンル アクション、RPG、アドベンチャー、女性主人公、独立系開発会社
TM & © 2017 Turner Broadcasting System, Inc. A Time Warner Company. All Rights Reserved.
■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat
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