現在でもイタリアのローマに観光地として残っているコロセウムこと円形闘技場。気が遠くなりそうな昔に、ここでは剣闘士(グラディエイター)と呼ばれる人々が命をかけた殺し合いを行なっていたと言われる。政治的に民衆の熱狂的な支持を得るための興行として利用され、当時の帝政期には多数の剣闘士の育成所があったと言われている。
高校の世界史で触れたかどうかはさておき、今は歴史のお勉強の時間ではない。今回はこの記事を読んでいるあなたも勇敢な剣闘士になれるかもしれないゲームを紹介したい。
常に死と隣り合わせの日常
第51回は「Domina」、前述の古代ローマを舞台にした剣闘士アクションアドベンチャーだ。日本語がないのと、少し英文を読む必要性はあるが目的を追うだけならば要求英語レベルはそこまで高くないので安心してほしい。
主人公は剣闘士ではなく、彼らの育成所を運営する女主人である” Sulpicia”である。病で伏せってしまった父から育成所を受け継いだばかりのまっさらな状態から始まる。
時を同じくして皇帝は暴徒となった市民の反乱に皇居の目前まで迫られる。そんな暴徒に恐れをなした皇帝はガス抜きのための大規模な闘技会を開催することになったのが簡単なストーリーの導入となる。プレイヤーの目的は地域ごとのチャンピオンを打ち倒し、見事ローマで開かれる皇帝主催の闘技会で優勝することである。
実際の試合はAI同士の戦闘となり、わずか数十秒でケリがつく。待っているのはどちらかの死だ。だが、運よくAIが降伏した場合はマウスを高速で連打することで命乞いを行なう。ただし、成功率は体感ではあるが非常に低い。
だが、ノープランで剣闘士を送り込んでも勝てるわけではない。剣闘士を育成し戦えるようにしなければならないのだが、彼らは試合の結果次第では命を落とすことになる。では、どうやって育てていくか説明しよう。
何が表示されているかと言う簡単な図説である。資金と水と食料は見てそのままで、奴隷の購入などで消費される。水と食料は剣闘士が日々必要な物で枯渇すると脱走したり、自身の身を脅かすことになる。ワインは後述するが賄賂のようなものである。
そしてキモとなる人材の育成なのだが、成長するパラメータは、素早さ、武器の熟練度、防御、筋力、AIの戦闘頻度の項目に分かれている。日々のトレーニングで何を鍛えるかは任意では実行できないため、それぞれのスライダーで頻度の調整を行なう必要がある。また、右側のクラス選択では“ムルミッロ”(魚兜闘士)、“トゥラケス”(トラキア闘士)、“レティアリィ”(網闘士)から選ぶことで装備と戦い方のスタイルが大幅に変わることになる。クラスを選ばずとも裸一貫で戦うことも可能だが、裸で挑んでどうなるかは言わなくても良いだろう。
この際トレーニングを行なう場合は、HPの下にある”Train”を押すか、育成画面で該当の剣闘士を右クリックすることで比重にしたがって強化される内容が選ばれる。
そして、左端にポツンと居座っている指導員は飾りではない。彼の持つ技術を剣闘士に伝えることで剣闘士は非常に強くなる。だが、その技術の習得にはお金と時間を有する。序盤はトゥラケスしかクラスを選択できないが、指導員の技術を習得することでムルミッロもレティアリィも選択可能だ。(右下にあるオートトレーニングはチェックを入れておくことをお勧めする。チェックを入れれば上記の様に手動でトレーニングを行なう必要が無いため操作量がかなり軽減される。)
興行は政治である
冒頭で試合を蹴った場合は不評を買うと書いたが、あまりにも興行主から不評を買いすぎてしまうと不利な試合を要求され続けることになり窮地に陥る。
例えば、自分の剣闘士だけが足をくくられた状態で移動を制限される試合に放り込まれたり、圧倒的に強い相手と戦わされるなど良いことは何もない。主人公の傍にいる行政官と将軍が地元での興行主となるのだが、二人は水と油の関係であり、互いに仲が悪い。日々起きるランダムイベントではどちらの顔色を伺うかという選びづらい選択肢もある。
ワインを送ることで行政官も将軍も、果ては剣闘士もなびいてくれる。行政官は剣闘士となる奴隷の購入、将軍は育った剣闘士を融通してくれるがどちらもお金が必要だ。また、パトロンとして剣闘士についてもらうことで試合に勝利した際にボーナスが手に入るがパトロンとして選ばれる剣闘士はランダムだ。行政官と将軍の組んだ特別試合を行なうことで機嫌を取ることも可能だが試合で負けた場合は逆効果となるので、その点も注意だ。
命は安いが、保つのは難しい
運よく何度も勝利を重ねたとしても生き残ることは非常に難しい。命の安さに比べて育成には非常に時間がかかる。試合での報酬や、奴隷を買うなどすれば人員は確保できるのだが、能力値は非常に低い。試合も1対1の試合ばかりでなく複数人戦もあり命は簡単に散り続けていく。だが、勝利を得る可能性を高める方法はないわけではない。
やや長くなったが、以上がゲームの流れと説明になる。ランダムイベントの存在と興行試合のランダム性によりリプレイ性は非常に高いのもひとつだが、失った命は戻らないシビアさや育成の手間における事情主の苦悩と言ったマネジメント要素もゲームとして兼ね備えていることは上記の説明でお分かりいただけるであろう。
死なぬように死なぬように人員を回しても、死んでしまうときは死んでしまう。勝負は時の運とは言ったものである。ローマは一日にして成らず。最強の剣闘士も一日にして成らずだ。
REKT #dominagame https://t.co/BCDm5Mx3Us pic.twitter.com/UiG5Vsgqth
— rate-dat (@rate_dat) 2017年5月5日
余談だが、試合の結果をアニメgifでTwitterかFacebookに投稿できる。白熱した試合は皆に共有すると良いだろう。
Dominaの推奨動作環境は?
CPUが最低で“2.8 Ghz”、メインメモリーが“4GB”となっている。グラフィックの項目は「統合型は除く」と書かれており、ある程度のGPUは必要かと思われる。ただ、本作品は64bitに対応していないため、推奨環境となっているメモリー“8G”は必要かと言われるとやや疑問符が付くところだ。
ちなみに、「約二時間、勝利まで休みなしでプレイ可能なこと」と追記事項にあるが、オートセーブが存在するため、これはジョークと受け取っていいだろう。
「Domina」
●DolphinBarn
●980円(2017年4月3日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows 7以上
ジャンル 暴力 ストラテジー アクション Management 良BGM
© DolphinBarn 2016
■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat
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