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女王陛下は毒入りチョコレートがお好き!!育成アドベンチャー「Long Live The Queen」:Steam

2017年05月10日 18時00分更新

 人類の長い歴史において女性が覇権を握った例は極めて稀である。近現代であればマリアテレジアであったり、エリザベス1世が例にあたるであろうか。男性が優位の歴史は長く、女性は政治の場に立つべきではないと旧来の慣例では強く言われてきたことだが、果たして実際の所はどうなのであろうか?

 真面目に始まった記念すべき節目の第50回は、「Long Live The Queen」を紹介しよう。

 ゲームはマウスだけで操作が可能だ。日本語化MODも存在するため、日本語で全てプレイすることができる。(関連ページ)

可愛い見た目をしてるけど・・・・・・中身も凄いんです

 ルーメンと言う魔術を行使する者が存在する架空の中世世界。代々由緒ある血筋が帝国の行く末を担っていた。

 そんな大帝国であるノヴァ帝国も、何度も続く戦乱や貴族闘争を経て今では陰りを見せている。帝国と言うには既に覇をとなえる領土もなく、仕えている臣下もほぼ政敵と言う四面楚歌の状況から始まるのが本作品である。

主人公エロディの父であるジョスリン侯。敵対者ばかりの貴族たちの中で数少ない味方である。妻であり女王であったフィデリアの死去に伴い次期女王であるエロディを呼び戻したところから始まる。

 絶対君主制であるノヴァ帝国において、血筋を継ぐ主人公エロディの権力は非常に強く、戴冠式を迎える前からその力は発揮される。自身の選択と言葉はそのまま形となり国の行く末を左右してしまう。父親であるジョスリンですら逆らうことは出来ないほどの決定権をもつ。

 だが、義をなさぬ決定には反旗を翻され、女王も愚者であれば謀殺されてしまうのは明白な事実で、その権力を狙う諸侯や周辺国家に常に身を狙われることにもなるのだ。そんなエロディを40週、約一年間の間に女王の素質を鍛え上げ、15歳の成人までの戴冠式までを導くのがプレイヤーの役目だ。

エロディにはステータスが存在する。午前と午後に授業を組み込むことでそれぞれのステータスを鍛えることが可能だ。

「成程、これは育成ゲームなのか。」と言えばそうではあるのだが。この育成はイコールで、エロディの命を託すものなのである。前述の様にエロディには味方がほぼ存在しない。臣下である周辺国家も義理と上辺だけの付き合いであり、場合によっては明確な敵対行動を行なってくる諸侯も存在する。

 勘の良い方ならある程度は察しがつくかもしれないが、このゲームは某ダークソウルも真っ青な死にゲーである。日々の生活にはエロディの各種ステータスによる判定が常に存在しており、一部の判定には自身の生死がかかっているのである。判定自体はルート毎に固定ではあるが、どの位の数値が必要かは明かされず、どのステータスで死に至ったかもプレイヤー側からは判断が付きづらくなっている。プレイヤー側が分かるのは成否だけなのである。

 更にオプションで判定表示をオフにすれば原因も判定も分からないハードモードにすることも可能だ。

このような感じで日々判定が行われる。知識と力を身につけて乗り切るのだ。

「じゃあセーブとロードを繰り返して、覚えてしまえば良いんじゃないのか?」と言いたくなるだろうが、そんなに貴族闘争は甘いものではない。死に至るのはその直前の選択と判定だけが原因ではないからだ。

諸侯や庶民との謁見に加え、エロディの選択は今後を左右する。結果次第では取り返しのつかない大混乱を招く場合もある。

展開にもよるが始まって数日で天に召される場合もある。全ての死亡シーンはシュールなイラストが用意されており死亡シーンをコンプリートするのも楽しみ方のひとつでもある。一度見たイラストはギャラリーで閲覧可能だ。

 だが、死ぬだけが彼女のやることではない。前述のように彼女を戴冠式まで導くのは見えざる神の手であるプレイヤーの役目である。ゲーム中では宮廷での謀報関連はステータスとして存在するが、細かい繋がりはプレイヤー自身が関係性を結びつけていかないと大混乱にプレイヤー自身が陥る。

 画面写真のように左下の“?”ボタンを押すことでどのような人物か把握することが先ずプレイヤーのすべきことのひとつである。登場人物はそれなりに多い上に、ほぼ貴族しかいないため誰がどの領地のどのような人物かを明白に理解しなければならない。(日本語化MODを導入した場合はボタンを押した際に全く関係ないメッセージが出るが影響はない。)

クリックで拡大。超序盤の人物だけの相関図と地図だが、序盤からこんな入り乱れている。逆に関係性を理解することで、誰が敵対者となりえるのかがハッキリとわかったりもするのだ(公式配布マップを使用し、序盤の情報だけで作成した図)

王宮生活の華麗な過ごし方

 週末には自由時間があり、それ以外は政務と授業に明け暮れることになる。この自由時間に城内をうろつくことでイベントであったり、エロディ自身の気分をコントロールすることができる。また、ステータスに応じて、城内でできる行動の幅も広がっていくため成長に応じて気分のコントロールも楽になる。

右側の“Mood”ボタンで気分は常に確認しよう。その時の気分で授業結果に大きく差が出るため、伸ばしたい項目に応じた気分をコントロールすることが重要だ。

 そして、ステータスの育成も、ただひとつを延ばせばいいと言うわけではない。一定の数値に辿り着いた場合は、同系列の違うステータスも上げなければ一定値から上がらなくなる。

ただし、同系列の全体ステータスが一定値を超えた場合、そのステータスに応じた衣装が手に入る。ステータスにボーナスが入るため、必要に応じて着替えることでイベント等に対応可能だ。

ノベルゲームにおける誤解

 ノベルゲームはゲームではないと、初期の頃は蔑まれてストアに出ることはまず無かった。だが、ノベルゲームの大きな誤解でもあるのだが選択肢を選んで、文章と絵を見るだけのゲームと思い込んでいる人が未だにいることは事実でもある。

 だが、今回紹介した本作品はそんなノベルゲームの中でもエンディングまで展開が多様で、プレイヤーも先を考えながら進める必要があり、タクティカルなゲーム性も併せもっている。

 ノベルゲームは今でこそ沢山あるが、(MODを導入すれば)日本語でプレイ出来て、かつクオリティが高い作品はとても少ない。特に、触れる機会がほぼ無い他言語作品であるからこそ、一度は触れていただきたいとも私は思う。

「The queen is dead,Long lives queen!(女王は死んだ、女王陛下万歳!)」

 新たな女王はエロディか、それとも違う女王か、祝福されし女王を導くのは今この記事を読むあなただ。

Long Live The Queenの推奨動作環境は?

CPUが“1.2 Ghz”、メモリーが“256 MB”、という表記しかないため分かりにくいが、一般的なノベルゲームと同じく要求スペックは低い。、本ゲームで採用されているRen'Pyエンジン製のゲーム(関連サイト)のスペック表記から予測する限りでは、Windows OSが安定して動作する環境であれば問題ないと言えるだろう。

 また、Steamのスクリーンショット機能を利用したい場合はゲーム内設定のグラフィックオプションからOpenGLを選択すると良い。

『The Long Lives Queen』
●Hanako Games
●980円(2013年11月9日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows XP以上、MacOS10.4以上、Linux
ジャンル 独立系開発会社 ビジュアルノベル 女性主人公 マルチエンディング
Cipyright 2012 Hanako Games and Spiky Caterpillar

■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat

■関連サイト

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