週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

情報の非対称性解消で問われるのは不動産仲介業の本質

売却仲介約50万円 マンションマーケットが目指す嘘のない不動産テック

2016年10月28日 07時00分更新

アナログが多い不動産業務をテクノロジーで変革したい

 現在、マンションマーケットで集めている情報は、インターネット上にある各種不動産関連の情報をクロールして取得したものだ。たとえばすでに何戸も販売された実績があるマンションであれば、その事実に基づいて価格が提示できる。難しいのは戸数が少なく、販売実績が少ないマンションや、新築から間もなく、販売実績がないマンションを取り扱う場合だ。「そういった場合は、近隣の条件が似たマンションや、新築時の販売価格等を参考にして価格を提示することになる」(吉田氏)

 こうしたノウハウはあるものの、マンションマーケットで提示されている価格情報は、同社独占の情報というわけではない。「当社が提供している情報と同じようなメディアを提供することは他社でも可能。また、海外では当社と同様の情報サイトも存在している」

 しかし、今のところマンションマーケットの完全競合となるサービスは存在していない。これには、前述した不動産取引情報がオープンになることをよしとしない業界側の事情があるという。

 吉田氏は、「不動産仲介業は、不動産、税務、法務、地域等の知識面、そして不動産売買仲介におけるコンサルティング能力など、非常に高度な知識とスキルが求められるビジネスでもある。ところが、情報の非対称性を前提としたビジネスを行ってきたために、一部では、情報を流通させるだけのビジネスになっている。そのため、消費者にとって不動産取引はネガティブなイメージがあるのでは」と分析する。

画像提供:マンションマーケット

 また、いわゆる「宅建」という通称で知られる不動産取引に必要な資格「宅地建物取引士」は、取得者が1人いれば5人まで雇用することができる。社内に資格者が1人でもいれば、営業などのサービスの現場は資格を持っていない人でも働くことが可能になる。もちろん資格を持っているからといって全員がプロではないが、プロの知識が求められていない実情の一例といえるだろう。

 吉田氏はそんな現状について、「テクノロジーが介在することで、情報の非対称性が解消され、誰もが簡単に情報を入手出来る環境になれば、不動産仲介業の本質を問われるようになり、消費者はより高度な知識やスキルを求めるようになるのでは。業務自体についても、いまだにFAXの利用に代表されるアナログで非効率な商慣習が残っているのが実態。不動産仲介業にはこれから大きく改善されるべき部分、業務改善余地が非常に多い」と指摘する。

 そもそも吉田氏はリクルート出身の経歴。住宅情報事業SUUMOで広告営業を担当する中で、不動産事業の実態を目の当たりにすることとなった。

 現時点で人を介さずに不動産取引を行うのは難しい。あくまでも不動産取引を活性化するための情報提供や、不動産仲介業務を補助するのがテクノロジーの役割となる。マンションマーケットでも、ユーザーとのやり取りの基本はチャットベースだが、最終的な査定額を決めたり、価格等の交渉を行ったり、契約を補助するのは、営業スタッフの役割となる。

 テクノロジーを活用することで有益な情報を顧客ユーザーに提供し、豊富な知識をもってサポートし、マンションの売却サポートを行っていくというのがマンションマーケットのビジョンになる。吉田氏によれば、価格だけでない他社との競争力はここでも生まれるという。同様に、技術主導での不動産業界向けバックオフィスでのシステム構築についても、同社は内製で進めている。

 提供する情報についても、「不動産に関する情報にはデリケートな部分もあるが、できるだけ正直に、嘘のないオープンな情報を提供していくことで、他社にはない当社ならではの情報を提供していきたい」と吉田氏は語る。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう